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14 - “当たり前のように未来を語るから”

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2025年08月10日

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最近暑いですよね、熱中症気おつけてください。


✄——————-‐✄


薄いカーテンが揺れるたび、午後の光が病室の床にまだら模様を描いた。その光の中で、恵美は楽しそうに未来の話をしていた。


「退院したらさ、一緒にイタリアに行こうよ。ヴェネツィアの運河をゴンドラで巡って、本場のピザを食べるの。


その次はパリがいいな。ハルトが好きな美術館を全部回って、それから…」


彼女の声は、かつての弾けるような明るさから、少し掠れて弱々しくなっていた。それでも、瞳の中に宿る希望の光だけは、少しも揺らいでいないように見えた。


ハルトはただ、相槌を打つことしかできなかった。彼女の言葉の一つ一つが、鋭い刃物のように胸を抉る。


医師から告げられた余命宣告。


それは、恵美の未来を語る度に、現実の重さとなってハルトを押し潰した。


彼女の無邪気な夢が描かれるほど、現実の壁は分厚く、冷たくなる。


彼女が話す未来の計画は、すべてが叶うことのない幻だった。二人で笑い合った日々の記憶が鮮明によみがえり、その幻とのギャップに、ハルトは息が詰まりそうになる。


彼女の手を握りしめる力が強くなったのは、せめてこの瞬間だけでも、この温もりだけは現実だと確かめたかったからだ。


「ねぇ、ハルト。どうしたの?」


恵美が不思議そうに首を傾げる。ハルトは無理に笑顔を作り、「なんでもないよ」と答えた。


そして、彼女が再び楽しげに話し出すのを聞きながら、心の中で呟いた。


当たり前のように未来の話をするから困っちゃうよね。


「当たり前のように未来を語るから」

作・ぺろ


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