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ななみ
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「映理子さん、もしかして私のこと…」
「…別に。」
今私は、同じ職場の教員に一世一代の告白をしてしまったところだ。
なぜこうなったのか経緯を説明するとすごく長くなるが…
「あなたが杉田先生ですね、初めまして。吹奏楽局の副顧問になりました、宮田美咲です。よろしくお願いします」
「初めまして、宮田先生。改めまして、顧問の杉田映理子です。よろしくね」
4年前ぐらいだろうか、私たちが出会ったのは。
同じ部活の顧問同士という関係だったな。
綺麗な黒髪ショートヘア、私と10センチぐらい差がある身長、笑ったときの口元。当時こそ何も思わなかったが、今思い返してみると、これが私の恋心(もどき)を引き出したのだろうと実感した。
「せっかくだし、一緒に食事行かない?宮田先生のこと知りたいし」
「え、いいんですか!?じゃあぜひ行きたいです!空いてる日確認してみますね」
これまで出会った人とは、とりあえず最初に共に食事をしてから今後付き合うか否かを決めるようにしている。この時の私は彼女をいわば今後付き合うかどうかの実験程度のものとしか見ていなかった。(まあ、嫌でも関わることにはなるのだが)
やっと来た食事の日。私は平常心でいたつもりだったがどこかドキドキしていたようで、服装も普段着るものよりも少し洒落たものにした。
「杉田先生ー、お待たせしました」
「んん、そんなに待ってないから大丈夫です。行きましょ」
彼女は普段学校で見ている彼女と特に変わった様子はなかった。でもなぜだろう、学校でもたまに彼女にドキッとするときはあったし、恋愛的な目で見てしまうこともあった。けどそれなんかと比べ物にならないぐらいドキドキする、そんな雰囲気を纏っていた。
てか私の服にはノーコメかい。結構普段と服違うし何か言ってくれるかと思ったけど。まあいいや、今後どうするかは食べながらでも考えよう。
「んーと、…どうしよう、決められない」
「悩みますよね〜。ちなみにどれで悩んでますか??」
「これとこれ。どっちも気になるの」
「そうなんですね、じゃあ私こっち頼むので、杉田先生はこちらを頼んでください。」
「え、宮田先生は食べたいヤツこれなの??」
「前々から気になってたし、これにしようかなーって。一緒にわけっこすれば一石二鳥でしょ? 」
「ほんとに食べたいヤツなのね??頼むよ???」
「信じてください!!!」
彼女からの圧力によって私が悩んでた2つを注文することにした。なぁんだ、同性のクセして意外とこの人女心分かってるじゃない。たまに分かってくれない同性のお友達がいるし。
『お待たせしましたー』
「あ、届きましたね。半分こ…とまではいかないんですけど、ちょっと分けますね」
「じゃあ私も。はい、あーんして」
「…へ??」
あっ、やばいやらかした。
普段姪っ子とかに普通にあーんしてるから癖でやってしまった。当の本人はめっちゃ「ゑ???」って顔してる。
「あ、ごめんごめん、ついクセで…」と言いかけていると、彼女は私のフォークにあるお肉を食べた。
「これ結構美味しいですね!」
「そ、そう、それはよかったわ…」
「?どうかなさいましたか??」
「いいえ、別に大丈夫です…。ほら私にも分けてください!!」
「ああっはい!!どうぞ!!!」
ただご飯食べるだけでこんなにもドキドキしたことあったっけ。
なんか私、美咲の手のひらで転がらされてるくない??
「そーいえば、この前友人が『宮田ってなんかあんま女性っぽい雰囲気じゃないよな』って言ってきたんですよ〜」
「えー、どういうことですかそれ。」
「なんかあんまり人を頼ろうとしないところとか、多分いっぱいあると思うんですけどみんな口を揃えて女性っぽくないねって。今の時代に何言ってんだこいつって思いましたね、まあ女性っぽくないのはちょっと自分でも思ってましたが。」
「…そんなことないと思うけど、 」
「へ、」
「だって、私の中では宮田先生はかわいいもかっこいいもあると思ってるし。」
「…具体的に??」
いやそこ聞くんかい。アドリブでいこう。
「んーそうだね、例えば笑ったとき一生ツボってるところとか、仕事してる時の横顔とか??ほんとはいっぱいあるけど」
「そんなところまで見てただなんて恥ずかしいです…」
「まあ要するに、女性だからどうとかあんま考えなくてもいいんじゃないですかね??私は好きですよ、今の宮田先生。」
彼女は彼女らしさについて悩んでいたようだ。誰だ私の美咲にそんなこと言ったやつ。煮るか焼いてやろうか。
「…、ありがとう、ございます」
「周りのことなんて気にしないで。なんかあったら私のとこ来てください、絶対宮田先生のこと守るので」
「…なんだか嬉しいです、ただの顧問同士っていう関係なのに、こんなに大切に思ってくれて」
「や、だってそれは…顧問として部員と同じぐらい大事だし守ってあげたいって思ったからで…」
好きだから ほんとはこの5文字が言いたかったけど、どうしても言えなかった。私のあなたに対する行動は全部そういう意味での愛があってこそのものだとバレてしまったらとんでもないことになる。
適当に並べた言い訳をしたら、彼女はどこかしゅんとした顔をしていた。過保護すぎたって思われちゃったかな…??
「そうなんですね、ありがとうございます。」
「どーいたしまして。そろそろ帰りましょ。」
彼女の話を聞いていれば時間なんてないようなもので、もう時計は午後10時を過ぎていた。ほんとは帰りたくないな、もう少し一緒に過ごしたいな、と思ったけどそんなことは素直に出したら負けた気がするので言わないでいた。
とりあえずお会計を済まし、彼女と店をあとにした。
「いやー美味しかったですね。お肉、分けてくださってありがとうございました。」
「こちらこそ。分けてくれてありがとね。」
「「…」」
どこかお互い意識してるような、そんな空気が漂っていた。
それからどうしたかというと、結局テキトーに解散して二人とも家に帰った。
これが4年前の出来事。
そんな私は今彼女と食事を共にしていて、4年前のこの出来事を、彼女がお手洗いに行った隙に思い返している。
「すみません、途中で抜けちゃって」
「ううん、気にしないで宮田先生」
「そーいえば、最近部活どんな感じですか??私見に行けてなくて…」
「…そーね、んん、なんて言えばいいんだろ…結構ひどい!!!」
「…随分とストレートに言いましたね」
「私もしばらく主張でいなかったのもあるんですけどねー、この前合奏したら崩壊しててこれはひどいなぁと」
「お疲れ様です…何も出来なくて申し訳ないです、」
「宮田先生が気にすることじゃないのでそんな気にしないでください、なんとかします」
この4年の間、何か進展はあったかと言えばあったかもしれない。彼女が時々映理子先生と呼ぶようになっていたとか、バレンタインは何故かチョコをくれたとか。
「杉田先生、少しお聞きしたいことがあって…」
「ん?どうしました??」
「…先生、私のことお嫌いですか、」
「……は?は??」
まってどういうこと!!!!全然嫌ってないよ!!!無意識になんかしちゃったかな私。ごめんねぇ美咲ちゃん。
「ちょっと待って、ちなみにどうしてそう思ったの??」
「杉田先生、他の先生方とお話してるときは楽しそうなのに、私と話してる時はそうでもないから…」
「ごめんね、わたしは全然宮田先生のこと嫌ってないしそんなつもりなかったから…と言っても傷つけちゃったのは変わらないですよね、ほんとにごめんなさい」
「いいえいいえ!!そんな、私こそ気にしすぎちゃって申し訳ないです…嫌われてなくてよかったぁ」
大丈夫、間違えても嫌いにはならないのでご安心を。
しかし、私の行いのせいで彼女にそんなこと思われてたなんて…何してんだ私。
ふと時計に目をやると、もう少しで11時になろうとしていた。そろぼち帰らなきゃ。明日が休日でよかった。
「すみません、ありがとうございました。わざわざ奢っていただいて…言い出しっぺは私なのに」
「いーえ、上司として奢りたかっただけ。気にしなくていいですよ」
「「………」」
え、なんかしゃべってよ。私もだけど。
でも帰りたくないなんて言ったらこの世の終わりだからなぁ、どうしよう…
てきとーに喋っとこう。私は重い口を開いた。
「そういえば…「映理子さん」」
「…ん??どうしたの、宮田先生」
「いや、…うちに帰りたくないなぁって、もう少し一緒にいれたらなぁって」
「…なんかあったの?」
「いえ、そういうわけではなくて…」
かんわいいいい!!!!!ちょっとモジモジしてて最高。あとしれっと映理子さん呼びしたし。はあ幸せ!!!
ちょっとからかってやろ。
「なんですか宮田先生、言いたいことはハッキリ言ってくださいよ〜。じゃないと帰っちゃいますよ??」
「ええ!!それは嫌ですやめてください…」
あかんしょぼくれてる。
どーしよ、いやまあ私が悪かったです美咲ちゃんごめんねえええ。
「…今日と明日、これから予定ある??」
「へっ??ないですけど…」
「じゃあ決まり。私の家で二次会にしよ。夜遅いし、泊まっていきません??」
「え、いいんですか!? 」
「明日部活も学校も休みだし。先生の都合さえ良ければですけど…」
「行きます!!行かせてください!!!」
急にがっつくようになったなこの人。
彼女と私はそれぞれ自分の車で私の家まで向かった。美咲ちゃんが帰れなくなったら困るもんね。
コメント
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まめもち。さん、第1話楽しく読ませていただきました! 「あーん」のシーン、思わずニヤニヤしちゃいました…癖で出ちゃうってやつ、リアルですね。杉田先生の「美咲ちゃんの手のひらで転がされてる」感がすごく伝わってきて可愛いです。そして美咲ちゃんの「帰りたくないなぁ」からの泊まりの流れ、最高でした。二人の距離感が少しずつ縮まっていく感じが丁寧で、続きが気になります!