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いや、めっちゃグッときた…。フェス前のわちゃわちゃしたやり取りから一転、事故で空気が一気に変わるのがリアルで息が詰まった。特に重岡くんの必死な呼びかけが切なくて、読んでて胸がぎゅっとなった。続きが気になりすぎる…! 如月風佳さんのメンバー同士の関係の描き方、好きだわ。
夏フェス。セミだって暑すぎて鳴かないほどの暑さと、真っ青な空。
「いやー!!晴れた晴れた!!」
重岡はニシャニシャ笑いながら、両腕を空へ突き上げた。
「やっぱ、WEST.は晴れグループやな」
昨日までなかなかの雨だったのだ。笑う桐山に重岡は太陽のように笑う。
「いっちょ、かましたろなーっ!!!めっちゃ楽しみやっ!!」
ライブはもちろんだが、フェスはやりがいがある。ライブではファンの前で歌や踊りを披露するが、フェスは自分たちのグループ名も知らない人たちがいて、その人たちに歌や思いを放つのだ。手拍子や合いの手などが返ってきたときは、それはもう最高だった。
「あれ?淳太は?」
重岡の言葉にコーヒーを飲みながら藤井は答える。
「神ちゃんに振り付け見てもらうゆーてたで?次の新曲の…」
「んー、そうなんや。行ってこよ。」
ニシャニシャ笑う重岡に藤井は苦笑する。また、からかいに行ったなと…
「んで、のんちゃんどこなん?」
「インスタ動画とるゆーてたで…。」
「あの子もマメやなぁ。―――あと、崇裕は?」
「しらん、フラフラしとんのっちゃう?会場周って見てると思うけど。俺もインスタの写真取ってくるわ。」
藤井がカメラを見せてそう言うと、桐山は「おぉ!」と笑って見せた。
「俺も淳太んとこ、行ってこよか。」
「あ、今の逆。右からやな。」
神山に言われ、中間は一瞬天を仰いだ。いや、正確にはテントの天井だった。音響スタッフ用のテントの隅で練習しているのは出演者グループ待機のテントがまだ張られていないからだ。昨日風もだいぶ強かったので事前に出す事は出来なかったのだ。骨組みだけがテントの端に立てかけてある。
「ごめんなー…神ちゃん。」
「ええて。――淳太は体に入ってしまえば絶対できるから。」
そう言われて、「うん、ありがとぅ」と言ってもう一度アタマから始めようとした時。
「淳太――!!!」
「おっと?」
重岡の声に神山が笑いながら呟いた。重岡が走ってくる。当然中間は知らないフリをする。
「淳太淳太淳太淳太!!!!」
「聞こえてんねん!!!うっさいわお前!!」
抱きつく勢いで寄ってきて、思い切りニヤニヤ笑いながら
「淳太淳太淳太淳太!!!!」
名前を連呼される。
「やかましい!!うるさて耳腫れあがる!!!」
バックハグされながらの大音量。どうにか離れようとするが、プロボクサーの羽交い絞めはさすがに解けない。
「お前が腫れてるのは唇ですぅぅ!!! バーカバーカっ!!!」
「何してん。またやっとんの?」
インスタ動画を撮り終えた小瀧が声に気が付いてやってくる。
「すごいな、シゲの声、大分向こうまで聞こえてんで?」
濱田もやってきたので、小瀧は「なぁなぁ濱ちゃんこれやってみん?」とインスタ動画を見せ始める。
「腫れてる耳はどこですかーっ!!!」
バックハグのまま、中間の耳にフーフー息をかける。
「お前ホンマやめろ!!!」
振りほどこうとする中間としがみ付く重岡。
「やめーや、危ないて。」
柔らかく制止する神山。濱田と談笑して笑う小瀧。
よたった中間にしがみ付つける重岡の背中に立てかけられたテントの柱がぶつかった。
「シゲ!!!!」
全く別方向から桐山の危機迫る声に全員が桐山の方を向いた…瞬間。
『ガラガラガラ!!!!』
「淳太!!!」
次に中間の名前を叫ぶ声。テントの柱が倒れ、二人に落ちてきたのだ。倒れ込む二人。
「ちょ、マジで?!うそやろっ!!」
小瀧の言葉。
「シゲ大丈夫か?! 淳太…」
と、濱田の声がする。中間の名前を呼ぶ声が止まった。赤いものが見えたから。驚きから濱田の瞳孔がゆっくり開いていく。
「いたた…。――俺は平気…」
重岡が体を持ち上げてくると、自分の腹のあたりにズルリと淳太の体重がかかる。
「へ?」
「淳太!!!」
走り込んできた桐山に弾かれたように全員が二人に駆け寄る。中間はぐったりし、意識がない。藤井も桐山の後から駆け寄ってきた。
「ちょ…スタッフ呼んで!!!マネージャーも!!!」
「照史!」
濱田の声に反応するより早く、止血に入る。自分の首にかけていた前回のツアータオルで中間の額を押さえつける。
「わかっとるわ!! 淳太!!おい!! 聞こえるか?!!」
傷口を抑える桐山のタオルがジワジワと赤く染まり始め、「え…」と小瀧が小さく“不安”を漏らす。桐山は顔が一気に真っ青になったのを見逃さなかった。これ以上見せられない気がした。
「望っ! マネージャー、はよ呼んで!」
「あ…あ…っ う、うんっ」
小瀧が慌てて携帯で連絡を取る。
「淳太…?――――なぁ…淳太!!! 返事せえよ!!!」
重岡の声がみるみる震え、中間のシャツを握りしめて肩をゆすぶり始める。動かしたら傷口が開く…!
「なぁ!!!返事しろってぇ!!! 淳太!!!」
桐山が重岡に罵声を浴びせる前に神山と藤井が重岡を宥める。
「あかんて…動かさんほうがええ…っ」
泣きじゃくるような重岡の腕をギュッと握った神山とさりげなくその二人の前に立ち壁になる藤井。
2分ほどして、マネージャーがやってきた。