コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
すみません。まず、最初に謝罪いたします。この作品はとある作品(?)にイメージを沸かせていただいたものなので、イメージを与えていただいた作品の名前を記しておきます!その作者さんには感謝しかありません!
診断メーカー : ーFlower Villainsー
あと、いいねを駄作ながら下さった方々、とても嬉しかったです!そして、続きを書きたくなったので書きました!
では、本編へどうぞ!
俺たちの出会いは何気に残酷だったのではないかと今でも思う。いや、実際にそうだろう。何せ、戦争の真っ最中で辺りに平和の証は何一つとしてなく、あるのは惨たらしい戦争の傷痕だったのだから。
黒い煙が輝かしかった空を包み込み、町は赤々といっそのこと美しく思えてくるような熱い灯りに囲まれていた。うるさく鳴り響く警鐘の音、人々の泣き叫ぶ声が聞こえては何かが崩れ行く音、そんな音が満ち溢れ、何もかもが壊れていった。
僕はそんな町中で道路の上に1人這いつくばっていた。母さんも父さんも、もうこの世にはいない。2人とも俺の身を心配しながら赤い灯りに包まれていった。苦しいはずなのに、最後まで僕に笑顔を向け、逃げて、生きて、幸せで、と微笑んでいた。それから、逃げて逃げて逃げて逃げて…。いつの間にか血だらけの体を這いつくばらせていた。背後には、赤い灯りがすぐそこに迫っていた。あの中に入ればまた両親に会えるだろうか。手を伸ばしかけたとき、
「町が騒がしいと思って降りて来てみれば、とうとう攻撃してきたか。お前、戦争孤児か?今、死ぬ気だったろう?どうせ、死ぬのなら、私のところに来な。」
視界が黒く覆いつくされると同時に頭上から声がした。顔を上げれば、そこには漆黒の髪をなびかせ、真っ黒なマントを身に纏った女性が立っていた。彼女は妖艶な笑みを浮かべ、僕の方へと手を差しのべていた。僕にはもう何も残っているものなんてない。失うものもない。これからどうなろうとと自暴自棄へと陥っていた。そのため、彼女の手を取ることに躊躇いはなかった。
その後、彼女の手を取った僕が連れていかれた先は町の背後にそびえ立つ大きな山の奥深くだった。彼女の箒に乗せられ、上空から山に近づくにつれ、広範囲を埋めつくす蓮華畑の中に少し大きな屋敷があるのに気づいた。
ふと、母さんが生前山の上には綺麗な蓮華畑と同じくらい綺麗な魔女がいることを懐かしむように話していたことを思い出した。もう、感じることの出来ない温かでささやかな幸せだった。
「ほら、しっかり掴まってな。降りるよ。」
彼女に声をかけられ、ハッと振り落とされないよう、彼女のマントを握り直した。
山に降りてすぐに僕は目を丸くした。離れていても認識することは出来たが、想像以上の蓮華の花の多さや美しさに驚いた。今まさに下の町では戦争の傷痕が町全体で主張しているというのに、そんなことは関係ないと言うかのようにここは不思議な空気で満たされ、木々や花々、生物たちが生を謳歌しているように思えた。その光景に気圧されていると彼女が屋敷の中へと入ろうとしているのが視界の端に見えた。どうすればいいのかわからず、立ち尽くしていると
「早く入れ。まあ、お前が外で野垂れ死にたいのなら、構わんが。」
彼女の言葉に突き動かされ、駆け足で屋敷の中へと入った。入るとすぐに応接間らしき部屋に通され、タオルを渡された。
「まず、その血だらけの体を拭きな。怪我があれば、治療してやる。その後、風呂に入ってきな。血生臭くてかなわん。」
彼女はブツクサ言いながら僕の髪を優しく拭いて治療道具のようなものを用意しだした。
僕はされるがままだったが、彼女が何故助けてくれたのか知りたくなり、恐る恐る尋ねた。
「なんで助けてくれたのですか?あなたは蓮華の魔女?」
母さんが教えてくれた魔女の名称を思い出し、彼女が母さんの言っていた魔女なのかも聞いてみた。すると、彼女は一端世話しなく動かしていた手を止め、僕の問いに答えてくれた。
「…助けた訳ではない。気まぐれだ。そして、お前の言う通り私は蓮華の魔女だ。丁度使えるやつが欲しかっただけだ。」
魔女の言っていることは、素っ気ないことだったが、なぜかその瞳には何かへの後悔が滲んでいる気がした。探るように彼女の瞳を見つめると、もう後悔があった面影はなかった。
「で、お前は?」
僕がまだ彼女の瞳を見つめようとしていたら、質問をされた。僕はどういう意味なのかわからず、口を開けないでいると魔女は少し呆れたように言った。
「自己紹介だよ。相手に名乗ることを求めたのなら、自分も名乗るのが礼儀だろ?」
「あっ。えっと…すいません。アレン・フェアです。」
そう言うと、魔女は慈愛に満ちた目で僕を見た。僕には何故彼女がそんな目をしたのか分からなかった。でも、気持ち悪くはなかった。どこか懐かしく感じていた。自分がそう感じている訳もわからず、謎ばかりだった。
それからというもの、僕は魔女に育てられた。彼女はたくさんのことを教えてくれた非ヴィランである僕が少しでも魔法を使えるようにと、時には厳しく優しく教えてくれた。他にも自然界で生き残るための知識なども教えてくれた。実戦と言われ、山の何処かにいきなり連れていかれ、1人おいてけぼりにされたこともあったが、本当にピンチの時は助けてくれたし、どうにか屋敷にたどり着いた時は玄関前で待っていてくれた。そして、温かい風呂やスープを用意してくれて、怪我の手当てなどもよくしてくれた。最初は少し不審に思うこともあった。けれど、彼女は僕に本当に危害を加えたことはなく、大切にしてくれて強くしてくれた。いつしか、母のように大切に思いはじめたが、中々素直になれず、素っ気ない態度を取ることも多かった。そんな毎日を過ごすうちにとあることに気づいた。それは、1年に1回同じ日に彼女が大切にしている蓮華畑から1輪だけ蓮華を摘み取り、僕にくれることだった。彼女はいつも僕に絶対に花を勝手に摘み取るなと言うのに。そして、彼女もほとんど摘み取ることはしないのに。1度、そのことについて尋ねたことがあったが、はぐらかされてしまった。彼女曰く、
「まだお前が意味を知るには早いよ」
だそうだ。僕には、よく分からなかったけど、彼女が少し顔を赤くして困ったように恥ずかしそうに言うものだからそれ以降は聞かなかった。
彼女と過ごす日々はとても楽しく、両親を失くし沈んでいた僕を元気付けるには十分だった。だから、少し忘れかけていた。幸せはいつか壊れることがあることを。
いつものように今日も魔法の特訓や家事、趣味などにいそしもうと日光を体いっぱいに浴びながら今日の予定を確認していた。まずは、蓮華畑の少し先にある様々な木の実などを取りに向かうことにした。若々しい緑のなかに赤い実や青い実を見つけると、ウキウキしてどれを摘もうか見極めることにもすっかり馴れ、あっという間に籠の中身は色とりどりの実でいっぱいになった。そうして、屋敷に帰ろうと来た道を戻っていると、日光が何かに反射したのがわかった。反射してきた方を見ると槍や盾などの戦闘具を持ったたくさんの人間どもが屋敷へと向かっていた。瞬時に僕は彼らが魔女狩りの兵隊であることに気付き、実でいっぱいの籠を放り出し、彼らに見つからないよう屋敷へと駆け出した。早く彼女に伝えなければ…逃げなくては…もう目の前で大事な人を皆殺しにしたくない。その思いで彼女のもとへとむかうが、悲しくもその姿は兵士たちに目撃されていた。彼女の姿が見えてきて、必死に
「魔女狩りだ!」
と叫び、逃げるように何度も走りながら息を切らしながら彼女のもとにむかうが、彼女は立ち尽くし僕が彼女のもとへとたどり着くと僕をぎゅっと抱き寄せた。そして、ニコリと笑い、僕の手にたくさんの蓮華の花を握らせるとスッと立ち上がりいつの間にかすぐそこへと迫っていた兵士たちを見据えた。
「いたぞ!魔女だ!」
兵士の1人が声を張り上げると、彼女は悪そうな笑みを浮かべ、兵士たちに言い放った。
「おやおや、人の家に無断でズカズカと。無礼にもほどがあるぞ。そんな無礼なお前たちは私に人質にされたこの憐れな少年を助けに来た勇者と言ったところか?クスクス。勇者気取りの悪人の癖に。」
魔女がそう言うと同時に僕は彼女に兵士たちの方へと突き飛ばされた。その言葉は彼女の本心ではないことはわかっていた。また、兵士たちは彼女の自分1人を犠牲とする挑発にのって真実を見誤ったことも。そして、次の瞬間には彼女は胸を武器で貫かれ、地面へと伏していた。僕は周りに駆けつけてきた兵士たちに囲まれ、彼女が倒れた様を人混みごしに眺めているだけだった。ふと、突き飛ばされた時、聞こえた「元気でね」と言う言葉は幻聴だったのか、それとも…。
呆然としていた僕は兵士たちに保護され、肩を支えられながら山を降りていた。涙はでず、唯々何も理解したくなかった。知らず知らずのうちに手の中の蓮華を握りしめていたらしい。1人の女兵士が蓮華を見て不思議そうに言った。
「君、大丈夫だった?よく、魔女の人質として今日まで耐えたわね。もう、大丈夫よ!私たちがあの魔女から救ってあげたのだから。あら?その花、蓮華ね。そういえば、蓮華の花言葉は”あなたと一緒なら苦痛が和らぐ”と”心が和らぐ”だったわね。魔女なのに優しい花言葉ね。」
僕はその言葉を聞き、確信した。そして、屋敷の方へと急に走り出した。兵士たちは驚いていたが僕は特訓のおかげでここの地理に強かった。たちまち、兵士たちの姿は見えなくなり、蓮華畑の中に遠目からでも見えた、さっきまでなかったはずの小さな岩の前へと行った。その岩には、コゼットと名が刻まれていた。僕は魔女の本名を知らなかったけど、彼女の名であることは自ずとわかった。僕は握りしめていた蓮華のいくつかを岩の前においた。
「母様。僕もあなたと一緒にいてとても救われました。母様は素直じゃなかったけど、大切に育ててもらった自覚はあるんですよ…。なのに、なん、で。僕はまだあなたと一緒にいた、かったの、に…。」
さっきまで何も言えなかった。涙も出なかったのに。想いがやっと少しずつ言葉として紡がれていった。同時に涙も決壊がキレたようにあふれでてきた。いつしか、伝えたかった想いが多すぎて言葉に詰まり、涙を流すことしか出来なくなっていた。そんな中、一際強い風が吹いた。
“アレン。私の愛しい子。元気でね。”
風にのって聞こえた声に後ろを振り向くが、そこには誰もおらず、ただ蓮華の花々がゆらゆらと風に揺れ、僕をその舞い上がった花びらで包みこんだ。俺は義母の最後の言葉にこの場所を、彼女の想いを守り大切にしていくことを決意した。俺は涙を拭い、立ち上がった。空を見上げると、蒼茫たる青空がどこまでも遠く続いていた。
あとがき
こんにちは!今回、どうでしたか?楽しんでいただけたのなら作者として本望です!よろしければ、コメントなどでどういうところがよかったかや間違ってるところ、リクエストなどあれば書いていたたげると嬉しいです!
その際には大変申し訳ないのですが、作者が豆腐メンタルなのでダメ出しの場合などはオブラートに包んで指摘していただけると幸いです。
次回は、今回のストーリーのコゼットsideで書こうと思います。彼女がアレンを助けた本当の理由、アレンに対してのより踏み込んだ想いとは?次回もお楽しみにしていただけると嬉しいです!では
see you again !