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その日、テニス部の先輩たちと一緒に、部活の後にカフェに行くことになった。私も何だか、普段と違う雰囲気の中で、少しワクワクしながらついていくことにした。
「今日、カフェ行くんだ。みんなでお茶しよう!」と、璃子が嬉しそうに言う。
私も楽しみだったけど、少し緊張していた。だって、広瀬先輩とあんなふうに話す機会なんて、あまりなかったから。しかも、あの冷たい雰囲気がまた少し怖くて、どうしていいかわからない気持ちがあった。
カフェに到着すると、テニス部の先輩たちもリラックスした様子で座り、私たちも席に着く。広瀬先輩は相変わらずクールで、でもどこか落ち着いている。その隣の席に私は座ることになり、少し緊張しながらメニューを見た。
「何にしようかな…」私は迷いながらも、普段から甘い飲み物が好きだから、「あ、これにしよう!」とコーヒーのメニューを指さした。
「コーヒーの砂糖たっぷりで!」私はにっこり微笑んで注文した。
璃子も「私はカフェラテ!」と、楽しげに注文している。
その後、広瀬先輩が静かにメニューを見て、少しの間を置いてから、レジで注文する番になると、「ブラックコーヒー。」と短く言った。すごくシンプルだけど、なんだかその一言に広瀬先輩らしさを感じて、ちょっとだけ不思議な気持ちになった。
「ブラックコーヒーかぁ…大人っぽいな。」私は心の中でつぶやくと、隣の席に座った広瀬先輩がちょっと目を合わせてくれた。
しばらくして、コーヒーが届くと、私は自分のコーヒーに砂糖をたっぷり入れて、かき混ぜながらホッと一息ついた。
「やっぱり、甘いコーヒーって最高!」私は微笑んで、ほっとした気分になった。
でも、次の瞬間、広瀬先輩がちょっと気になることを言った。
「一口いる?」と、静かに声をかけてきた。
「え…?」私はその言葉にちょっとびっくりした。
広瀬先輩が差し出してきたのは、飲みかけのブラックコーヒーのカップだ。どうしてこんなことを言うのか分からなくて、私は一瞬どう反応していいかわからなかった。
「い、いらないです!」と慌てて言った。
「なんで?」
は?うそ。そんなことある?
「これはっ、間接キスになりますっっ!」
広瀬先輩は一瞬、目を見開いて、それから少しだけ顔を赤くした。「あ、別にそんなつもりじゃ…」と慌てたように言うけれど、その言葉に私も少し照れてしまった。
「あ…そうですよね、すみません。」私は顔を赤くして謝ると、ちょっとだけ笑ってしまった。
その後、二人の間に少しの沈黙が流れた。ちょっとだけ恥ずかしい空気が漂うけど、それでも不思議と悪い感じではない。広瀬先輩がまた無言でブラックコーヒーを一口飲み、私も甘いコーヒーを飲みながら、ふと自分の心臓の高鳴りに気づいていた。
「なんだか、こういう時間も悪くないな…」私は心の中でそう思いながら、広瀬先輩と並んで座っていることが、ちょっと嬉しい気持ちでいっぱいになった。先輩ってピュア。間接キスとかの恋愛のことなーんも知らなくて。