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校庭にはテントや屋台が立ち並び、色とりどりの装飾でにぎやかだった。
生徒たちは笑顔で準備を進め、教室や廊下からは楽しそうな声が聞こえる。
「雷坊主、準備はできてるか?」
宇髄天元が教室に入ると、善逸は小さく返事をする。
「はいっ先生、僕…ちゃんとできるかな…」
顔を赤くしながらも、心の奥に少し自信が芽生えていた。
「大丈夫だ。お前の声は、もう俺が保証する。」
宇髄は胸を張り、派手な笑顔で善逸を見下ろす。
「せ、先生…!」
善逸の胸が高鳴り、自然と背筋が伸びる。
舞台に向かう二人。音楽室での特訓の成果を見せる時が来た。
善逸は楽譜を握りしめ、ピアノの前に立つ。
宇髄は隣で、軽く手を握る。
「緊張する…けど、先生と一緒なら…!」
幕が開くと、観客の視線が一気に善逸に注がれる。
胸が高鳴るが、宇髄の存在を感じると不思議と力が湧いてきた。
ピアノの音が響き、善逸の声が空気を切り裂く。
最初は小さかった声も、次第に豊かで力強く、心を震わせるように広がった。
宇髄は隣で微笑み、時折手を握り返す。
「そうだ…その調子だ、雷坊主。」
善逸はその言葉に胸がいっぱいになり、全力で歌い続ける。
心の中の臆病な自分はもうどこにもいない。
ただ、先生と一緒に作り出す音楽――それだけが存在する。
曲が終わった瞬間、観客から大きな拍手が巻き起こる。
善逸は息を切らしながらも、思わず宇髄の顔を見上げる。
「ふん、最高だったぞ、雷坊主。」
宇髄の笑顔は、いつもより少し優しく輝いていた。
善逸は頬を赤くしながらも、小さく笑う。
「せ、先生…ありがとうございます…!」
舞台裏に戻ると、宇髄がそっと善逸の肩に手を置いた。
「今日のお前…ド派手に輝いてたな。俺、誇りに思うぜ。」
善逸の胸は熱くなる。
「僕…先生に褒められると…嬉しいです…!」
二人の距離はもう、単なる教師と生徒のものではなかった。
音楽室での放課後、特訓、そして今日の舞台――
すべてが、二人を少しずつ近づけていたのだ。
夕日に染まる校庭を背に、善逸はそっとつぶやく。
「…先生、僕、もっと先生のそばで頑張りたい…」
宇髄は少し驚いた表情を見せるが、すぐにいつもの派手な笑顔で答える。
「ふん、いい心意気だ。じゃあ、これからも俺と一緒に、ド派手に生きようぜ。」
こうして、雷の少年とド派手教師の絆は、学園祭という特別な一日を経て、
確かなものへと変わった――甘く、熱く、そしてド派手に。