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続きです
放課後、部活帰りの廊下。
夕日の色が窓ガラスに反射して長い影を伸ばしていた。
柔太郎はふと、先を歩く仁人の背中を見つめた。
いつもなら、太智と舜太が両脇で騒いで、仁人が”お前らうるせぇよ笑”って小突くはずなのに。
今日の仁人は笑わない。
皆に合わせるように貼り付けたような笑顔を見せているだけ。
『仁ちゃん購買寄ってく?』
そう柔太郎が言うと仁人は一瞬振り返って
『……いい。疲れた、、』
と返した。
その声の小ささに柔太郎は胸の奥がざらついた。
……
数分後。昇降口で靴を履き替えていると、太智がやって来る。
塩崎 『ねぇ、仁人なんか元気なくね』
山中 『、、だよね太智も気づいた?』
塩崎 『うん。今日、教室でも喋ってなかったし……昼も声かけたのに”大丈夫”って言ってたし…。』
山中 『……絶対平気じゃないよね』
塩崎 『そうだよね、、。』
太智はぎゅっと拳を握った。
いつもはおちゃらけてるけど、こういう時は真剣だ。
少し離れた場所から舜太が二人を見て首をかしげた。
曽野 『二人とも仁人の話ししてるの?』
塩崎 『うん。最近様子がおかしい気がして』
曽野 『、、だよね!俺も思ってた!、、なんか最近貼り付けたような笑顔だよね。』
曽野 『、、俺に出来ることあるかな…。』
山中 『……とりあえず、そっとしておくより囲んだ方がいいよね』
そう柔太郎が言うと太智がにやっと笑う。
塩崎 『だね!明日は俺が仁人の隣の席死守するー!』
曽野 『え!俺も隣座りたい!』
山中 『交代制にしたら?笑 』
そんなふうに話ながらも、三人の心の中には共通の焦りがあった。
いつものツンツンした仁人が壊れそうに見える。
“強がり”そんな言葉で片付けたくない。
それぞれの思惑が、動き出していた。
『ーー仁人を守りたい。』
その想いは皆同じ。だが、誰一人として言葉にしなかった。
END