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☆☆☆


「あーあ、ふたり乗りのゴーカートで車重があるはずなのに、また雅輝さんに記録を抜かされちゃいました」


助手席でなんとかヘルメットを外し、息を乱して動けないでいる橋本を尻目に、宮本はさっさとゴーカートを降りて、佐々木に向かい合った。


「俺の走りは、大会向きじゃない。だから、気にしなくていいですって。佐々木くんは、そのまま走ればいい」

「気にするに決まっているでしょ! 雅輝さんのドラテクは、人を魅了するものがあるんです。あんな走りを大会でして、トップでゴールした日にゃ人気者間違いなし!!」

「人気者……そんなのに興味ないよ」


まぶたを伏せて切なげに微笑む宮本の様子に、佐々木は首を傾げた。


「雅輝さん?」

「佐々木くんごめんね。俺の運転で陽さんが疲れちゃったみたいで、動けなくしちゃったんだ。背負って帰るから」

「雅輝さんの走りを、ここで直接見ることができたんで、すっごく満足してます。遠慮なくゴーカートを置いていってください。僕が戻しておきます」

「ありがとう。それじゃあね」


佐々木に背を向けて歩きだす大きな背中は、どこかしょんぼりしたように、佐々木の目に映った。


「陽さん帰りますよ。よいしょっと!」


橋本が返事をする前に、助手席から軽々と抱え上げて、お姫様だっこをすると、二の腕の中で照れた恋人が躰を身動ぎさせる。


「雅輝大丈夫だって。歩けるから下ろせよ」

「暴れると危ないですって。俺の運転で三半規管が麻痺してるんですから、大人しくしていてください」


橋本の現状を突きつけたら、困惑の表情のまま固まる。言うことを聞いてくれたことに安心して、駐車場に向かって歩いた。


「雅輝、俺を背負うと佐々木さんに言ったくせに、どうしてこの格好なんだ?」


あと少しで、駐車場に到着する間際に告げられた橋本のセリフに、宮本はにっこり微笑んで答える。


「背負うよりもこうして自分の両腕で、陽さんを感じていたいって思ったんだ」

「だったら俺もなにかあったら、おまえのことをこうやって抱きあげて、雅輝を感じるからな。文句を言うなよ!」

「陽さんにお姫様だっこされる俺の姿……。もう少し俺がイケメンだったら、陽さんの行動が映えるだろうに」


盛大にため息をついてから、橋本をハイヤーの横に下ろした。


「誰かに見せつけるために、おまえを抱きあげるわけじゃねぇんだから、うだうだ言うな」


ふらつきを隠す感じでハイヤーに背を預け、宮本に食ってかかる橋本に、これ以上の文句が言えなくなった。

不器用なふたり この想いをトップスピードにのせて

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