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「あれから2年か…」
俺はそう思いながら、支度をした。その時、ドドドッと扉の向こうから俺の部屋に向かって足音が近づいてくる。
「ハル‼︎おっはよー!」
扉をいきよいよく開けて飛び込んできたのは長男の伊月。
「何でスペインにいるやつがこんなとこにいんだよ!」
「何でって今日はハルの大事な高校の入学式じゃないか!」
伊月はそう言って俺に抱きつこうとしたが、俺はそれを阻止した。
「まぁまぁ、いいじゃないか。」
俺はハッと後ろにいる次男剛(タケル)と三男龍弥の方向に素早く振り向いた。
「なんで兄貴たち勢揃いなんだよ!」
「今しかハルのダボダボの制服姿見れないだろ‼︎」
3人が同時に言った。
「ブラコンにもほどがあるぜ…」
俺はそう思いながら支度を済ませ、リビングに向かった。
「兄弟揃うと賑やかね。」
「母さんでしょ!兄貴たちに今日が入学式だって教えたの!」
「いいじゃないの!トオルさんはサッカー協会で忙しくて行けないから泣いてたのよ!電話越しで!そんなに遙の制服姿みたかったのかしら?」母さんが台所で片付けながら俺に父さんのことを言ってきた。
「ただでさえ母さんだけでも顔が知られてるのに、兄貴たちも来たら大惨事になるだろ!」
「はいはい。喋ってないでさっさと食べなさい!時間が無くなるわよ。雷(ライ)はもう学校行ったわよ。」
そう言って母さんは話を切った。雷兄は四男で、今年で18になる。俺が兄弟の中で一番尊敬する兄貴だ。ほかの兄貴たちはうるさいけど、特に伊月兄さん。雷兄は俺のことをよくわかってくれる。「あいつの方が伊月よりブラコンだぞ。気をつけろよ。」
って龍弥兄さんによく言われるけど、伊月兄さんよりブラコンなわけないでしょ。俺は朝食を済ませ玄関に荷物を持っていった。
俺が通う学校は、立海学園。スポーツの名門で特にサッカー部は、女子も男子も毎年インターハイベスト4までいき、優勝も何度もしている。俺がそこに決めた理由は、ただ、そこの学校の理事長が俺の祖父で、兄貴たちもそこに通っていたからだ。でも、心のどこかでまだ、サッカーから離れられていなかった。それもあったのかもしれない。
「もう、行くわよ!」
母さんがそう言って2階から兄貴たちがスーツ姿で降りてきた。
「くれぐれもトラブルは起こさないでよね?」
俺は兄貴たちにそう言い聞かせながら、立海学園に向かった。