テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「中也さんのことは好きです。好きな筈なのに、何故……。銀や太宰さんとは何処か違う」


芥川は此の3年で感情が豊かになったように思う。色々な感情を表に出せる彼奴は迚も……愛らしくて。……周りの奴等を魅了していくから気が気でないが。


マフィアに来て最初の頃に訊いた、「好き」という感情も理解出来るようになった。だが、恋愛的な意味での「好き」は知らないらしく。

当たり前だ。貧民街では勿論のこと、マフィアでも、任務や訓練等で其れ処ではない為、仕方の無いことである。



嗚呼、然し。────知らないとは云え、龍に告白紛いのことを云わせちまッた……。カッコ悪ィな、俺。


「…芥川。俺も同じなんだ」

「俺も、芥川が誰かに笑い掛けてると不安になる。…ホントは、ほぼ毎日太宰の処に行ってると思うと、嫉妬で腸が煮えくり返りそうだったんだ」



「だって、俺は、芥川のことが好きだから」

「愛してる、芥川」

「カッコ悪ィよな、もっと早く伝えれば善かったの、にッ!?」


ぎゅ、と芥川が俺の懐に飛び込んで来る。倒れそうになったが、寸での処で踏みとどまった。


「あ、芥川……?」


「……此れが、愛している、ということなのですね」

「僕も愛しております、中也さん」


斯くして、俺の2度目の初恋は叶った。夢のような心地である。



────嗚呼、紅葉の姐さんが云っていたのはそういうことだったのか。


手が触れると目も合わせずに、そそくさと部屋を出ていってしまったのも。


「何だか、遠回りしちまッたなァ」

「ふふ、そうですね」



そう云って微笑んだ芥川の顔は迚も綺麗だった。







想いが通じ合い、喜んでいたのも束の間。突然、視界がぐにゃりと歪む。立っていられない。また、芥川を失ってしまうのか?


頭の中でがんがんと音が鳴り響く。ずきずきと痛む頭。段々と意識が薄れてゆく。

急に崩れ落ちた俺を心配する芥川の声。心配掛けてすまねェな、もう大丈夫だ、と。安心させてやりたいのに、体は動かない。



「ぐ、ぁ゛、……ごめん、ごめんな、……芥川……」



其の一言を最後に、視界が黒く染まった。

この作品はいかがでしたか?

900

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚