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オリー様からオリガミ王国の計画を聞かされた後、ミーは考え込んでいた。
オリガミ王国。ペラペラ共をオリガミに作り変えるということが主な内容だ。しかしそうなってくるとどうしても貧弱なペラペラ共の中に必ず立ち向かってくる輩が出てくる。
なんせあの王国の姫、、ピーチ姫と言ったか。噂によればピーチ姫の知り合いにとてつもなく強い男がいるのだそう。そいつがミー達を陥れて来る可能性はゼロではない。
だからなるべく、カミテープを守るためには強くならねばならない。勿論、ミーが弱いわけではない。念には念をだ。
「ピエールさーん!何考え込んでんだぁ?」
名前を呼ばれ振り返る。するとミー達ブンボー軍団の1人、パンチがそこに居た。ミーはメンバーのことをあまり知らない。このパンチの肩書きは『ノリノリ穴あけフリーク』。フリークとはなにかに熱中するマニアのことだ。パリピやDJのような印象受けた。ミーのあまり好きなタイプではない。
「何ざんスか?ミーは忙しいざんス。」
「あはは!スンマセンって!」
すると誰かがパンチを呼んだようでパンチはその場から走り去ってしまったようだ。パンチは誰とでも仲良くなれるような性格でブンボー軍団のムードメーカーらしい。
ミーはいつも一人でデッサンに明け暮れているからあまり話す時間が無い。ミーはそれでいい。キャンパスに向かっている時が1番落ち着く。
そうだ。描きながら強くなる為の技を考えよう。そう思ってミーはキャンパスを用意して色鉛筆を取り出した。今のところ考えているのは色鉛筆にミサイルを搭載するという事だ。道具を武器にするのは少々抵抗があるがどうせ相手はペラペラだ。そのままキャンパスにしてしまえばいい。
気がつけば日が暮れていた。ずっと技のことを考えていた所為か、絵が全く進んでいない。だがお陰でいい案が出そうだ。
「ピエールさんって絵上手いよなぁ、、」
「!?」
気が付けばミーの真後ろにパンチがいた。肩に腕が乗っていて、肩が重い。
「な、なにざんスか、、??」
「なぁ、教えてくれよ。何考えてんのかって。」
ミーは確信した。コイツはしつこい。やはりミーはコイツを好きにはなれない。しかしコイツは確か紙に穴を開けることができるらしい。悔しいがペラペラにとってはかなりの脅威だ。コイツにアドバイスを聞いてもいいかもしれない。
「、、新しい技を考えていたざんス。ペラペラを確実に潰せるような。」
「ピエールさん、、戦闘とか全く興味無いとか思ってた、、」
勝手に偏見を押し付けられては困る。それはミーもだろうか。少しプラスに考えよう。コイツはうるさくてしつこい。かなり派手な技を考えてくれるだろう。
「色鉛筆をミサイルにするところまでは思いついたけど、それだけだと物足りないざんス。」
「スゲーいい発想じゃん!」
パンチが目を輝かせている。いや、文房具に目など無いか。
「うーん、、おれッチだったらこうミサイルをブォーン!!ってやって、、」
「、、分からないざんス。」
パンチが体全体を使って表現するがミーには全く伝わらなかった。ブォーンってなんだ、、?
「えーっと、とにかくミサイルを纏めて、、」
不器用な仕草でミーの色鉛筆を集め出す。そして12本の色鉛筆が丸く円柱のようになった。
「これをグルグル〜の状態でグリグリ〜って、、」
擬音が多いが何となくわかったような気がする。ミーは下書き用の鉛筆を取り出しキャンパスに絵を描く。
「、、こういうことざんスね?」
「そうそう!ピエールさんは物分りが良いなぁ!」
確かにこれなら何かを足す必要もない。ミサイルの性能を生かしたまま相手に恐怖を与えグサグサにできる。パンチはこういう発想に優れているのだろうか。
「後は名前だな〜、、」
技は決まったから後は習得して命名するだけだ。この技に相応しい名前はないだろうか、、
「ジャン=ピエール・エクスプローションとか?」
「、、何故技名にミーの名前を入れるざんス、?」
、、少々ネーミングセンスに難があるようだ。ミーも人のことは言えないだろうが。
「ピエールさんはアーティストだから、アーティスティックは入れたいよな!」
「、、悪くないざんスね。」
アーティスティックは「芸術的」という意味。ミーの戦闘スタイルにアートは欠かせないスパイスだ。まだそれだけでは物足りない。もう少しインパクトのある名前を付けたい。
「あと、、回るから、、ローリング?」
「、、アーティスティック・ローリング、、に続けくのは、、」
『芸術的な回転する』、これに続く言葉に相応しいのはやはり、、
「「ミサイルだ!/ざんスね」」
お互い見合いながら同じ言葉が同時に出てきた。すると途端、ミー達は何をしているのだろうと笑いが込み上げてきた。
「アーティスティック・ローリング・ミサイル!いいじゃん!」
ミー達が命名したミーの技、なかなか愛着が湧きそうだ。これから練習に励まなければ。この技を使ってペラペラをミーのキャンパスにしてやるのだ。
そこからミーは試行錯誤して技を完成させた。しかしかなり隙が多く、かつミサイルの消費も激しい。この技はミーの奥義として、ペラペラを一網打尽にすることに協力してもらおう。
その技が仇になるなんて思いもしなかったが。