貴方に約束したけれど、いまだに何も思い出せない。なんでだろ。
【そういえばさ、最後に会ったのは春だったか…】
そう言ってカレンダーを見つめている。
【あ、そーだ!おらふくん、行こう‼︎】
少し感情が昂る。今度こそ、貴方を思い出す。そう思いながら、車椅子で着いていく。ぼんさんは少し加減しながらも急ぎめに足を進める。
【目、開けてみて!】
〈…これって…‼︎〉
目の前には立派に植えられた桜。ちょうど満開だった。うっすらとした記憶。
笑っている自分、怒っている自分、泣いている自分。そしてその中に必ずいる、貴方。
ぼんじゅうる。その響きに、懐かしさを感じてしまう。
そういえば…ここで昔の自分はみんなと桜をみたっけ…
記憶が蘇る。
〈ぼんさん…!〉
【どうした⁉︎】
〈ただいまっ…‼︎〉
【おかえり…】
互いに涙を流しながら抱き合った。
もう2度と忘れないよ。
〈おんりー…君の事、絶対に忘れない。君が叶えられなかった、「幸せに、楽しく。そして、人生というゲームをもっと楽しく。」この2つを必ず叶えてみせるから。〉
『……しあわせそうで、よかった。ありがと。』
epilogue 「cherry blossoms」fin
コメント
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心臓ギュウってなった…! 感動した‼‼