テラーノベル
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音楽だけが、俺の居場所だった。
人と関わるのが苦手で、ただ一人で曲を作り続けていた朝比奈湊。
音楽に逃げて、音楽に縛られて、それでも手放せなかった。
——あいつに、出会うまでは。
「なあ、その曲。俺に歌わせろよ」
軽音部で出会った瀬川陽翔は、初対面とは思えない距離で踏み込んでくる。
勝手に隣にいて、勝手に笑って、勝手に俺の音楽を壊してくる。
なのに、
「お前の音楽、俺が一番好きだ」
その言葉だけは、どうしても拒めなかった。
少しずつ変わっていく日常。
音楽が「一人のもの」じゃなくなっていく怖さと、嬉しさ。
そして気づいてしまう。
——音楽が俺にくれたのも、
逃げ場なんかじゃなくて、お前だった。
俺の名前は、朝比奈 湊。(あさひな みなと)
音楽が好きだ。俺には、「音楽しかない」。音楽以外何もいらない。ただ一人で音楽を作っていた。
ある日の事だ。いつも通り、部活(軽音部)に行った。数少ない軽音部にただ一人明るくて距離感がおかしい奴がいた。
(まぁ俺には関係ないしな。)
と、そんな事を思っていた。そしたら話しかけてきたんだ。そいつが、俺に……。
「なぁ、その曲。俺に歌わせろ」
そう言われた。
(こ、こんな俺に……話しかけるなんて…も、もっといるだろ)
と思った。俺はすぐには答えなかった。頭の中がぐるぐるしすぎて、人と話すなんて4〜6年前だ。とても久しぶりすぎて、多分顔が真っ赤になってるだろう……。
「あっ……え、えーと…あ、…そ、その…」
「いいよ」という、言葉が出なかった。とても緊張していた。「いいよ」といえばいいのに、その簡単な言葉が、言えなかった。
「あはは!!…お、お前……(笑)緊張しすぎだろ!!笑」
「あっ……ご、ごめんね。……う、うん…いいよ。お、俺…ギターやるから……う、歌ってよ。」
「おぉ!!わかった!!」
とても……とても……歌が上手かった。俺は、ついそいつの歌に惹かれてしまった。……気づいたんだ。
あぁ……俺にはこいつの歌が必要だ
って……。
そして、終わる。
「あはは!!お前、結構ギターうめぇな!!俺びっくりしたわ!!」
「そ、そんなことないよ……。き、君も歌……上手だね……。そ、そのな、名前…聞いてない。」
「え?あぁ俺は、瀬川 陽翔(せがわ はると)」
「せ、瀬川くんって言うんだ。俺は、朝比奈 湊……よ、よろしくね。」
「おぉ!!よろしくな!湊!……てかさ、湊、ギターうめぇな!」
初めて、褒められた。お父さんもお母さんも、俺のギターは下手だって言ってくる。けど、瀬川くんだけは違った。俺の事褒めてくれる。優しい人だ。
「そ、そうかな……あ、ありがとう。」
「………それとさ、俺…」
「お前の音楽、俺が一番好きだ。」
………は?
「え?え?……ど、どういうこと?」
俺はめちゃくちゃ混乱した。頭が?(ハテナ)で埋め尽くされた。
「え?え?そ、その……え?」
「いやぁ……その、俺ささっき気づいた。俺が一番好きだ!!湊の音楽!!」
「!!……え、えーと……う、嬉しいな…あ、ありがとう。///」
そ、そこまで褒められるのはほんとに初めて、めちゃくちゃ恥ずい。俺……真っ赤になってるかも…。な、なんか暑い。
「そ、その……そんなに褒めないでよ。」
「あはは!顔真っ赤!!笑」
「も、もう!!」
俺は……気づいた。。音楽を初めて良かったって……。多分、このままやめてれば、こんな出会いなんて、無かったんだ。。
音楽が俺にくれたもの…それは、逃げ場じゃなくて、お前……瀬川 陽翔くんだったんだ。
ー続くー
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