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「あ、これ風邪ひいたな。」
朝起きてすぐ理解した。目を開けたらいつもよりぼやけてよく見えないポヤポヤしてる視界。まるで脳みその中に141億年分の記憶を一つも欠けずにもれなく詰め込んだのかと思うほど重い頭。
最近鑑定の仕事が忙しくなってきて睡眠もろくに取れてなかったし……まぁ、たぶんそーゆーこと。
今日は任務あるけど、簡単なやつだし薬でも飲めば平気だろう。 そう考えて起き上がると、頭がますます体調不良を強調する。
今日は小柳くんとの任務で休んだって強い白狼なら平気だろうし、他の誰かに任せることだってできる。
でも、今日休んだら別日にやることになるし、報告書も自分で書かなきゃいけなくなる。面倒くさがりな俺は無理してでも今日、任務に行くことにした。帰ってきたらその後はなにも予定はないし、ぐっすり寝て治すことにしようかな。そんなことを考えながら薬を一粒飲み込む。
「おはよーございます。」
体調不良を悟られないため無理やり声色を上げていつも通りを演じる。
だってバレたら、優しい小柳くんは任務に行くのを止めて、俺を任務に連れてってくれないだろうから。
変なところで優しいんだよな、この狼。
「ん、はよ。」
いつも通りの挨拶が返ってきて、バレてないんだなと安心する。こちらを気にしてる様子もないしすぐに準備しちゃって、早めに行って早めに終わらせよう。
準備して玄関に向かうまでは順調だった。
「あ?なんかおまえ、、体調わりぃ?」
「え、なんでですか?別に元気ですけど」
「あぁ、そお。」
良かった。ほんとに。ほんとにこの狼が単純で助かった。虚言癖な俺は普段から嘘をつくけど、小柳くんはそのほとんどを疑いもせず信じる。いっつも簡単に詐欺にやられてしまうんじゃないか、と心配になるんだよな。まぁ、今回ばかりは助かった。
任務地までも特に体調のことには触れられず無事到着した。小柳くんの様子を見るなり、疑いはしてるようだけど。
「おまえ今日カバーな。」
そう一言言って、小柳くんは敵の前へと出ていく。多分彼なりの気遣いなのだろう。
小柳くんの活躍があり、難なく任務を終わらすことができた。
ふぅ、と一息ついて落ち着こうとしたら、猛烈な頭痛が襲ってきて思わずその場にしゃがみこんでしまう。
「ほしるべぇ?なにしてんだよ。帰んぞ。」
あれ、?たぶん、小柳くんなんか言ってる……。耳鳴りすごいし、音が全部水の中みたいに聞こえるし、視界もぼやけるしなんもわかんない。
ky side
うし。敵蹴散らしたし早く帰ってゲームしてぇ。ヴァロでもやろっかな。
そんなことを考えながら星導がいる方を見やると……ほしるべ?居ねぇじゃん。って思ったら座ってんのかよ。
「ほしるべぇ?なにしてんだよ。帰るぞ。」
そう声をかけても返事がなくて、異変を感じ取った。星導の元へゆっくり歩いていき、隣にしゃがんでやる。
「どした?怪我でもしたか?」
星導が小さく首を横に振ったのを見て、ほぼ確信した。たぶんこいつ体調わりぃ。朝から変だと思ったけど、確かに。あいつに大丈夫かって聞いて、大丈夫じゃないって答えるわけがない。一応念の為聞いておく。
「あー、もしかして調子わりぃの?」
こくっと小さく頷いたと思えば、真っ青な顔して口元を抑えるから吐き気があんだろーなってすぐ分かる。
昼間だとここ普通に人通ったりするし、ヒーローが道汚すのはマズイか。と、判断し動けそうもない星導の口元に、俺の羽織を当ててやる。
「気持ちわりぃなら吐いちまえ。」
背中をびくびくさせて小さく嘔吐いてる。多分俺の羽織りに吐くってことに躊躇してんだろーな。でもこれくらいしか俺には法は浮かばねーから仕方ねぇ。俺も仲間の服にぶちまけるなんてぜってぇ嫌だけど。
吐き気を誘うように背中をさすってやる。多分こいつ熱もある。 星導の喉の奥からこぽっと音がして、やっとかと一息ついきたくなる。
ほぼ液体の吐瀉をみて、あーこいつ飯もろくに食ってねぇなって思う。幸いなことに1回吐いたら落ち着いたらしいから、すぐに寮へ帰ることにした。あーあ、こりゃ俺のゲームの予定はなしだな。
rb side
目を開けたら、見慣れた天井。おともがふらふら浮いてる 。俺の部屋だ。
今の状況がイマイチ分からず、できるだけ思い出そうとしてみる。
「あ、起きたぁ?」
小柳くんの話によれば、俺は任務が終わって倒れたらしい。確かに、朝調子悪かったってのは思い出せたし、任務に行ったことも覚えてる。けど、そのあとの記憶がない。
「調子どーなん?良くなったか?」
「はい、お陰様で」
「でもまだ微熱あるっぽいぞ。寝とけよ。」
ここまで小柳くんにお世話してもらっといて、今更逆らうわけにはいかないので素直に寝とくことにした。体調がこんなんなためすぐに瞼が重くなり、意識を落としそうになる。今の体調に逆らっても良いことなんてないので、すぐに目を閉じた。夢の中に入りゆく中、頭が少しこしょばゆかった。