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──だぁ・すかー・夢魔 視点──
2時間が経った頃、だぁたちは自然とリビングへ向かっていた。特に理由もなく、ただ静かだったから様子を見に行こうか、そんな程度のつもりだった。
リビングのドアをそっと開けた瞬間、だぁが息を飲む。
「……おい、見ろ。」
ソファには、ネグとマモンがぴったりくっついて眠っていた。
本当に、肩どころか顔も触れるんじゃないかってくらい。
その距離感に、さすがのすかーも眉をひそめた。
「いや、近すぎだろ……」
夢魔もため息混じりに呟くが、声はどこか柔らかかった。
だぁは無言のまま、スマホを取り出す。
カシャッ――カシャッ――
「……おいおい、撮るんかよ。」
「当たり前だろ……これは撮るしかない。」
すかーも同じくスマホを取り出し、夢魔も仕方ないなという顔で一緒に写真を撮り始めた。
静かに、でも確実に、何枚も何枚もシャッターが切られていく。
「……こんなん、撮らずにいられるか。」
だぁの声は完全に緩んでいた。
いつもの冷静なだぁとは思えないくらい。
それぞれ満足するまで写真を撮ったあと、だぁがそっとネグとマモンの上に毛布をかけた。
すかーもため息をつきながら、もうひとつのソファを横にくっつけて、安全確保。
「落ちたらまた面倒だしな……」
「ほんとそれ。」
3人はしばらく無言でその光景を見守っていた。
その時――
「ん……んぅ……」
ネグが小さく寝言を漏らす。
それにマモンがうっすらと目を開け、眠たげに顔を上げた。
「……ん、起きなきゃ……」
小さく呟いて身体を動かそうとした瞬間。
ネグの手が、無意識にマモンの服をぎゅっと掴んだ。
「……えっ……?」
マモンの動きがピタリと止まる。
そのまま数秒間、完全に固まってから、そっとネグの方を見下ろし――
「……」
何も言わず、そのまままた目を閉じた。
すかーが眉をひそめながらも、小声で漏らす。
「……止まったな。」
夢魔も軽く笑っていた。
「ありゃ可愛すぎて無理だわ……」
だぁはただ静かにその様子を見つめていた。
心の中では既に――
(……ああ、ダメだ、これは反則だろ……)
そんなふうに思いながら。
数分後、今度はネグがゆっくりと目を覚ました。
ふわりと髪を払って、眠たげに立ち上がる。
そして、ふらふらと台所へ。
コップを取り、水を注ぎ、ゴクゴクと飲むネグ。
それを夢魔たちは無言で見守っていた。
「……俺も。」
不意に、マモンが目を開けて呟く。
ネグは何も言わず、さっとマモンの方へ歩いていき――
そのまま、コップをマモンの口元に持っていった。
自然な動作だった。
「……ありがと。」
マモンはぼんやりしたまま、それを少しずつ飲んでいく。
そのやり取りに、3人の視線が完全に釘付けだった。
すかーが小さく口を開く。
「……は?今、なに見せられてんだよ……」
だぁも思わずスマホを構えて、また写真を撮り始めた。
夢魔も無言でカメラを向ける。
「これは……永久保存だな。」
カシャッ――カシャッ――
静かにシャッター音が響くリビング。
そして、マモンが飲み終わると、ネグはコップを戻し、そのままマモンの隣に座ってまた身体を寄せ合い眠り始めた。
すかーが深く息を吐いた。
「はぁ……もうさ……可愛いけど……めんどくせぇな、いろいろ。」
それでも誰ひとり、嫌な顔をしているわけではなく。
結局は、また3人でその様子をひたすら見守り続けた。
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