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互いの目が合い、まさかと見つめるその先には──
「はっ!」と驚いた拍子に、鼻先から落ちかけたメガネを指でつと押し上げる、会社では見慣れたルックスがあった。
「……えっ、矢代チーフ?」
どうしてこんなところにと思う。もし人違いじゃなければ、今さっき矢代チーフもぬいぐるみを手に取ろうとしてたよね?
「あっ、すまない」と口にしたチーフが、照れた表情を隠すように、顔の半分を手の平で覆った。
こんな恥ずかしそうな顔って、あの普段のクールで隙のない雰囲気からは全く想像もつかないんだけど……。
でもこれほどまでに照れるだなんて、もしかしたらチーフも私みたいに可愛いもの好きでなんていうことも、あったりするのかな?
「……。……あ、あの、もしかしてなのですが、ミコ&リコのことが、チーフも好きだったりしますか?」
実際間違っていたら申し訳ないのだけれどと思いつつ、おずおずと尋ねてみた。
すると、いつもは感情をあまり見せることなく仕事をスマートに片付けるあの矢代チーフが、顔の半分を片手で覆ったままで、
「……ああ、うん、まぁ実は……な」
咳払いを一つすると、くぐもった低い声でそう答えた──。