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「おいおい大丈夫か。なぜおまえがここにいる?そのような軽装で何をしている?」

聞き覚えのある声。のろりと顔を上げると、ビクターだった。


「ビクターさん…ギデオンは…」

「ああ、俺は見てないのだが、あっちの方角に飛ばされたらしい。落下地点を捜したんだが、血の跡はあれど、あいつの姿はなかった。もしかして他の魔獣に食われたのかもな」

「違う、きっと無事だ!動けないだけで、どこかで助けを待ってる…!魔獣が食べたなら、|残骸《ざんがい》が残るはずだからっ」


リオの剣幕に、ビクターが一瞬驚いた顔をする。だけどすぐにいつもの顔になり「悪かった」と謝る。


「そうだな。確かに人の残骸は無かった。それにあいつが食われる所は想像できないな」

リオはホッと息を吐くと、足に力を入れて踏ん張り、ビクターから身体を離す。


「助けてくれてありがとうございます。もう大丈夫です。俺はあっちを捜してきます」

「あ、おいっ、俺も一緒に…」


行くとビクターが言いかけたが、同僚だろうか。これまた大きな身体の騎士に呼ばれて、何度も振り返りながら向こうへ行ってしまった。

ゲイルの姿を捜すと、数人の騎士と共に、もうすでに違う方角へと進んでいる。

リオは、最も気になる方角へと、もつれそうになる足を必死に動かして進んだ。


リオは感じるままに進んだ。

人の通らない崖を登り斜面を滑り降り、沢を渡りぬめる岩場をひたすら登って行くと、前方から水音が聞こえてきた。更に進むと水音は激しくなり、幅の広い大きな滝が現れた。

さすがに滝の上へは登れそうにない。でも引き返してはいけない気がして、リオは水に入る。

幸い腰までの深さしかなく、泳がなくてもなんとか進める。落ちてくる水の勢いに何度もよろけながら、滝の横から裏側に回った。そして悲鳴を上げた。なんとそこにギデオンがいたのだ。

|湿気《しっけ》た泥地の中に、ベッドのような平らな岩がある。その上にマントを敷いて横になり、苦しそうに顔を歪めている。

リオは弾かれたように走り出して転び、腕と足を打った。しかしそんなことはどうでもいい。素早く立ち上がって走り寄り、ギデオンの名を呼ぶ。


「ギデオン!ギデオン!しっかりして!俺だよっ、リオだよ!」

「…ん…」


ギデオンの眉が動き、微かに声が出る。

よかった、生きてた。名前を呼んでも目を覚ます様子はないけど、とりあえず生きてた。

リオは安堵で涙が出た。

止めどなく流れる涙を何度も袖で拭いて、ギデオンの身体を順番に見ていく。

頭、顔、首、胸、腹、腕や足に怪我は見当たらない。今度は背中側に回り、リオは息を飲んだ。

肩から腰にかけて服が裂け大きな傷が見える。飛ばされた時に枝か岩にぶつけたのだろうか。

リオは震える手で裂けた服を広げ、顔を寄せて傷を見る。傷は大きいが、さほど深くはない。肉は裂けているが骨は大丈夫だ。リオの魔法で治せる。魔法が使えることがバレたら困るから使わないという選択肢は有り得ない。魔法がバレたっていい。ギデオンを助けたい。

狼領主は俺を抱いて眠りたい

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