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郁不
340
341
サウジアラビア
103
Hisui Mizushiro
44
相も変わらず当然のように毎日千空の近くに来るゲン。
どうしてもそれが必要以上に見えた千空は、それをやや茶化す。
「…おいメンタリスト。お前俺がいなかったら生きていけねえのかよ」
ゲンが振り返って笑う。
「もちろん生きていけるよ」
「ならそんな毎日来んなって。他のことに時間使りゃいいだろ」
「んー…そういうことじゃないと思うんだよね」
首をかしげる千空の前で、一本花を出す。
「ホラ、花見てたら心安らいだりするでしょ?俺にとっては、この花が千空ちゃんってこと」
「…気色悪いなてめぇ」
「まあねー」
ただ、とゲンは続ける。
「俺はさ、毎日千空ちゃんがいる前提で生きてるからさ」
マジックで出した花を千空に差し出す。
「勝手にいなくなる前提で話されると困るわけよ」
差し出したそれは蛇の目菊。
白く小ぶりな、ひまわりのような花。
この花を選んだ意味なんて、千空はきっと興味さえ持たないだろう。
そんなヤツだからこそ、この花を堂々と渡せるんだ。
何言ってんだ?と怪訝な顔をする千空の前でゲンは笑顔を消してみせる。
今までの軽すぎる口調。
一転し、目だけが真剣で。
千空は本能で視線を逸らす。
「わーったわーった。なるべく死なねえようにすっから」
「…へえ」
冗談めかしたその言葉。
今日だけは乗らない。誤魔化されてやらない。
笑顔なんて微塵も作る気がなさそうなゲンに気圧され、今度こそ千空が降参するように両手をあげた。
「…じゃ、いなくならねえようにする」
「うんうん、それでいいのよ♪」
ゲンに笑顔が戻る。
無意識に詰めていた間合いに気づき、いつもの距離を取った。
壁まで追い詰められていた千空は安堵したように壁から身を離す。
「おいゲン。てめーもだろ」
その返事に反応したようにゲンの肩がビクッと揺れる。
ゲンはそれに気づいたのか気づいていないのか、ふいと顔を逸らした。
「…考えとくよ」
ほんの少し困った顔。
ちゃんと約束しろよ、と言いかけた千空は言葉を飲み込んだ。
「…チ」
これ以上踏み込めば逃げられる。
もどかしさと苛立ちを殺し、やむなく問い詰めるのを止めた。
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