リクエストを募集した曲パロの場所。
リクエスト多くいただいたので、連載にして応えられなかったリクエストは次回などで消化していきます。
全てmmmrです。
単体、cp含みます。(GL、NL)
地雷に配慮していないのでご注意。
解釈違いなどのクレームは受け付けません。
死ネタ等、色々なものを含みます。
少しずつしか書いてないです。
以上の事を了承した方のみどうぞ。
1 カトラリー (めめ×みぞれ)
ぽろり。
私の頬の上を、一筋の涙がこぼれ落ちた。
悲しくも痛くも無いのに、何故私は泣いているのだろう。
めめさんと飲む食後のコーヒーの準備をしながら、ぼんやりそんな事を考えていた。
「みぞれさん?コーヒー、まだですか?」
考えるのに夢中で、手が止まっていたのだろうか。それとも待ちきれなかったのか、めめさんがそう言った。
「…いえ、なんでも。もうすぐできますからね」
___私の事じゃなくて、コーヒーの心配だったのか。付き合ってすぐの頃は、私の心配ばかりしてくれてたのに。
そんな思いを口に出す代わりに、注いだお湯とともにコーヒーに込める。出来上がったコーヒーはなんだか、いつもより濁って見えた。
「…はい、めめさん。熱いので気をつけて」
「ありがとうございます」
愛用して少し錆びてしまったペアカップに注がれたコーヒーと私には目もくれず、めめさんはTVをジッと見ている。
___せっかく私と二人きりなんだから、こっちを少しくらい見てくださいよ。
そんな言葉が口から飛び出そうになって、慌てて手元にあった私のコーヒーを一滴残らず啜り尽くした。
空になった私のペアカップをほんの少しだけ見て、私はそれを洗った後、戸棚の隅の方へ隠した。
きっともう、このペアカップは使われないだろう。
寂しい気持ちを抱えてリビングに戻ると、相変わらず私の方を見ないめめさんがいた。
その瞳にはもう私は映ってない。
その事に気付いてしまうと、唐突にこの現実を見たくなくなって、顔を背けた。
ふと、頭の隅にさっき隠した愛用のペアカップが浮かんだ。
愛用だったが故に錆びてしまったカップ。
私たちの関係は、それとそっくりだった。
お互いの事を愛してたが故に、私達の関係は錆び付いてしまった。
相変わらず私を見ないめめさんを見て心の中で思う。
この空っぽの関係を、できる事なら貴女が終わらせてほしい。
___もう私の事を好きじゃ無いなら。
2 ベノム (レイマリさん単体)
何かが足りない。私の人生には決定的に、何かが欠けている。でもそれが何か分からない。
X(旧Twitter)でエゴサをしながら、ふと思った。
大学に行って、それなりに楽しく過ごしている。Sレイマリとして、めめ村で楽しく活動して、ファンも沢山いる。
私に足りない物は、なんだろう。
この漠然とした問いに、納得のいく答えはどこなんだろう。
ぼんやりしながらスワイプを繰り返してるうち、あるツイートが目に入った。
それは私への誹謗中傷。いわゆるアンチツイートだった。
つまらない。脱退してほしい。キモい。なんかウザイ。他のメンバーと比べると、あんまりなぁ……。等、沢山の人から、私への中傷が綴られていた。
いつもなら気にもとめないそんな言葉たちが、今日はべっとりと心に貼りついた。
「___それで、漸く登録者数が〜!」
「おめでとうございます!まぁめめさん、めっちゃ人気ですもんね!」
Discordから、めめさんとiemonさんの会話が流れる。
人気。つまり、ファンから愛されてる。
いいな、いいな。
私はアンチに毒を吐かれているのに。
めめさんは愛されてて羨ましい。
「まぁ私は村民からも視聴者さんからも愛されてますからね!もっともっと人気になってみせますよ!」
恐らくめめさんにとっては、何気なく言った一言なのだろう。
だけどそれが、今の私には猛毒だった。
「…そうですよね。…そうですよねっ!いい、ですよね、めめさんは誰からも愛されててっ!!私は…私は…っ!!!」
激情にまかせ口から飛び出した言葉は、信じられないほど攻撃的だった。
「…っ、すみません…。私、今日はもう終わりますね……」
我にかえり、何も悪く無いめめさんに八つ当たりをしてしまった事に自己嫌悪に陥りながらDiscordを切る。
「嫌い嫌い、大嫌い!!」
失意のままベットに潜り込み、頭から布団を被り、全てを拒絶して孤「独」になる。
全てが嫌だった。アンチがいるネットも、毒に苦しんで泣く現実も、愛してくれない皆んなも、全部全部、クソだ。人生なんてクソゲーだ。
そして、そこで気付いた。私に欠けていたのは、愛だったのだと。
私は無意識のうちに、ずっと愛を求めて___ネットの世界に求愛していたのだ。
だけど___結果は誹謗中傷に毒されただけ。
「あ、あぁぁああぁあっ!!」
愛を求めて叫んだ声は哀に染まっていた。
3 一ツ眼リッパー殺人事件
(ヒナちゃん中心でヒナちゃん受けcp多数。そして死ネタ含みます)
「でね〜!その時さ!」
秋も終わり、肌寒い木枯らしが制服のスカートを揺らした。
まだ枯葉が残る道を、楽しそうに笑ってふざけ合う、三人の学生が歩いていた。
中心には、水色の髪をした、ウパパロンと呼ばれている男の子。その右隣には、ピンク色の髪をした、ヒナと呼ばれていた女の子。そしてウパパロンの左隣には、同じ水色の髪をした、ぜんさんと呼ばれていた男の子。
しばらく他愛もない話で盛り上がっていた三人だが、駅のすぐそばのT字路に差し掛かると、もう帰り道はバラバラだ。
「じゃあ、私こっちだから!ウパさん、ぜんさん、ばいばーい!」
「おう、またな〜!あ、ぜんもまたな!」
「ちょっと!?ぽれがヒナちゃんのおまけみたいな扱いされてるんですけど!?まぁバイバイ、二人とも!」
そう言って、一人帰り道を歩くヒナに、最近心配症が過度になった兄が、早く帰ってこい、と言っていたのを思い出した。
(やば…このままだとルカ兄に怒られる……そうだ、近道しよ! )
二人と話しすぎて、ルカの言う門限に遅れそうになったヒナは、家への近道である薄暗い路地裏に入った。
そして、そこで見てしまったのだ。
(あれ…私の他にも人がいる…。…変な格好…。……え、えっ!?な、ナイフ!?)
ぎらりと光るナイフを片手に持って、一ツ眼の狐の面を付けた殺人鬼を。
(…こっちに来てる!?…は、早く逃げなきゃ……。でも…あ、足が…動かない…)
不気味な面をつけた殺人鬼が、ヒナに向かって走ってきたところで、ヒナの意識は途切れた。
ヒナが次に目覚めると、シミひとつ無い、真っ白な白い壁が見えた。
「ヒナ!」
「ヒナちゃん!」
ヒナが目覚めたのをいち早く気づいて、駆け寄った二人の男の子がいた。
「…ウパさん…、ぜんさん…。私…あれ?」
「ヒナ…無事でよかった…。お前と同じように、あの殺人鬼に切り裂かれて、死んじまった奴が、もう二人もいたから……。もしかしたら、助からないかもって……」
ウパパロンがヒナの手を握りながら、そう言った。
「ヒナちゃん…犯人は誰?…顔とか、見てないかな?」
ぜんこぱすがヒナの背中を摩りながら、そう聞いた。
「……思い出せない」
生き残った少女はそう言った。
(でも…なんで?……なんで、ルカ兄が少しだけ頭に浮かぶの?)
恐怖に怯えるヒナの脳裏に浮かんだのは、最近すこし過保護になった兄である、ルカの笑顔だった。
___俺だけの妹だ。
耳元でそう囁くルカの声が聞こえた気がして、ヒナは身を震わせた。
そうだ。そうに決まってる。いつからか、ルカ兄は私に執着し始めて……。
「ねぇ…二人とも、被害者の名前、知ってるなら教えてほしいな…」
「ん、あぁ…確か…iemonとガンマスって人だったはず……」
怯えたヒナの問いかけに、ウパパロンがそう答えた。
(iemonさんと、ガンマスさん……!?)
偶然なのだろうか、被害者は皆、ヒナの知る男の子だった。それも、特に仲が良かった二人。
「…っ!…ど、どうしよう…。あの人は…ルカ兄は、必ず私を殺すよ!」
恐怖に耐えきれず、ヒナは叫んだ。どこにいたって、後を付けられている気がする。
「どうしたんだ、ヒナ!?」
「ヒナちゃん、どうしたの!?」
突然異常なまでに怯えだしたヒナを落ち着かせるように、二人がそばに寄りそう。二人も怖いはずなのに、どこまでも優しい。
「……ヒナ!俺はお前に死んで欲しくない!お前がルカさんに殺されるってんなら……それなら、ずっと傍に居る!!」
ウパパロンがそう力強く宣言すると、迫り来る恐怖を飲み込み、ヒナの手を取った。
「…ありがとう、ウパさん…」
結局、その日のうちに病院は退院し、ヒナは兄のルカと対面することになった。
「…ヒナ、本当に心配したんだぞ…!」
(…心配、か…。…ルカ兄が…私達を…)
そう言ってヒナを抱きしめるルカの行動にも、今は疑心が募って仕方ない。
「……どうしたんだ?ヒナ?」
いつものように抱きしめ返してこないヒナを変に思ったのか、ルカが尋ねる。
「…ううん。なんでもないよ」
不安と戦いながらも、懐かしい兄の温もりを感じるために、ヒナも抱きしめ返した。
(ルカ兄が殺人鬼……でも、もしそれが本当なら、私がルカ兄を正してあげなきゃ…)
「……ねぇルカ兄、一緒に来てほしいところがあるの…」
そう言ってヒナはルカをあの路地裏に誘った。
___それが最悪の結末を招くとも知らずに。
「…なぁヒナ、この路地裏に何のようなんだ?」
「もう、いいからついてきて!」
「それは分かったけど……っ!?ヒナ、見るな!」
「…?何々、私にも見せて……よ…。…え、あれ、血……?」
兄妹二人で路地裏を歩いた先には赤黒い血溜まりが一つできていた。
そしてその中心で横たわっていたのは___ぜんこぱすだった。
(え……なんでぜんさんが…?…ねぇ、おかしいよ……だってルカ兄は…今まで私と二人で…)
「っ、フフフ、ハハハハハッ!!」
不意にくぐもった笑い声が背後から聞こえてきた。
おそるおそる兄妹が振り返ると___そこには、一ツ眼の仮面をつけた、あの殺人鬼が立っていた。
「…本当の犯人は…?」
ヒナは無意識にそんな言葉を漏らしていた。
その言葉に応えるかのように、殺人鬼がゆっくりと仮面を外す。そして、外された仮面の隙間から水色の髪が垂れ、ピンク色の瞳がヒナを捉えた。
「…ウ、パ…さん…」
絶望に染まりながらヒナがその名前を呼んだ。
そんな。まさか。だってあんなに優しくて、私の事を支えようとしてくれたのに。
ヒナの心中などつゆ知らず、ウパパロンは饒舌に語り始める。
「なぁヒナ、だから言っただろ?〝傍に居る〟って……。俺が傍に居るから、他の奴は殺さないとまた寄ってくるだろ?」
そう言ったウパパロンはあの時と同じナイフを振りかぶる。
「…っ!ヒナ、危ない…っ!」
ルカが襲い来るナイフから妹を庇って、辺りに血が舞い散る。
ナイフは肋骨の隙間を滑り、ちょうど心臓の辺りに深々と突き刺さった。
「ルカ兄ぃぃぃぃッ!!」
今目の前で起きている現実が信じられず、ヒナは声の限り泣き叫ぶ。それを見下ろすウパパロンの眼は狂愛に沈んでいた。
その眼を見た時、ヒナは知った。こんな悍ましいもの、正気の沙汰ではないと。
「…ヒナ…ようやくだ。ようやく、二人きりだ……。待たせてごめんな。これからはずっと二人でいられる」
恐怖で座り込んだまま動けないヒナと、それを愛おしそうに眺めるウパパロン。
この結末は幸せなのだろうか。
もしそうなら、そうなのだとしたら。
___それは誰のハッピーエンド?
コメント
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解釈一致…!!一ツ眼リッパー殺人事件再現度高すぎ!好き!!ベノムも良いわ……ありがとう…ありがとう
一つ眼リッパー殺人事件のやつすごい保険張ってたけど解釈すっごい似てた! mmmrで表現できる中で限界レベルで表現出来てると思う
次回は必ずシャルルは書きます……