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ぱぱぱ
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宇空#🎹,🐈⬛
ー仮面を脱ぐ者ー
「正しい音を弾きなさい」
物心つく前から、僕の耳にこびりついて離れない言葉だ。
窓の外から聴こてる放課後の喧騒も、遠くのグランドで響く部活動の掛け声も、防音室の分厚い壁に隔てられて、ここには届かない。
目の前には、白と黒の整然と並んだ鍵盤。
そして、一音の狂いも許されない白黒はっきりした譜面。
「…はぁ」
指を鍵盤に落とす。ショパンの調べ。
一音、一音、楽譜に記された強弱記号を完璧になぞる。少しでもリズムが走れば、後ろで見守る母の鋭い視線が背中に刺さる。
少しでも感情が溢れて音が濁れば「それは音楽ではなく、ただの騒音だ」と切り捨てられる。
「(…苦しいな)」
心の中で、小さな自分が呟く。
僕が奏でているのは本当に音楽なんだろうか。
それとも、ただ巧妙に作られた自動演奏機として、親の期待というプログラムをこなしているだけなんだろうか。
学校に行けば、僕は完璧な生徒会長だ。
アイロンの当たった制服。柔らかな微笑み。誰に対しても平等で、優しく、頼り甲斐のあるリーダー。
先生の期待に応え、生徒たちの要望をまとめ、波風立てずに全て円滑に回す。
「君がいれば安心だよ」
「さすが会長だね、いつも正しい」
『正しい』。
その言葉を投げかけられるたびに、僕の心の中にドス黒いインクをぶちまけたような衝動が渦巻く。
(違う。僕は、もっと…ぐちゃぐちゃで、不器用で、叫び出したいような音を鳴らしたいんだ)
一度だけ、深夜の練習で楽譜を無視して鍵盤を叩きつけたことがある。
不協和音。暴力的な低音。指が引きちぎれるほどのスピードで駆け上がるアルペジオ。
その瞬間だけ、僕は呼吸ができた気がした。
心臓の鼓動と、指先の振動が一致して、世界が鮮やかに色づいた。
でも、翌日にはまた僕は『正しい音』に戻らなければならない。
朝日に照らされた譜面台の上には、昨日と同じ、真っ白な譜面が僕を監視するように置かれている。
「…おはよう、ショパン」
鏡に向かって、一番「正しい」角度で微笑みを作る。
今日も僕は、仮面を被って学校へ行く。
誰にも見せない、鍵盤の下に隠した叫びを胸に抱えたまま。
いつか、この譜面から飛び出せる日は来るのかな…
そんな、叶うはずもない願いを吐き捨てて、僕は防音室の重い扉を閉めた。
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お久しぶりです♪
コメント
1件
みぅ🤍🥀です。 第1話、じっくり読ませてもらいました。 「正しい音」を強制される閉塞感が、ひしひしと伝わってきました。完璧な生徒会長としての仮面と、鍵盤の下に隠した叫びのギャップがとても痛くて…。深夜に楽譜を無視して鍵盤を叩きつけたシーン、あの瞬間だけ呼吸ができたっていう感覚、すごくわかる気がします。 次の話で、この仮面がどうなっていくのか、すごく気になります。続き、楽しみにしてますね🌙