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#日本愛され
えりりん(コメ返頻度🐢かも)
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木のドアを開けた先は、森だった。
暗い。
けれど、完全な闇ではない。
光はある。
ただ、その光源がどこにも見当たらない。
足元には落ち葉。
踏むと、かすかな音がする――いや、「音がした気がする」。ここでもやはり、すべてが少し曖昧だ。
空を見上げる。
木々が高く重なりすぎて、空は細い線のようにしか見えない。そこから、にじむような光が落ちてくる。
振り返る。
……やっぱり、ドアはない。
私は軽く息を吐いた。
もう驚きもしない。
それよりも、この森は――少しだけ、違う。
綺麗だ。
整っている。
なのに、どこか「近づきすぎてはいけない」と感じる。
まるで、誰かの記憶の中に入り込んでしまったみたいな。
歩き出す。
木々の間を抜けるたびに、景色がわずかに変わる。
同じ場所を歩いているはずなのに、微妙に配置が違う。
道はない。
でも、迷う感じもしない。
ただ、進まされている。
ふと、視界の端で何かが揺れた気がした。
振り向く。
――何もいない。
当たり前だ。ここには、私しかいない。
なのに、胸の奥が少しだけざわつく。
再び前を見る。
そこに、ドアがあった。
白い。
最初の草原で見たものと、よく似ている。
ただ、一つだけ違う。
扉の表面に、うっすらと手の跡のようなものが残っている。
内側から押されたみたいに、ぼやけた跡。
私は、しばらくそれを見つめた。
ここには、私しかいないはずなのに。
――気にしない。
そう決めて、近づく。
森は静かだ。
静かすぎて、自分の呼吸だけがやけに大きく感じる。
ドアの前に立つ。
白い扉。
何も語らないくせに、何かを隠しているような気配。
私は指先でノブに触れる。
冷たい。
その瞬間、背後で何かが「ずれた」気がした。
振り返らない。
振り返らないほうがいいと、わかっている。
私は目を細めて、小さく笑った。
――次へ。
開ける。
ただ、それだけ。
――続く。