オスライオンは獲物をくわえてじりじりと近づいて来ました。か弱い子供はライオンにとってごちそうです。ハーフテールはビューリーといっしょにその場を離れようとし、とっとっとって走って逃げました。しかし、獲物をパクリとたいらげるとなんと追跡し始めました。この放浪ライオンはたてがみの色がやたら薄いので大人のヒョウに襲いかかって子供を奪えるほど強くありません。ライオンの強さはたてがみの色の濃さがすべてを表しています。それを知っている賢いハーフテールは子供を先に歩かせ、自分は子供の後ろをついていきます。そして唸ったりなんだりして追い払おうとしました。しかし、それでも執念深く追いかけてきます。
距離があと一メートルというところまで迫ってきたとき、ハーフテールは飛び出しました。そしてライオンの首元に飛びつきました。そして首を思いっきり噛みつきました。幸い、弱いライオンだったのでたてがみの量も少なく、簡単に自分の犬歯がライオンの首に届きました。いきなり襲いかかられたオスライオンは驚いて反撃するも、すぐに逃げ出しました。ハーフテールは勇敢に大事な子供を守りきったのです。
そしてビューリーは独り立ちをしました。美しく、そして厳しい自然へ旅立ったのです。
次に授かったのはバリストンという名のオス。好奇心旺盛ですが、そこが母、ハーフテールを心配させました。「好奇心は猫を殺す」という言葉があり、何もかも、やみくもに近づいてはいけないのです。そして生後三ヶ月になったバリストン。ハーフテールと並んでひょこひょこ歩いていたある日。突如、焦げ茶色の影がよぎり、バリストンは消えていました。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!