御神家の庭に、静かな月明かりが差し込み、
三兄弟はそれぞれの部屋で思い思いに過ごしていた。
しかし、心の中では、これからの戦いに対する不安と緊張が漂っていた。
晃平
「この力をどう使いこなすべきか…」
晃平が窓の外を見ながら呟く。
竜之介も、千姫も同様にその言葉に頷いた。
武将の力を借りるとは言っても、
その力を自分たちのものにする方法が見えない。
千姫
「私たち、
まだこの力を本当に理解していないよね。」
千姫が不安そうに口を開いた。
その時、突然、庭の隅から一筋の気配が感じられた。
三兄弟は立ち上がり、窓から外を覗く。
その先には、
月明かりの中を静かに歩く小さな影が見えた。
影は徐々に近づき、
三兄弟は驚きの声を上げた。
千姫
「猫…?」
月明かりに照らされたその影は、
茶色の毛並みを持つ小さな猫だった。
何気なく歩いていたその猫は、
急に立ち止まり、
三兄弟の方をじっと見つめた。
千姫
「可愛い〜!!」
千姫は駆け寄り、優しく猫を撫でた。
猫
「君たちが御神家の三兄妹か?」
その猫が、なんと人間の言葉で話し始めた。
三兄妹は目を見開き、言葉を失った。
千姫
「きゃあ!猫が喋った?」
竜之介
「まさか…猫が喋った?」
晃平
「信じられない…」
三兄妹が驚く中、猫はさらに近づいてきて、
優雅に尾を揺らしながら言った。
猫
「うふふ…驚いたかもしれないが、
私は月夜(つきよ)
君たちとこれから、一緒に戦う者だ。」
三兄妹は再び驚き、互いに顔を見合わせた。
千姫が驚きながら尋ねた。
千姫
「い、一緒に戦う…?」
月夜は静かに頷いた。
月夜
「その通りだよ。私は魔界からの使者で、
君たちがこれから戦うべき相手についても知っている。
人間界と魔界を脅かす邪悪な悪妖怪たちが、
今、力を増している。
君たちは、その戦いに巻き込まれることになるだろう。」
竜之介
「妖怪たちが…?」
竜之介が眉をひそめると、月夜は続けた。
月夜
「そう。
これから君たちが戦うのは、
ただの妖怪ではない。
人間界と魔界、両方の世界を脅かす
邪悪な存在だ。
奴らの目的は人間界と魔界を支配しようとしているんだよ。」
月夜
「人間界の生き物は死ぬと一度魔界に行くんだ。
人間界の行動や思いによって、
天界、人間界、魔界、妖怪界、地獄界に
振り分けられる。」
月夜
「人間界は、今後どの界で行動するかを決める大事な修行の場となっている。
各界層は広大で、まだ謎が多いけど、
大きく分けると天界、人間界、魔界、妖怪界、地獄界に分かれているの。」
月夜
「ここにいるものたちは、
自分の思いの強さによって、
どの界層で行動するかが決まる。
特に醜く、危険な存在がいるのは
妖怪界と地獄界だ。」
月夜
「各階層の中でも善悪が分かれていて、
悪の下層にいるものたちは、
善の意志がなく、欲望だけで動いている。
だから恐ろしいんだ。」
月夜
「地獄界と妖怪界 ←→ 人間界←→ 魔界と天界の関係になっているんだ。」
月夜
「今回のように、稀にこの関係を破壊して欲望を満たすために人間界に現れる邪悪者がいる。
今までも幾度となく戦いがあったが、
今回は特に危険だ。」
月夜
「人間界は特殊で、
人間にしかそのままの姿で力を発揮できないんだ。
他の界で行動している者が人間界に現れるには、人間界の生き物に憑依しないと存在できない。」
月夜
「だから、私も猫の姿なんだ。」
月夜
「逆に、この力を使って人間界を守るために
武将や神々を自分に憑依させる
『神おろし』など特別な力を使い、
人間界を守護するのが君たち御神家を含む守護者たちなんだ。」
月夜
「今までは妖怪界と魔界の力が拮抗して、うまく平和が保たれていた。
しかし、今回悪妖怪たちは人間界を支配し、
悪妖怪勢力を増やし魔界に攻め込もうとしている。
人間界を支配するためには、
邪魔な存在である
君たち守護者を排除しようとしているんだ。」
月夜
「だから私は魔界の善なる勢力として、
君たちをサポートし、
共に戦うために来たんだ。」
晃平
「んん…でも、
その巨大な悪妖怪たちと私たちが
どう戦えばいいのか…」
月夜
「そのために、私は君たちを助ける。」
月夜は穏やかな笑みを浮かべて答える。
月夜
「君たちの手に入れた『神おろし』の力、
あれは神々や伝説の武将の魂を呼び覚まし、
その力を借りて戦うための力だ。
君たちがその力を使いこなせれば、
邪悪な存在にも立ち向かえる。」
千姫
「『神おろし』の力…」
千姫が少し考え込んだように言った。
月夜
「そう!御神家が代々伝えてきた
人間界を守るための守護の力だ。
この力は、覚悟を決め、戦う意思を持ち、
思いが強いほど強く発揮される。
ただし、その力を完全に使いこなすのは難しい。」
月夜
「前回の戦いでわかったでしょう?
だから、私がそばでサポートする。」
竜之介
「つまり、俺たちが覚悟を決めて、
思いが強くなれば真の力が使えるようになる…でも、完全に使いこなすには時間がかかるんだな。」
月夜は頷きながら言った。
月夜
「その通り。
ただし、君たちがその力を使いこなせれば、
妖怪たちに立ち向かうための強力な武器となる。だから、
私は君たちがその力を引き出す手助けをし、
共に戦いながら成長を見守るつもりだ。」
千姫
「わかったわ。私たちも覚悟を決めます。」
晃平
「そうだね。
俺たちがしっかり戦わなきゃ、
みんなを守れない。」
竜之介
「じゃあ、月夜、
俺たちと一緒に戦ってくれ。」
月夜は優しく微笑み、
尾を揺らしながら答えた。
月夜
「もちろんだ。
君たちが戦う覚悟を決めたなら、
私は全力でサポートするよ。
そして、共に戦い、
邪悪な妖怪たちを倒すんだ。」
月夜
「はあ〜…とりあえず久しぶりに喋りすぎて喉が渇いた!お水ちょうだいにゃん!」
千姫
「可愛い〜!!」
月夜との出会いにより、
三兄妹は「神おろし」の力を使い、
守護者の使命を全うする覚悟を決めた。
これから待ち受ける戦いに向けて、
彼らは使命を背負い、
月夜の助けを受けながら成長していく。
悪妖怪界からの邪悪な存在との戦いは、
決して容易ではないだろうが、
三兄妹は確かに一つの大きな使命を担い、
共に立ち向かう覚悟を固めた。
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