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その瞬間顔がやけに熱くなったのを感じた。









春千夜「う、わ…………、まじ、か、」




体をよろめかせながらなんとか力を踏ん張り、近くにあった壁に寄りかかる。



春千夜(うそだ、なんで、そんな。そもそもいつから……。今までは恋なんて、そんなことなかったのに、普通だったのに……、告白されたからって⋯。なんで、急に⋯)





何故、どうして、そんな疑問ばかりが頭の中に浮かんだ。



春千夜「そもそも、あいつのどこを……、。あ、っ」





あるじゃないか。告白を聞いてから知った、あいつの今まで気づかなかったところが。




俺を見ててくれて、俺を本気で好きでいてくれてる。


これだけでも好きになる要素としては十分だ。









何故好きになったかなんて……



春千夜「明らかじゃねぇか……、//」
















そんなはずない、なにかの勘違いだ、そう思いたいはずなのに、あいつのことを思い出す度に心が高鳴る。





春千夜「クッソ……」






こんなの疑う余地もねぇよ。









春千夜「……俺は、……あいつが、」









春千夜「蘭が、好きなんだ。」



















自覚してから数日が経った。








蘭の気持ちもわかってるし、さっさと告ってくっつけばいい話なんだが





それがなかなか上手くいかない。







好き



そう言おうとする度に言葉は途絶えて、喉を詰まらせる。


高くなるBPM、赤くなる耳、熱くなる体。全てがあいつへの俺の気持ちを表しているのに、伝わらない。





もどかしい、好き、もどかしい、苦しい、好き



こんな気持ちが繰り返し募るばかりで日々は過ぎていった。













この日もそんな思いを抱えながら、いつも通り出勤していつも通り自身のデスクに腰を下ろし、日程表に書かれた今日の俺の予定を確認する。










春千夜「……あ」




春千夜「今日おれ、仕事昼までじゃん」





珍しく今日は午後の仕事が入っていない。 久しぶりの午後休になんだか心が踊った。



何しようかな、あぁ、そうだ、行きたい場所があったんだった。あそこに行こうかな。


なんてこの後の予定を今のうちから早々に組み立てる。









春千夜「……」




もう一度日程表に目を移した。









春千夜「⋯今日は蘭も、午後休、か」



そうなのだ。偶然か必然か、なんとあいつとも午後休が被っていたのだ。



『      蘭       』



その名前が頭に浮かぶと同時に体が少し熱くなる。そんなことが起こる度に俺はあいつに本当に恋心を抱いているのだなと再確認する。















春千夜「⋯、よし、」







ここは、覚悟を決めろ。







漢、三途春千夜。あいつを本日、デートに、誘います。


















春千夜「ぐあぁー、どーすりゃ、いいんだ……。」




先程、あれほどタンカを切って心の中で宣言したのに……、恥ずかしいことに、何も良案が思い浮かばなかった。






恋愛初心者で、恋愛のれの字も分からない俺がどうしろと言うのだ。



誘い方も、プランの立て方も、服装もタイミングも、何も分からない。


春千夜「そもそも、デートって、なんなんだ⋯。」


うーん、と頭を悩ませる。



蘭「はーるちゃん!」


聞きなれた声に体をびくつかせる。


春千夜「うわ!⋯⋯んだよ、お前かよ」




現在進行形で俺を悩ませているやつが現れた。




蘭「んー、なに、まーた、なんか悩み事?」


春千夜「いや、別に⋯」

お前の事で悩んでいるんだ。とはさすがにいえなかった。





蘭「え、なになに、もしかして俺の事?♡」



春千夜「⋯⋯んなわけ、ねーだろ」







心を読まれたような言葉に一瞬ドキッとするも、すぐに平常心に戻り、平静さを保ち答える。




蘭「んー?間があったけどぉ?」




春千夜「ちげーっての、ほら、もういけ!」



さすがに、2度目は揺らがねーよ。




蘭「はーい、」

蘭が残念そうな顔をしながら去っていく。




春千夜「⋯」



ここで、帰して、ほんとにいいのか? 声をかけられるのは今だけかもしれないぞ?







恐怖、不安、迷い、多くの感情が俺の中に渦巻く。






恋愛ってのはこうも厄介なものなのか。


なんて思いながら、





春千夜「⋯まて、蘭」





蘭「え?」








俺は無意識のうちに、蘭を、引き止めていた。







断られるかもしれない、なんて、何度も考えた。



でも、それでも、やっぱ、やらなかったことを後悔するのは、俺のたちにあわねぇ。

どうせするなら、やった後悔だ。









春千夜「今日、その⋯、午後休、だったよな?」




慎重に言葉を選びながらそうといかける。







蘭「え、うん、そう⋯、だけど」







よし、言うぞ、言うと言ったら言うぞ、





恋愛初心者なりに何度も考えて、選んだ言葉を今。







春千夜「⋯その、今日、もし、午後空いてるなら⋯あ、⋯と、」



蘭「?」





言え、言うんだ。





春千夜「デーt、じゃなくて!サシで!サシで飲みいかねーか?」



よし!考えてた言葉とは少し違ったが、なんとか言えた!




あとは、蘭の答え次第だ。






蘭「⋯」







こんなこと急に言われて蘭はどう思っただろうか、嫌だっただろうか。いや、まさか嫌だということは無いだろうが……。


そんな思いとは裏腹に心臓は心拍数を上げている。OKされたら、どうしようか、そんな期待で胸がいっぱいになっている。









春千夜「、蘭?」



なかなか答えを言わない蘭に問いかける。





蘭「⋯⋯⋯あ、ごめん、⋯んー、そーだな」


蘭「偶然今日はちょーぜつ暇だったし?まぁ、しょーがねぇから行ってやるよ♡」






その言葉に、ほっと胸を撫で下ろす。



春千夜「そうか、⋯じゃあ、わかった。詳細は、また後で」


喜びを隠した声でそう答えた。


蘭「おー、」



春千夜「⋯じゃあな、」



この気持ちを悟られないうちに早々に別れを告げた。


蘭のさよならの言葉も聞かないうちに歩き出す。












感情が心の中に入り乱れる。その多くは、自分の中で今まで感じたことの無い初めての気持ちだった。

すっぱくて、苦くて、それでいて、








春千夜「⋯⋯甘い⋯、」











恋って、すっげぇ、めんどくせーものだと思ってたけど、



春千夜「⋯、こんな気持ちが感じられるなら、悪くない、かもしれねぇな⋯、」







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読んでくれてありがとうございます🙇‍♀️



次回二人の関係が動く予感!


大っ嫌いな部下が俺の事大好きだった件について。【蘭春】

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