テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
昼休み。
たくとは生徒会室へ向かっていた。
廊下を曲がったところで、聞き慣れた声がする。
「トムーー!!」
りゅうきだった。
そのまま勢いよく飛びつく。
「うおっ!もー重い!」
「ひどっ!」
二人で笑う。
楽しそうだった。
たくとの足が止まる。
見なきゃよかった。
そう思うのに目が離せない。
トムがりゅうきの頭を軽く叩く。
「お昼ご飯食べたの?」
「まだ!」
「先食べなよ〜」
「トムも一緒に食べよ」
「もー笑笑」
自然だった。
長年一緒にいる人間だけが持つ距離感。
たくとには入り込めない場所。
胸が痛い。
その時。
「たくと先輩!」
りゅうきが気づいた。
ぱっと笑う。
その笑顔に思わず表情が緩む。
トム
「……あ。」
気づいた。
一瞬で。
たくとの顔を見て。
気づいてしまった。
(あの先輩、絶対りゅうき好きやん笑笑)
秒だった
「先輩!」
りゅうきが駆け寄る。
「どうしたの?」
「聞いてくださいよー!」
また始まった。
今日あったこと。
授業のこと。
先生のこと。
全部話す。
たくとは頷きながら聞く。
そして。
トムは後ろからその様子を見ていた。
(好きじゃん笑)
どう見ても好きだった。
たくとの普段を知っているわけではない。
でも。
りゅうきを見た瞬間だけ。
顔が柔らかくなる。
声も優しい。
目も追っている。
分かりやすすぎる。
その日の放課後。
トムは偶然たくとと二人きりになった。
「先輩」
「ん?」
「りゅうきのこと好きなんですか?」
たくと
「っ!?」
珍しく固まった。
トムは笑う。
「図星ですね笑」
「……」
否定できない。
「まあ安心してください」
トムが言う。
「僕、りゅうきと付き合ってないんで笑」
たくとが顔を上げる。
「え?」
「ただの幼なじみですよ笑」
「……そうなんだ」
少しだけ。
本当に少しだけ。
肩の力が抜ける。
「でも」
トムは続けた。
「今は難しいと思いますよ」
たくとの胸が沈む。
「りゅうき、恋愛とか全然考えてないと思います」
「……」
「でも、先輩のこともめちゃくちゃ好きだと思います」
「え?」
「人として」
「……」
「先輩のこと話しよる時楽しそうなんですけどね〜笑」
「……」
「でもあいつ鈍いから笑」
鈍い。
知ってる。
嫌というほど。
トムは少し笑った。
「頑張ってください」
「……」
「僕は応援します」
そう言って去っていく。
一人残されたたくとは窓の外を見る。
校庭。
りゅうきが友達と笑っている。
楽しそうに。
幸せそうに。
その姿を見るだけで嬉しい。
でも。
少しだけ苦しい。
好きだから。
届いてほしいと思ってしまうから。
それでも。
今はまだ。
この距離のままでいい。
先輩って呼んでもらえるなら。
笑いかけてもらえるなら。
もう少しだけ。
この片想いを続けていたかった。
#無いもの君は持っている
コメント
1件
第2話読んだよ〜!!😭💕 たくとの片想い、もう胸が苦しすぎる…!! トムに図星指された時の固まり方とか、りゅうきが楽しそうにしてるだけで嬉しいのに苦しいって感情、めっちゃわかるよ…!! それでも「先輩」って呼ばれる距離でいたいって思う気持ち尊すぎる😭✨ トムの「応援します」も優しくて泣ける〜!! まだ2話だけど続きが超気になるよ!!🐶🐱 🍓🐿さん、この三角関係どうなるの…!?💘