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逃避行が始まって数日が過ぎ、平穏に毒され始めたある日の昼下がり。 宮舘さんは、ふとした「好奇心」を抱きました。 (もし今、俺がこの世界から消えたら、この小鳥はどう鳴くのだろうか)
宮舘さんは、渡辺さんが深い微睡みに落ちている隙に、屋敷の玄関に内側からは決して開かない細工を施し、音もなく外へ出ました。そして、断崖の影にあるモニタールームで、獲物の反応を待ちました。
1. 密室のパニック
目を覚ました渡辺さんは、隣にいない宮舘さんを探して屋敷を彷徨いました。しかし、どこにも彼の姿はありません。
「……涼太? 冗談はやめてよ」 震える手で玄関のノブを回しますが、鉄の塊のようにびくともしません。窓もすべて、宮舘さんの手によって固定されていました。
「開けて……! 涼太! 開けてよ!!」
渡辺さんは、逃げ場のない「箱」に閉じ込められたことに気づき、発狂しました。 重厚な木製のドアを、拳で、肩で、狂ったように叩きつけます。爪が剥がれ、手の甲が割れて血が飛び散っても、その衝撃を止めることはできません。
「涼太!! ごめんなさい! 俺が悪かったから! 置いていかないで!!」
2. 獣の咆哮と自傷
外からは潮騒の音しか聞こえず、宮舘さんの気配は一向に戻りません。「捨てられた」という恐怖が、渡辺さんの喉を締め上げました。 過呼吸で喘ぎながら、渡辺さんはもどかしそうに自分の首元へ爪を立てました。
「はっ、……っ、あ、あぁぁあああ!!」
激しい獣のような叫びを上げながら、渡辺さんは自分の喉を掻きむしりました。 白い肌に、真っ赤な五筋の線が幾重にも重なり、鮮血が胸元を汚していきます。苦しい、空気が足りない、涼太がいない。 宮舘という酸素を奪われた渡辺さんは、床をのたうち回り、血まみれの手で自分の髪を掻き毟り、もはや人間とは思えない絶叫を屋敷中に響かせました。
3. 救世主の再臨と「満点の笑み」
モニター越しにその「完成された狂気」を十分に堪能した宮舘さんは、冷徹な瞳のまま、ゆっくりと屋敷の扉を開けました。
「翔太……、どうしたんだい、そんなに暴れて」
扉が開いた瞬間、床に倒れ込んでいた渡辺さんは、血に染まった手で宮舘さんの足首に縋りつきました。喉を掻きむしり、声も枯れ果てた渡辺さんは、宮舘さんの冷たい瞳を見上げ——。
「……っ、りょう、た……。あ、あは……っ!」
激痛と絶望の極地で、渡辺さんは満面の、ひどく純粋な笑みを浮かべました。
「涼太……戻って、きてくれた……。俺、あんたがいないと、死ぬことすら、できないんだよ……っ」 血と涙にまみれたその笑顔は、宮舘さんにすべてを掌握されたことへの、狂信的な幸福に満ちていました。
4. ソファでの手当てと、歪んだ結合
宮舘さんは渡辺さんをリビングのソファに横たえると、救急箱を持ってきました。 「ひどいね、翔太。こんなに喉を傷つけて。……でも、これでお前は俺がいないとダメだって、骨の髄まで理解しただろう?」
宮舘さんは笑いながら、わざと強く、血の滲む喉元をガーゼで拭いました。
「い、たい……っ。……あ、でも、いい……。もっと、刻んで、涼太……」
「いいよ。お前のすべてを、俺が上書きしてあげる」
手当てが終わるのを待たず、宮舘さんは渡辺さんの衣服を剥ぎ取り、ソファの上で覆い被さりました。 陽光が差し込むリビング。傷だらけの喉、血のついた手首、そして恍惚に歪む表情。 宮舘さんは渡辺さんの悲鳴のような喘ぎを唇で塞ぎ、蹂躙するように彼を求めました。
「お前はもう、俺のいない世界では呼吸すらできない。そうだろ?」
「うん……っ、そう、だよ……。涼太、大好き……俺を、壊して……っ」
二人の混じり合う吐息と、ソファが軋む音。 この実験を経て、渡辺さんの自我は完全に消滅しました。
この後に続く「薔薇園での衝突(目黒さんの名前を出すシーン)」は、この極限の依存状態にあったからこそ、宮舘さんの逆鱗に触れ、あの「呪いの噛み跡」へと繋がっていくのです。