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六ろ短編
原作のキャラとは一切関係ありません。
お名前と多少キャラをお借りしております。
解釈違いや喋り方違い等あると思いますが目を瞑って頂けると嬉しいです。
誤字など何かありましたらコメントまで
カプ要素薄め、カプとして書いてないのですが相変わらず距離感バグ( ¨̮ )
両方がクソデカ感情抱いてぶつけ合う六ろさん好き
忍術学園の夜は早い。消灯時間を過ぎ六年生の長屋も静まり返っている。……はずだった。
「長次ーっ! 今日の鍛錬も最高だったな!」
ドガシャァァン! と、およそ寝る前の人間が出すとは思えない音を立てて七松小平太が部屋に飛び込んできた。
中在家長次は行灯の微かな光の中で読みかけの本を閉じ音もなく顔を上げた。
「……小平太。うるさい。」
「なははは! すまんすまん! だがな、裏山の崖を一気に駆け登ったら指先の感覚がなくなってきて最高に楽しかったぞ!」
小平太は豪快に笑いながら着崩れた忍装束を脱ぎ散らかしていく。その背中にはあちこちに擦り傷や泥汚れがついていた。
長次は何も言わず立ち上がって救急箱を手に取った。
「……座れ」
「おっ、悪いな長次!」
小平太はドカッと畳に座り込む。長次は手慣れた手つきで、小平太の背中に消毒薬を塗り、傷の手当てを始めた。
「痛っ……痛たた! 長次、そこはちょっと染みるぞ!」
「……動くな。自業自得だ」
「もそ……」と呟く長次の声は、怒っているようにも見えるが、その手つきは驚くほど丁寧だ。
小平太は「いけいけドンドン!」と突っ走る性格ゆえに、自分の体のメンテナンスは疎かになりがちだ。それをいつも無言でフォローするのが、同室である長次の役割だった。
「なあ長次。お前、今日は一日中図書室にいただろう? 体がなまってしまうんじゃないか?」
「……朝……鍛錬は、した」
「あんなの準備運動だろ! 明日は一緒に裏山を五往復……いや、十往復しよう!」
長次は小平太の提案を無視し、手当てを終えると包帯を巻いた。そして、散らかった小平太の忍装束を拾い上げ、手際よく畳んでいく。
「……もう、寝るぞ」
「なんだよ、つれないな。俺はまだまだ元気……ふぁ、あ……」
寝巻きに着替えつつ威勢のいいことを言いかけた小平太だったが大きなあくびが一つ出た。激しい鍛錬と長次の落ち着く声が彼の高ぶった神経を心地よい眠りへと誘い始めていた。
二人は布団を並べて横になる。
しばらくすると、隣から「スピー……スピー……」と、規則正しい寝息が聞こえてきた。さっきまでの騒々しさが嘘のようだ。
長次は暗闇の中で、隣で眠る親友の気配を感じていた。
自分勝手で振り回されることも多い。だが、小平太の底抜けの明るさと行動力に、自分自身が救われていることも自覚していた。
長次は布団からはみ出した小平太の手を、そっと布団の中に戻してやった。
「……おやすみ、小平太」
その呟きは誰に届くこともなく夜の闇に溶けていった。
長次の唇の端が緩やかに上がり優しい顔をしていることは眠っている小平太は知らない。
忍術学園の夜は、静かに更けていく。
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コメント
1件
ふたりの空気感がめちゃくちゃ良いですね。小平太がド派手に帰ってきて傷だらけで騒ぐところと、長次がそれを無言で手当てして片付けまでする対比が印象的です。あと、長次の「自業自得」と言いながら手つきは丁寧なところとか、小平太が寝たあとに手を布団に戻して「おやすみ」って呟くシーンにじんわり来ました。お互いを補い合ってる感じがすごく伝わってきて、続きも読みたくなります。