「あ、あのさあ、先生」
「ん?なんだ公子殿」
「いや、ん?なんだ公子殿じゃなくて」
その手どけてくれる?
ひくりと口角をあげタルタリヤは言った。
タルタリヤは焦っていた。過去一といってもいいぐらいには焦っていた。それは好きな相手に押し倒されていたから。まさか今日相手の部屋にいって押し倒されるとは思っても見なかっただろう。
タルタリヤは何故こうなったんだと思考を巡らした。
そう、今日はたまたま暇ができて久しぶりの先生と料亭でご飯をとった。久しく会えてなかった想い人とご飯で舞い上がって浮かれてそこから記憶がない。記憶がないといっても一応あるんだが。酒で酔ってつい本音がでた。そう秘めてた想いを言ってしまったのだ。そこからが本当に記憶にない。
気づけばベッドの上だった。としか言いようがなかった。
そもそも何故俺は告白なんてしたんだろう。本当にソレは恋と呼べるのだろうか。疑問は何個も出るが俺は少なからず目の前の男に好意は持っている、はずだ。多分
「考え事か公子殿」
「大層余裕があるんだな」
そう耳元で呟かれる。それは挑発のような、怒りのような感情が籠もっていて愛がすごいなと感じた。
「ッッ先生の事考えてたの!!いいからその手をどけて!」
押し倒され、起き上がれないよう固定しているその手をどけてくれ!とタルタリヤは叫ぶ。
先生は先程と打って変わって浮かれた様子でタルタリヤから手を離した。
ちょろいな。本当に先生といると調子が可笑しくなる。
はぁぁと顔を真っ赤にさせたタルタリヤは鍾離を睨み叫ぶ。
「あのね!先生!なんで俺を襲うようなことしたの!」
「公子殿が言ったんだ。俺の事好きだと。俺も公子殿のことが好きだから大丈夫だと判断した」
何を言っているんだ、この凡人は?? そもそも俺のこと好きだといったのか?この非凡人は。
「….俺のこと好きだったの」
確かに薄々は感じていて、でもそれは俺の勘違いだと思っていた。口説かれてた時もあったけどそこは交わして聞いてないふりをして自惚れないようにしていた。
でも目の前の彼は俺を好きとはっきり言った。今まではっきり言わなかった彼が簡単に言った。聞き間違いなのかと確かめるように視線をあげる。先生は肯定するかのように嗚呼と呟き、溶けるような瞳をタルタリヤに向けた。
「今すぐめちゃくちゃにしたいほどには」
ゴクリと息を呑む。
その瞬間俺は先生から逃げれないと気づいてしまった。
溶けたような視線はタルタリヤを逃がすことなく見ていた。
頬に手を置かれ、うっとりした目線の先には俺がいる。俺しか見ていない。その事実が癪だが嬉しかった。
「せんせ、い」
「公子殿時間はあげた。もう良いだろう?」
はっ?と声は出なかった。口を開けた瞬間に塞がれて文句は言えれないようされた。
嗚呼、、、!!もうこの人は!文句は終わってから言おう。そう心の中で叫んで、これから来るであろう快感を感じて目を瞑った。
結局の所、抱く気だったのだ。
タルタリヤがなんて言おうと変わらなく決まっていた。なのに相手から告白してきたなんて!こんなチャンスを無駄にはできなかった。そもそも逃さないのだが。
まあ結局の所計画通りで密かに笑った。
コメント
3件
これだよこういう鍾タルを探してたんだよ…!!
ぐはぁっ!!刺さりました。