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「 No.1ホストと幼馴染」 ― ya × et
あの日。あの夜。メッセージを送ったときからどれくらいたっただろうか。
営業を終えて、照明が落ちたフロアを背にロッカー室へと戻るゆあんくん。
疲れた顔を鏡に映しながらも、指は勝手にポケットからスマホを取り出していた。
――通知0。
何日も続く沈黙。
もう慣れたはずの光景なのに、胸がぎゅっと締め付けられる。
「……やっぱ俺のことなんか、どうでもいいんだろ。」
苦く笑って、電源を落とそうとした、その時――
ピロンッ。
……画面に浮かぶ、見慣れた名前。
『ごめんね。ちゃんと元気だよ。』
一瞬、呼吸が止まった。
震える指で開いたメッセージ。
そこには短いけれど、間違いなく“彼女の声”が宿っていた。
「……っ」
胸が熱くなる。
張り詰めていた糸がぷつりと切れたみたいに、ロッカーに額を押しつける。
誰もいない深夜の店内で、彼はようやく小さく笑った。
(……よかった。生きててくれれば、それだけで……)
だけど同時に、抑えていた想いがどっとあふれる。
「元気だよ」だけじゃ足りない。
会いたい。声を聞きたい。触れて、確かめたい。
ゆあんくんは再び画面に文字を打ち込む。
指先が震えて、何度も打ち直しながら。
――『よかった。……でも、会って話したい。』
送信ボタンを押したあと、心臓がうるさいほど鳴り響く。
返事が来るか来ないか、それが世界のすべてだった。