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なんとか寝床から抜け出してやっとの思いでダイニングまで行ってみたものの、両親に驚かれた。
「どうしたの? そんな泣き腫らした顔をして。もしかして映山紅ちゃんにフラれたの?」
「そういうわけじゃ……」
「フラれてないのにそんなに泣いたということはただの情緒不安定?」
それは否定できない。動画を見てしまった僕が悪いのだ。
「夏休みで学校がなくてよかったけど、一人でおとなしく家にいられる?」
「いられる」
学校がなくてよかった。とても登校できる状態ではないから。とはいえ、昨日あんなことがあった翌日に僕が学校を欠席したら、映山紅さんのことだからまた学校を無断早退して僕の家まで飛んでくるに違いない。学校で大勢の中で会うならいいけど、彼女と二人っきりで会って今どんな顔をしていいか分からない。もし夏休みでなかったら、僕は這ってでも登校しなければいけなかっただろう――
「情緒不安定なんでしょ。今日は一日うちの中にいること。いい?」
「近所に踏切も歩道橋もある。衝動的に突飛な行動を取ってしまうこともあるかもしれないもんな。うちから出ないのが一番だ。困ったな。仕事を休んで見張っていたいけど、今日はどうしても仕事を休めない」
「お父さんもですか。実は私もです」
「自殺なんて絶対しないから!」
僕がいくらそう言っても両親は困ったなと繰り返すだけ。ただ今日は彼女と会わず、一日自宅に缶詰めになることは確定。食欲がなくて朝食はのどを通らなかった。 仕方なくまた自分の部屋に戻り、ベッドに入り寝具にくるまった――