※前回を読んでから読むことをおすすめします
ナチス視点
ナチス「き、今日・・・一緒に寝てくれないか・・・?///」
ドキドキと五月蝿い心臓を何とかあやしながら彼に問いかける。顎に手を当て、少し考えているような彼。気持ち悪いと思われないだろうか、大丈夫だろうかという不安が心で囁く。
ソ連「・・・分かった。そうしよう。先行っててくれ。後から行く。」
彼はそう言い残して、シャワールームに入っていった。やった!と、達成感で心が晴れる。ニヤつきが抑えられない。
ナチス「(フフッ、いつぶりかな・・・、一緒に寝るの・・・。)」
嬉しさが勝手に私の表情を笑顔に変える。もう彼の事を”オトモダチ,,とは見れなくなってしまった。一人の”男,,と見るようになってしまった。
??「ナチスお姉さん・・・」
ナチス「わっ!だ、誰だ!」
??「僕です。ウクライナです。」
ナチス「あ、ウ、ウクライナ君か。どうしたんだ?」
ウクライナ(幼少期)「・・・お父さんの事好きなんですか?」
ナチス「ん゙っ!?///」
ロシア(幼少期)「知ってるよ。お父さんの事好きなの」
ベラルーシ(幼少期)「ナチスお姉さんがママになるのー?」
ナチス「違う!///断じて違うぞ!///」
ロシア(幼少期)「嘘だ〜」
ウクライナ(幼少期)「兄ちゃん、敬語にして」
ロシア(幼少期)「あ、ごめんなさい」
ナチス「いや大丈夫だ。」
ベラルーシ(幼少期)「ナチスお姉さんがママになったら新しい兄弟できるの?」
ナチス「兄弟!?///」
ロシア(幼少期)「ベラ、早く寝ないとお父さんに怒られるよ」
ベラルーシ(幼少期)「はぁい」
ウクライナ(幼少期)「おやすみなさい、ナチスお姉さん」
ナチス「お、おやす・・・///み・・・///」
今の子・・・凄いな・・・、色んな意味で・・・。今の私の顔はさぞかし真っ赤だろう。まるでバラのようにな。ソビエトの部屋はどこだろう。さっさと部屋に行って、先に寝ていようか。
ナチス「(奥の部屋だったかな・・・・・・)」
キィ・・・バタン(扉を開ける音)
彼の部屋はとても質素。ベッドにテーブル、椅子、窓とカーテン、クローゼット。そんなものがあるだけの部屋だった。昔の彼の部屋は、沢山のおもちゃや小綺麗な小物があったのに。
ナチス「(時間や立場が、彼を変えたのかな・・・)」
昔の面影なんて残っていない部屋になった。これを喜ぶべきか悲しむべきか分からず、心の中がぐちゃぐちゃの絵の具みたいになる。
ナチス「あの頃の方が・・・・・・、良かったのかな」
あの頃の純粋な頃はこの世のドス黒さなんて知らなかった。世界は美しいものだと勘違いしていられるほど真っ白だった私。あの頃の方が幸せで、可憐だったかもしれない。
ナチス「・・・寝るか」
ベッドは大きい。あの巨体が寝るからだろう。普通の大きさのベッドじゃ、まともに寝れなさそうだ。
ナチス「んふふ・・・・・・ふかふか」
ふかふかで暖かいベッドにすっぽり収まる。布団も暖かくて、寝心地は最高だ。もしかしたら、と素朴な疑問でスンスンと鼻を効かせる。
ナチス「・・・・・・はは、変わってないな。これだけは」
昔と今、何ら変わらないものが1つだけあったみたいだ。彼の匂いだ。あの匂いはいつまでも変わっていなかった。あのヒマワリみたいな匂いに、変化は無かった。懐かしい匂いがベッドに染み付いている。お陰で全身を包みこまれる様だった。
ナチス「落ち着くなぁ・・・、この匂い」
疲れ切った体を夢の世界に送り込むには十分すぎる環境が整っていた。まるで『床にお入り』と母親にあやされた子供の様にすんなり寝てしまいそうだ。
ナチス「ん・・・・・・・・・」
ナチス「んぅ・・・・・・?」
違和感に叩き起こされた。体中に何かがくっついている・・・のか?重たい瞼を持ち上げながらあたりを見回す。
ナチス「・・・え」
分かった。どうりで動けないわけだ。
ナチス「ソビエト・・・・・・?」
ソビエトに、抱き締められていた。私の首元に顔を埋めて、甘えるようにすり寄っていた。
ナチス「(無意識・・・・・・なのか?)」
子供みたいだった。あの冷徹な彼からは想像できなかった。無意識の行いなのか、意識しているものかのか、真偽は私には分からない。
すると、肩のあたりに何か生温かい液体がある事に気付いた。それは確かに私の肩を濡らしている。
ナチス「(泣いているのか・・・・・・?)」
随分と静かに泣くタイプなんだろう。啜り泣いているというよりかは、すこし儚げな感じがした。無理もない。こんな状況で、心のより所のような人もいなくて、国民を安心させる為に常に前に向かって歩み続ける。これが私達。これが国の化身。
ナチス「・・・」
抱き締める力が更に強くなる。背中をゆっくり擦ってやっても、今だに彼は泣いている。
ナチス「・・・Guten Abend, gut’ Nacht,mit Rosen bedacht,mit Näglein besteckt ,schlupf unter die Deck’Morgen früh, wenn Gott will,wirst du wieder geweckt.[こんばんわ、お休みなさい。ばらの天蓋の下にクローブを入れたわ。お布団にお入り。明日の朝は、神様のおかげで目覚めるでしょう。]」
ブラームスの子守唄。ドイツの曲で穏やかなメロディだから、私のお気に入りだ。私が幼い頃、眠れない時があったらお父様は必ずこれを歌ってくれた。この子守唄が大好きで、歌詞を完璧に覚え、私もドイツに歌ってやる事もあった。
ソ連「・・・・・・ナチ」
ナチス「!?お、起きてたのか!?」
ソ連「・・・途中から」
ナチス「い、言え!起きてたのなら・・・!」
ソ連「・・・ん」
首元に少しの痛みが走る。一瞬、驚いたし、戸惑った。間違いない、首元を噛んでいる。それも、傷つけるためじゃない様な噛み方で。
ナチス「んっ・・・・・・」
ソ連「悪い・・・・・・・・・、今はこうさせてくれ・・・・・・。」
辛いんだろう、悲しいんだろう。せっかく新しい国になったのに、平和な世界じゃなかったのが苦しいんだろう。
ナチス「・・・・・・・・・」
今だけは
今だけは
私の身を委ねる事にしてやった。
〜翌日〜
ソ連「・・・昨夜は悪かったな。」
ナチス「?なんの事だ?」
ソ連「は?俺はお前に・・・」
ナチス「さぁ?分からないなぁ?夢でも見てたんじゃないのか?」
ソ連「・・・そうか」
ナチス「じゃあ、私は帰る。色々世話になったな。」
ソ連「あぁ、分かった。」
夢な訳ない。しっかりとした現実だ。あんな嘘に騙されるなんてつくづく馬鹿だと思う。
ナチス「ふふ・・・・・・、物好きなんだな。私って」
そんな私の独り言は、寒いロシアの土地で雪のように溶けた。
ソナチ。てぇてぇ。ぐへへ。
コメント
1件
あ...最高か?健全もやっぱ良いなあ...