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⚠️注意⚠️この作品は、ペルソナ5という作品のオマージュ作品となっております。苦手な方は、そのままカムバックでお願いします。それでもかまへんよ!って方はお進み下さい。
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「いっ…てぇなぁ〜、あれ?ここ、さっきいた路地裏じゃねぇか!」
葵は気がつくと、廃ビルに挟まれた小道の壁面にもたれかかっていた。実際、葵にも何が起きたかは分からなかった。最後に覚えている記憶は、黒い外套を着た少女と、変な猫?の様な生き物と一緒に、敵であろう軍団から逃げた事…、その後はあまり明確に思い出せない。
「これ…助かったんだよな?さっきの奴ら…無事だよな?捕まったりしてねぇよな?」
「お前みたいな危機的事態に対応出来ねぇ奴に心配される程、俺たちはヤワじゃねぇぜ」
「?!」
葵が声のする方に目を向けると、小道の暗がりから、黒いパーカーのフードを顔の半分以上が隠れる程深深と被り、体のあちこちに包帯を巻いている少女と、少女の肩に我がモノ顔で乗っている白黒の猫がそこにいた。
「どうやら怪我はしてないみたいだな?」
「あ…あぁ、てかお前らは…って猫が喋った?!」
「だから吾輩猫じゃねぇっての!!てかこの流れさっきもやったろ?!分かんねぇ奴だな!」
「……”さっき”って?てことはお前ら…さっきの?!」
「そこは鋭いんだな」
少女の肩に乗っている猫は、呆れ顔で言った。すると少女はスタスタと歩き始めた。葵には目も向けず、何事も無かったかの様な表情で葵の目の前を通り過ぎた。
「あっ!!おいっ、待てよっ!!!さっきの事説明しろよ!」
「……お前には関係ない」
少女は冷たい声で言った。到底、初対面の人間に話す声色ではなかった。
「……なんだよそれ、関係ないって…」
葵には訳が分からなかった。確かに自分には関係ない事だ。しかし、葵は気になってしょうがなかった。高校生にもなって『好奇心旺盛』なんて言葉は似合わないが、どうしても”あの世界”の事を聞きたかった。
「……頼む!!教えてくれっ!お前らはなんなんだ?!あの世界はなんなんだよ?!」
葵は2人に顔を向け、真剣な表情で懇願した。どうしてもあの世界について知りたかった。知っておかないといけないと、本能で感じていた。
すると少女は、葵の方を見た。何を考えているか分からない程冷えきった表情、針の様に鋭く鋭利な眼差しで葵を見つめた。そんな眼差しに張り合う様に、葵も少女の瞳を見つめた。
しかし…
「……この場所には…もう二度と来ないで」
「…っ?!」
「…それと…異世界ナビも二度と使わないで」
そう言い残し少女は去っていった。
「ちょっ!ちょっと待っ……?!」
葵は咄嗟に立ち上がり、少女を追ったが、そこには誰もいなかった。確かに、さっきまで目の前にいたのに、どこを見ても少女の影はなかった。
「ど…どういう事だよ…、さっきまで目の前にいた筈なのに…」
葵はその場に頭を抱えた。あの少女に、”あの世界”の事も、何も聞けなかった。少女自身が何者かも。あの喋る猫の事も。
「…チッ……なんなんだよ…」
葵は軽く舌打ちを残し、その場を後にした。何か大切な事を逃してしまった様な喪失感を抱え、家路を辿った。
「良かったのか?あんな冷たい対応しちまって」
「……別に…もう会う事ないし」
少女は、先程までいた小道を挟んでいる廃ビルから葵を眺めていた。
少女は小道を出た瞬間、廃ビルの壊れた換気扇や、微かな窓の縁を足場にして屋上まで登り、瞬時に追ってきた葵から逃れたのだ。それは到底人間が出来る様な事では無いが、少女からすれば容易だった。
「せっかく仲間が出来るかもしれないチャンスだったのに、逃しちまったな」
「…私がいつ…仲間が欲しいなんて言ったの?」
「吾輩はいた方がいいと思うんだがな〜?」
「……私はいらない」
「んな事言うけどよ?もしかしたら、”アイツも持ってる”かもしれねぇだろ…?」
「………」
少女は何も答えず、静かに空を見上げた。
空は雲1つない快晴だった。少女はそのまま、軽く目を閉じた。
「…おい、どうしたんだよ?しんどいのか?」
「……別に」
少女は再び目を開け、進行方向を変え、ゆっくりと歩み始めた。
to be continued