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ああああああ寝てて気づかなかった最悪…!ごめんなさい! 神すぎません???いやもう最高すぎる…ほんとありがとうございます… てかちゃっかり告っちゃうって何事…!?うわもう好きいいぃ…
「あかん…もう無理や…」
顔が熱い。それなのに体は寒気を訴えている。怠さも相まって思うように体が動かない。こんな典型的な症状は風邪の時のそれだ。
「せっかくちゃんと起きれたのに…」
今日はいつもの4人でホラーゲームをする予定だった。起きたと言っても夕方だし、こんな時間からやるなんてザラだけど、風邪を引いてしまった今は病院に行くこともできない。
家にあるものと言えば氷とかその程度だし、薬局にも行く元気なんてなかった。とりあえず3人には連絡をして、今日の集まりは俺抜きでやってもらうように頼んでみよう。
『風邪引いた 今日 ムリ』
すると、返信はすぐにやってきた。
『腹出して寝てるからだろ』
『鼻声悪化おつかれ』
『安静にしてね』
ガッチさん以外は酷いな…俺のこと絶対心配してないじゃん。
そこに突っ込むのもだるい。気のせいかさっきより熱が上がってきた気がして、目の前がフラフラする。
(本格的にやばいな…)
(なんか聞こえる…)
遠のいていた意識が戻ってきた。どうやら寝ていたらしい。でも、そこは自分のベッドじゃなくてリビングの床だった。ひんやりしていて気持ちいい。
「うるさ…」
風邪なんて引いてなきゃドア開けて怒鳴ってやるんだけど、体の自由が利かない今日は無理そうだ。
フラフラの体を何とか支えながら、玄関の鍵を開ける。
「なんですか…」
薄目でしかその姿を確認できないが、人が立っているのはかろうじて見える。何となく見たことがありそうなシルエットだけど…
「ごめん、体調悪いのに起こして」
あ、この声…
「キヨ…くん?」
「肩貸すから、ベッド行きな」
「なんで…俺今日はゲームできへん…」
「何言ってんの、看病しに来たんだよバカ」
「へ…」
驚いて変な声でちゃった…
今何時なんだろうか、起きてから時計を確認していなかったから、時間が全くわからない。
「今何時…」
「もう23時になるよ」
「え…実況は…」
「とりあえず一本撮ってそのまま解散した」
「じゃあキヨくん、ほんとに…でもなんで…」
「あんたが心配だったからだよ」
あまり聞き慣れない言葉だった。幻聴かな…
「ウィダーと、ポカリと…あとは薬も買ってきたから」
薬局の袋をガサッとベッド横に置くキヨくん。それを漁るキヨくんの顔はいつもとは違う真剣な顔で。どうしたんだろ、相手は俺なのに。俺は渡されたウィダーをちまちま飲んだ。水分も足りてなかったのか、すごくおいしく感じる。
「はい、薬ね。水もあるよ」
何から何までやってもらって申し訳ないような気持ちもあるけれど、今の状態じゃ自分で何とかするなんてとてもじゃないけど無理だった。俺が薬を飲むのを見ると、キヨくんは安心したような顔で俺を見る。
…何だよ、その顔。ずるいだろ。
風邪のときは人肌が恋しいってよく言うけど、本当にそのとおりだ。熱のせいかまともな判断ができない俺は、いつの間にかキヨくんの手を握って、
「キヨくん、このまま握ってちゃだめ?」
すると今までにないくらい驚いた顔をして、何かを我慢しているような顔をした。また珍しい表情だ。ちょっと唇を噛み締めたような、ムッとした顔だ。
「キヨくん?」
「あ…ごめんごめん。いいよ」
「よかったぁ…」
ベッドに座ったキヨくんの手は程よく冷たくて、気持ちよかった。なんだろう、安心する。
「起きたらおかゆ作ってあげるから、それまで寝てていいよ」
「キヨくんが優しいの、気持ち悪い…」
「うるせーな。病人は大人しく寝てろ」
「ほんま、ありがとうな」
薬が効いて眠気が襲ってきた俺は、少しずつ目を閉じる。
(あ…寝そう…)
「眠いんでしょ?寝てな」
「ん…キヨくん…」
握っていた手をおでこに当てて、俺はそのまま眠りについた。薄れゆく意識の中で、ぼそっと呟いたキヨくんの言葉は夢だったのかもしれない。
「風邪のときに告るのは…卑怯かな…」
THE END.