「ん…ふあぁ…」
眠気を覚ますように盛大な欠伸をし、体を起こす
時計を見ようと辺りを見渡すが、この家にそんなものはなかった
死者に時間は与えない。悠々自適に暮らせ
…みたいな感じだろうか
隣を見るとナチがまだ小さい寝息を立てていた
可愛くてたまらない…またあの夜のように抱きしめたい…そんな自分の欲求を押さえつけるように優しく頭を撫で、寝室を後にした
リビングにある椅子に腰掛け、夜のことを思い返す
「わ…私も…好きだ…」
あの言葉を思い出すだけで顔から火が出そうになる
言われた時には涙を流すという失態を犯してしまったが…
そんなことを考えているうちに、ナチもリビングに来たようだ
「あ…ソビエト、おはよう…」
少し照れくさそうに目を逸らしながらナチが言った
それに応えるように
「おはよう、ナチ。」
と今まで考えていたことを隠すように笑顔で言い放った
「えっと…コーヒー…いるか?」
丁度眠気覚ましにコーヒーが欲しかったところだ
「ああ、甘いのをくれ」
生憎甘い物しか飲めないからな
ふわっと、コーヒーの独特な香りが漂ってくる
香りの元に視線をやると、台に乗っているであろうナチがコーヒーを作る姿が目に入る
その小さい身体で高いところにある戸棚に手を伸ばす姿も愛らしい
ナチの一挙一動に見蕩れていると
「…見過ぎだ馬鹿」
と不満そうにこちらを睨むナチがいた
手にはコーヒーを持っている
「ははっ、ナチの行動一つ一つが本当に可愛かったからな」
冗談のように軽く言ってみたものの中々恥ずかしい
「なっ…!?う、うるさいっ…!」
そうやってすぐに俺より恥ずかしそうにナチが言うものだからその感情は可愛いや愛おしいという感情で上書きされた