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ある日の午後。
ドイツが書類を整理していると、アメリカが妙に落ち着かない様子で部屋に入ってきた。
『なあ、ロシアって今いるか?』
『いるが……何の用だ?』
『ちょっと相談がある』
『珍しいな。お前が相談とは』
『うるせえな! いいから呼んでくれ!』
数分後。
ロシアが紅茶を片手にやってきた。
『俺に何か用? アメリカ』
『ああ。実は……恋愛相談なんだけど』
『へえ』
ロシアは一瞬だけ目を細めた。
『恋愛? お前が?』
『その反応やめろ』
『いや、意外だったから』
『帰るぞ』
『ごめんごめん。続けて』
ドイツは書類から目を離さずに呟いた。
『相談相手を間違えていると思うが』
『おいドイツ、聞こえてるぞ』
『聞こえるように言った』
2.好きな人
『それで、相手はどんな人?』
ロシアが紅茶を置く。
『……頭がいい』
『うん』
『余裕がある』
『うん』
『腹が立つくらい綺麗な顔してる』
『へえ』
『たまに意地悪で、何考えてるかわからなくて……』
『うんうん』
『でも、そいつが笑うと……なんか安心する』
ロシアは黙って聞いていた。
ドイツは書類を持ったまま固まっている。
『……それ、俺のこと?』
『…………』
沈黙。
アメリカの耳が赤くなった。
『……そうだよ』
ロシアは紅茶を一口飲んだ。
『なるほどね』
『なんだよ、その反応!』
『別に?』
『もっと驚けよ!』
『じゃあ、驚いた』
『絶対嘘だろ!!』
ドイツは静かに書類を机に置いた。
『俺は帰っていいか?』
『まだ何も始まってないだろ』
『俺の精神はもう限界だ』
3.逆告白
ロシアは椅子から立ち上がり、アメリカの目の前まで歩いた。
『ねえ、アメリカ』
『……なんだよ』
『告白って、相手に気持ちを伝えることでしょ?』
『そうだけど』
『じゃあ、俺から伝えてもいい?』
『は?』
ロシアはいつもの穏やかな笑顔を浮かべた。
『俺もお前が好きだよ』
『…………』
『どうしたの?』
『いや、待て』
『待たない』
『いや待てって!!』
『嫌だった?』
『そういうわけじゃねえけど……!』
アメリカは顔を覆った。
『……ずるいだろ、お前』
『何が?』
『俺がどれだけ悩んだと思ってんだよ……』
ロシアは少しだけ笑みを和らげた。
『ごめんね。でも、嬉しかったよ』
そして、アメリカの頭にそっと手を置いた。
『よく言えました』
『子供扱いすんな!!!』
4.第三者の悲劇
一方、その様子をずっと見ていたドイツ。
『……終わったか?』
『うん。ありがとう、ドイツ』
『俺は何もしていない』
『いや、そこにいてくれたじゃん』
『それが一番疲れたんだが』
アメリカが顔を赤くしたままドイツを見る。
『お前、さっきから何なんだよ』
『俺はただ書類を整理していただけだ』
『じゃあ恋愛経験はあるのか?』
『ない』
『ないのに恋愛相談に乗ってたのか!?』
『恋愛マニュアルを読んだ』
『何ページまで?』
『三ページ目』
『初心者すぎるだろ!!!』
ロシアが紅茶を飲みながら口を開いた。
『ちなみに俺は全部読んだよ』
『何ページあるんだ?』
『四ページ』
『一ページしか違わねえじゃねえか!!!』
ドイツは静かに立ち上がった。
『俺は帰る』
『待ってよ、ドイツ。まだ相談があるんだけど』
『断る』
『恋愛相談じゃないよ』
『何だ』
ロシアは微笑んだ。
『恋人との初デートについて』
『俺に聞くな』
終
あとがき:ドイツはこの日、恋愛マニュアルの続きを読むことを決意した。なお、四ページ目には「相手の目を見て話しましょう」と書いてあった。
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