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〇
ー『逃げたか。』
遠い、マンションの上。
俺は、銃のスコープを覗く。
白煙で、見えなくなった。
あの男、危険だ。
間違いなく、強いんだろう。
でもアイツは、何もしなかったようだ。
あの赤髪の男と灰色の目を持つ女が、犯罪組織の仲間だとは思えない。
だけど、周りにいた奴らはは全員、ここをよく襲ってくる犯罪組織の仲間だった。
だとしたら、
何がしたかったんだろう。
まぁいいか。
もう、アイツが来ないことを願おう。
五十嵐と蒼の方も、片付いたようだし。
これで、一旦は終わった。
銃を下ろす。
風が、紺色の髪を揺らす。
この無法地帯に住んでいる人の中で、今は俺だけが人狼だ。
この力のせいで、親に利用された。
毎日、黒いコンタクトをつけさせられて、髪も、黒く染められた。
まぁ、おかげで酷い目には遭わなかったけど、俺が酷いことをした。
親も自分も気に入らない。
人が、信じられない。
師匠の銃を見る。
師匠なら、仕留められただろうな。
さて、
食べられそうなものでも探すか。
もちろん、金なんて持ってない。
弾丸も、もう残りは少ない。
あのバカなら、金は持ってるだろう。
今日も、稼いだんだろうな。
でも、ほんの少し。
あんな安い金で、命をかけて戦うんだ。
弱いくせに。
本当に、
『・・・』
マンションを降りると、
何かが落ちていた。
いや、
置いてあった。
ペットボトルの水と、ハンバーガー?
なんでここに、
と、
紙が置いてあった。
手に取り、見てみると…
助かったぜサンキューな!
その水とハンバーガーは、いつものお礼だ。
俺たちはいつだって待ってるから、あの場所に、気が向いたらでもいいから来いよ!
五十嵐と蒼より
本当に、バカな奴だ。
この島に来るのは俺だけでよかったのに。
連れてかれたのは、俺だけだったはずなのに。
アイツらがついて来て、無法地帯の奴らを助けたいとか言い出して、
誰も行きたがらない場所に行って、
本当に、助けている。
何がしたいのか、よくわからない。
自ら苦しむ道を選ぶなんて、
『本当に、バカな奴だな。』ー