冷酷伯爵が私を愛する理由

感情のままダイニングから抜け出し、変装の為のスカーフ片手に城から出てレトルアの城下町へ向かう。

ずっとモヤモヤが止まらない。

どう考えても自分が悪いと分かっているのに、アッシュにばかり怒りの矛先を向けてしまう。制御出来ない感情に振り回されながら、賑わう街並みを気晴らしに歩き回る。

頭からすっぽりとスカーフを被っていれば、エレノアだとバレずに街の様子や買い物が楽しめると知ったのはつい最近のことで、アッシュやウィリアムがいないときは、よくこうして街を練り歩いていた。

街で聞こえる子供たちの声や、働きながら笑顔の人々を見ると幸せをお裾分けしてもらっているようで、普段から私も元気をもらっているのだけれど。

今日はなんだか空しい。賑わう平和な街に私だけ溶け込めず浮いているような感覚に、より気分が落ち込＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

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