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この教師の飲み会に呉宮先生が来るだなんて思ってもいなかったから油断していた。まだ話したことの無い可愛くて若い女の先生たちと仲良くなるチャンスだったのに、運悪く隣の席は呉宮先生。テーブルの左側では、これからの行事やテストについてで盛りあがっているのに、右端の俺と呉宮先生は全く盛り上がっていない。さっき俺の事を誘ってくれた子も、今ではこっちを見て見ぬふりしている。誰も呉宮先生とは話したくないらしい。それが目線からひしひしと伝わってくる。
「呉宮さん、既に酔ってません?」
「酔ってないが?」
「酔ってる人が言うセリフですよ…仕事に支障が出るので程々にしておいた方が」
「五月蝿いな。なんでお前に指図されなきゃいけないんだ」
「うっ、」
可愛くねーー!
「呉宮先生のことを心配しているからですよ」
「お前が?俺の事を心配?」
「はい」
「有り得ない」
「有り得ないって、どういうことですか」
「俺はいつもお前のことを怒鳴ってばかりだからだ。そんな最低な上司を心配するわけないだろう?」
この人自覚してたのか。自分のことを最低とか言うならなんで酷いことをするんだろう。
「最低じゃないですよ。」
「良かった…俺のせいで学校辞めたらどうしようかと思ってた。」
「うーん、出来ればもう少し怒るのを控えて頂きたいです。」
「わかった。次から気をつける」
お酒に酔った呉宮先生はヤケに素直だ。普段のキリッとした姿とはかけ離れている。
「勘違いだったら申し訳ないんですけど、俺だけ怒られる回数多くないですかね?」
「それはお前が…」
「?」
「あれ、呉宮先生?」
何かを言いかけて呉宮先生は眠ってしまった。どうせお前は無能だからとか言おうとしたのだろうか。それにしても呉宮先生ってよく見たら凄い美形だ。怒っている表情しか見ていなかったから分からなかったけど、近くで見ると長い睫毛に高い鼻、薄い唇でメガネが知的な印象を引き立てている。普段の呉宮先生と接近するとなったら怯えていただろうに今ではただのイケメンが目の前にいるという状況でドキドキしてしまう。
「んん、さえじま…かっこい、い」
「え、?」
なんだ、寝言か…
いやいや寝言でもおかしいだろ
「呉宮先生?」
「…」
『あれー?呉宮さん寝ちゃってます??』
「あぁ、酔って寝ちゃったっぽいですね」
『マジかぁ…誰が起こす?』
『僕絶対無理っすよ!機嫌損ねたら殺されそうなんで』
『私も無理ー笑』
『冴島くんは?』
「え、俺?」
『さっき楽しそうに話してたじゃん!家に連れて帰ってあげなよ』