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「ねーえ、敦くん」
清々しい程の青い空を見つめながら太宰さんが云った。
「なんですか?」
其の言葉に、弁当を食べながら応えた。
「敦くんってさ、部活入らないの?」
案外普通の質問に驚く。
「何その顔、酷くない?」
「いえ、太宰さんがそんな質問するなんて、と」
「ねぇ酷くない?」
「まぁ、それより部活入るの?」
「ん〜……」
太宰さんの質問に酷く悩む。
そんな事考えていなかった。
普通に考えるならば、陸上?
僕は脚は疾い為、走るのは得意だ。
「私ね〜、吹奏楽いいな〜って思ってるの!」
「吹奏楽?」
「だって、音楽出来たら凄いじゃん」
「なんですかその理由……」
相変わらずだな、と思う。
でも、音楽は好きだし、いいかもしれない。
「お?誰か来た?」
「部長、太宰様が……!!!」
「なんですと!?」
「疾く入れなさい!!」
「やあやあ、部活見学に来たよ」
部室内に黄色い歓声が響き渡る。
音楽室なので、防音されている為安心だ。
(流石太宰さん……)
「?その人は……」
「嗚呼、」
「恋人!」
「はっ!?!?」
驚いた様な声が再び音楽室に響き渡った。
「こっ、えっ……」
「勘違いしないで下さいね!?」
「この人、よく嘘付くのでっ!!」
「あ、嗚呼……嘘か……」
「えぇ〜?接吻もしたというのに?」
またまた悲鳴が響き渡った。
「太宰さんっっっ!!!」
ついでに僕の悲鳴も。
「どうでしたか!部活、入りますか!」
「実に素晴らしい演奏だったよ」
「敦くん、どうする? 」
「えっ、あ、入ります……! 」
「じゃあ私も入る!」
うわぁぁぁぁ!と歓声の声がした。
然し、何故だろう。
僕は、とても厭な予感がした。
僕はチューバという楽器担当になった。
チューバは中々難しく、慣れるのに困難した。
因みに、吹奏楽部は全国大会を目標にしているらしい。
部員は75人。
50人程度しか参加出来ない為、
必ず出れない人が出る。
其れは、三年生でも出れない人が居るという事。
とても、悲しい事だ。
幸い、僕は一年生。
また来年も再来年もある。
それ迄、
此処に入れると善いけれど。
酷く暑い日、
僕は校舎裏で自主練をしていた。
汗をかきながら、一生懸命頑張っていた。
カツカツと足音がした。
先輩方が来たのかと音がした方を見やる。
「……頑張ってんだね」
「えっ、ああ、はい……」
「上手だよ」
「……悔しいくらい……」
「……え?」
「今度大会あるでしょ。其れのオーディションも」
「私らね、三年生なんだ」
嗚呼、之は……
「だから、邪魔しないで」
来た。
よくあるパターンだ。
「最後なんだよ」
正直、焦る。
道を開けるべきなのか、
否定すべきなのか。
涼風が顔を撫でる。
僕の感情も知らずに、
草木は光を孕んでいた。