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第四章「マイキーの闇落ちと麗那の探す日々」
不穏な朝
夏休み明けの学校。
教室の席に座ると、いつも隣にいるはずのマイキーがいない。
「今日も……来てないのか?」
胸がぎゅっと締め付けられる。
放課後の教室やバイク置き場、いつも通りの場所を探しても姿はない。
男子たちに訊ねる。
「マイキー、最近どうしたんですか?」
「……ちょっと、様子がおかしかったな」
「街の方で見かけた人もいるって」
情報は少しずつ集まるけど、希望と不安が交錯する。
⸻
毎日の探し回り
学校が終わると、街中をくまなく歩き回る麗奈。
「マイキー、どこにいるの…?」
声にならない声でつぶやく。
図書館、公園、バイクの集まる場所、駅周辺…
あらゆる場所を探すけれど、どこにも彼の姿はない。
携帯でメッセージを送っても返信はない。
仲間たちも協力して情報を集める。
「一虎が梵天に関わる話をしていた」
「灰谷蘭も何か知ってるかもしれない」
胸の奥が痛む。
あの温かかった手の感触、笑顔、冗談——
全部が遠くなった気がして、麗那の心は焦燥に包まれる。
⸻
灰谷蘭との出会い
ある日の夕方、街を歩いていると、影のように現れる灰谷蘭。
「君、マイキーを探してるんだろ?」
「……はい」
冷たい風が吹く中、でもその目は真剣。
「なら、連れて行く」
不安と期待が入り混じりながら、麗那は後ろをついていく。
胸の鼓動が止まらない。
途中で灰谷蘭が手を差し伸べる。
「この先は危険だ。しっかりつかまってろ」
その言葉に少し緊張しながらも、麗那は手を握り返す。
⸻
梵天への道
夜の街を抜け、建物の明かりが見えると梵天のアジトが姿を現す。
大きな建物、緊張感のある空気、警備の影。
「ここが……」
呼吸が荒くなる麗奈。
灰谷蘭の後ろをそっとついて進む。
廊下を抜け、奥の広間に入ると、そこには長く伸びた金髪のマイキーがいた。
痩せて少し影が差した顔。
完全に闇落ちしていた。
「……麗那」
その声だけで、胸が震える。
走り寄りたい気持ちと、恐怖が入り混じる。
⸻
再会と少しの希望
マイキーは完全に闇落ちしていたけれど、
麗奈が探してここまで来たことを知り、少しずつ心を取り戻す兆しが見える。
「……ありがとう、麗那」
手を握り返す感触に、涙があふれる。
「マイキー、もう怖くないよ。私がそばにいる」
その言葉に彼は小さく微笑む。
二人の距離は少しずつ戻り、希望の光が差し込む——。