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「 No.1ホストと幼馴染」 ― ya × et


しかしあの夜以来、えとさんは店に顔を出さなくなった。

誰もが常連だと思っていた彼女が、ぱたりと姿を消したことで、店の空気すら少しだけざわつく。


けれど、ゆあんくんは表面上いつも通り。

冷たい笑みを崩さず、グラスを傾け、誰にでも完璧な言葉をかける。


……ただ、営業が終わりひとりになると、スマホを手に取ってしまう。


「……」

画面に映るえとさんの名前。

メッセージを打っては消し、打っては消し。


――ホストが、客にプライベートで連絡?

そんなの、プロ失格だ。


でも。


「会いたい。」


小さな声が夜のロッカー室に落ちる。

その一言を、結局送信ボタンには乗せられない。


既読がつかない画面を眺めながら、彼は気づく。

(……俺、もう“仕事”じゃなくて……ただの男として、あいつに縋ってる。)


吐き捨てるように笑った。

「……ホスト失格だな、俺。」


それでも指は止まらない。

震える手で、彼はようやく一文を打ち込む。


――『元気にしてるか?』


送信。

画面に浮かぶ小さな青い矢印。

その返事が来るかどうか、それが今夜の全てになっていた。





No.1ホストと幼馴染

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