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泣きました。うん、泣いた
迷走しすぎました… ごめんなさい…
二回目です。
シャルルのみです。
引き続き解釈違い、地雷注意。
cpはNLです。
めっちゃ書いてます。
それではどうぞ。
シャルル (ウパ×ラテ)
(ガチめの解釈違い注意 意味不明)
「…さよなら、ウパさん」
その言葉は貴女から言ったはずなのに。覚悟ができてるはずなのに。それなのに、頰を濡らしてしまうんだな。本当に、Latteは寂しがり屋で優しい人だった。
Latteはこんな俺のためにも泣ける、優しい人だった。だけど俺は、そんな彼女を幸せにしてやる事ができなかった。
「…さよなら、Latte」
その言葉を言って、俺達は苦しげな表情を浮かべて最後を見届けようとした。その時だった。
「…ウパさん、×××」
俺はLatteに、最期に言われたその言葉を思い出せない。
「…んぁ、やべ……」
目を開けると、そこには編集アプリを開いたままのPCのモニターがつけっぱなしになっていた。俺は、 編集中にいつの間にか寝落ちして、Latteと死に別れた時の夢を見ていた。
『さよなら、ウパさん』
記憶の中の彼女は、苦しそうな表情をしていた。その記憶が苦い毒となって、俺を蝕む。
___結局俺は、最期の最期までLatteを幸せにできなかったのだ。
その事実を消してしまいたくて、俺はLatteとの思い出で溢れている部屋を飛び出した。
『あーあ。やっぱり貴方は、そうやって昨日の事も消してしまうんですね。本当に、全て消してしまうんですか?私の最期の遺言、思い出せてないのに?』
___うるせぇよ。未練たらたらな俺の幻聴のくせに、Latteっぽく話しかけてくんな。
頭の中で響くLatteの幻聴に、悪態をついてそれ以降無視する。するとLatteの幻聴は
『…もういいですよ。…ウパさんの馬鹿』
と、寂しそうな言葉を残して消えていった。
ぶらぶらと何もせずに街を歩いていたはずなのに、いつの間にか花束を抱えて歩いていた。多分、Latteの見舞いに行っていた頃の癖で、花屋に寄って買っていったのだろう。
もうLatteの見舞いには行けないから、こんな物、意味もねぇのに。そう思ったけれど、色鮮やかな花々を捨てる事も、持って帰る決心も付かずに、ただ灰色の街を見下ろした。
___ウパさん。この花、綺麗ですね!
花束を持って病室に行くたびに、Latteはそう言って満面の笑みを浮かべていた。俺はあいつの笑った顔が何より好きだった。
昨日の事は全て夢か何かで、このまま病室に行けば、Latteが笑って迎えてくれる。そんな理想を想い浮かべると同時に、その理想を信じたいと叫ぶ心を置き去っていく。
この花も、もういいか。
街を見ているうちに、全てどうでも良くなってきて、花束を近くのゴミ箱に捨てた。こんな風に、何もかもどうでも良くなる事を絶望と呼ぶのかもしれない。俺はそう思いながらまた街を歩いていった。
「…あ、あの…ウパさん、ですよね…?」
ちょっと遠慮したような我らが村長の声が聞こえてきたのは、街を半周した時のことだった。
「…めめさんじゃないですか…。俺に、何か用ですか?」
「…少し話をしたくて……その、無神経かもですが、Latteさんの事で……」
「全然いいですよ」
Latteの事。それだけで、俺は二つ返事でめめさんの頼みを了承した。
めめさんがここでは声が届かないとか、もう少し近い場所で…とかを言っていたので、俺達は花束を捨てたあの坂に移動した。
「それで、話ってなんですか?」
坂について直ぐに、俺はめめさんにそう言った。
「…その、ウパさんは私がネクロマンサーだって、ご存じですよね……。私、死体を操るだけじゃなくて、霊が見えたり、霊と会話もできるんです…」
それで、と震える声でめめさんは続ける。
「…ウパさんに、その…Latteさんの霊が憑いてるのが見えて…。ウパさんは、無視してるか、気づいてないみたいだったので…それでは、Latteさんが浮かばれないな、と思ったので…」
___Latteの幽霊が、俺に?
そんな。まさか。いや、俺は聞こえていたはずだ。姿は見えずとも、幻聴だと決めつけていたLatteの声が。 これ以上苦しみたくなくて、空っぽでいようと決めて、耳を塞いで追い出した、愛しい恋人の声が。
「めめさん!俺…俺、Latteと話せますかね!?もう一度…もう一度だけで良いので!お願いです!!」
「落ち着いてください!話せます、話せますよ!なんなら姿も半透明で良ければ見えますよ!!」
そう言って肩を掴んだ俺の手をどかすと、めめさんは、何やら骸骨を額に押し当てて、呪文のようなものを呟く。
すると青白い人魂と共に、何よりも愛しい、半透明なLatteの姿が見えた。
『…ウパさん』
「っ!Latte!!」
不貞腐れたような表情、やや拗ねたような声。その全てが懐かしくて、愛おしい。
「…Latte…ごめん、ごめんな!お前はいつも俺を幸せにしたのに……俺は、お前を幸せにできなかった…遅すぎたんだ…」
俺の口から溢れる謝罪の言葉は、ずっとずっと後悔してた事だった。そう、遅すぎたんだ。何もかも。俺がいくら愛を謳って謳って謳っても、もうLatteは雲の上で。
お前はこんなに語りかけてきてくれたのに、俺の濁りきった頭では、上手くお前を見えなくて。
「…ごめん、ごめんなぁ……Latte…」
『貴方は本当に、馬鹿なんじゃないですか?ウパさん』
情けなさすぎて涙を流す俺に、いつもと変わらない声で、Latteはそう言った。
『私は、謝罪を聞きたくて話しかけてたわけじゃないです!貴方と、もう一度他愛もない話をして、笑いたかったんです』
『だから、沢山話しましょ!』
そう言われてしまえば、俺に拒否することなんてできない。だから俺は、涙を拭くとLatteと沢山話をした。
幸せになって欲しかった事、最近の動画の伸びが良いこと、めめさんが本物の能力者で驚いたこと、もし退院できていたら、プロポーズしようと思ってたこと…。
そんな、俺が遠く描いてた日々を語って語って、語り尽くすと、いつの間にか夜になっていた。
『…もう時間ですかね、私はそろそろ成仏しなきゃですね〜』
「…っ、そうか……」
辺りを覆い尽くす夜の群れが、Latteの姿を飲み込んで輪郭を溶かしていく。
『…もう、なんて顔してるんですか』
そう言うと、Latteは俺の頰に輪郭の曖昧な手を当てて、言った。
『…ウパさん、笑って』
思い出した。
この言葉は、あの時と同じ___。
その言葉を理解した俺に、もう言葉なんて要らなかった。
___これはLatteと俺が望んだ事。
___お互い大好きだった笑顔で笑い合って別れる事。
俺はただ笑った。Latteも笑っていた。
俺達は今度こそ、笑い合ってさよならができたのだ。