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「“美穂”」
泣いている 美穂（みほ）を見かけた時、彼女になにかあったのはすぐにわかった。
でも美穂は「大丈夫」だと笑って、わけを話そうとしない。
触（ふ）れられたくないことがあるのかもしれない。
しつこく聞けば嫌がられるかもしれない。
そう思いもしたけど……美穂が去った後、ひとり泣いていた姿が頭をよぎった。
……もしかして、今もまた泣いているんじゃないか。
そう思うと、じっとしていられなくなって、気づけば美穂を追って駆け出していた。
泣いていなければいい。
俺の思い過ごしならいい。
そう思っていたのに、美穂はうつむいて、さっきよりたくさん涙を流していて……。
目にした瞬間、自分でも言いようのない苦しさが込みあげる。
なんで。
なんでそんなに泣いているのに、「大丈夫」だなんて言うんだよ。
純粋な心配。
「今は仕事じゃない」と、一線引かれた寂しさ。
頼って＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
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