夜の別れと約束
夜の病院は静かだった。
退院が決まり、嬉しい余韻に包まれる×××を見届けたキルアは、名残惜しそうに帰る支度をしていた。
「……そろそろ、俺行くな」
小さく呟く声に、×××はまだ布団に腰掛けながら顔を上げる。
「……うん……気をつけて……」
少し寂しそうだが、笑顔を作ろうとしている×××。
キルアはベッドのそばにしゃがみ、手を握る。
「明日も必ず来る。約束だ」
しっかりと目を見つめて言うその表情には、揺るがない覚悟と優しさが溢れている。
×××は小さくうなずき、目を細める。
「……うん……待ってる……」
キルアは少し笑って、額をそっと×××の頭に寄せる。
「あとで電話もする。辛かったらすぐ俺に話せ」
「……うん……わかった……」
×××は小さな声で応え、でも笑顔を崩さない。
二人だけの病室に、夜の静けさが包む中。
退院前の短い別れは、名残惜しいけれど、互いの存在を確かめ合う温かい時間でもあった。
キルアは最後にもう一度手を握り、ゆっくり立ち上がる。
「じゃあ……また明日な」
「うん……待ってる……」
廊下に出たキルアは、振り返ってもう一度×××の笑顔を胸に焼き付ける。
明日も来る——
そして、電話で話す——
小さな約束が、二人の心をしっかりとつないでいた。
夜の病院の窓から差し込む街灯の光が、二人の絆を静かに照らしていた。
夜の病室。
灯りは消え、窓から柔らかい月の光だけが差し込んでいる。
×××は布団に横になっているけれど、眠れずに天井を見つめる。
心の中で色んな思いが巡る。
「……眠れない……」
小さく呟き、布団の中で手を握りしめる。
窓から差し込む月を見つめながら、今日のことを思い返す。
キルアが抱きしめてくれたとき、事故で痩せてしまったことがバレたこと。
キルアに隠すために少し多めに服を着ていたのに——
「……バレちゃった……」
心の中で小さくため息をつく。
でも、怒られたわけでもなく、心配されてしまったことに、少しだけ胸が熱くなる。
「……でも……キルアには、全部見られちゃったんだな……」
悔しいような、恥ずかしいような、でもなんだか温かい気持ちも混ざる。
リハビリの辛さ、バスケができない悔しさ、事故の痛み——
それを我慢していた自分が、キルアの前では全部見られてしまったこと。
「……でも……いいのかもしれない……」
涙が少し頬を伝う。
全部を抱え込む必要はないのだと、キルアの腕に包まれた温もりを思い出す。
でも、やっぱり少しだけ恥ずかしい。
「……明日も……来るんだっけ……」
窓の外の月を見つめ、ほんの少し笑みを浮かべる。
「……少しだけ、楽しみかも……」
月の光に照らされる病室で、×××は一人で色んな思いを整理しながら、少しずつ心を落ち着けていく。
キルアにばれたことも、心配してくれたことも、全部——胸の奥で温かく感じる夜。
to be continued…






