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「中也さんのことは好きです。好きな筈なのに、何故……。銀や太宰さんとは何処か違う」
芥川は此の3年で感情が豊かになったように思う。色々な感情を表に出せる彼奴は迚も……愛らしくて。……周りの奴等を魅了していくから気が気でないが。
マフィアに来て最初の頃に訊いた、「好き」という感情も理解出来るようになった。だが、恋愛的な意味での「好き」は知らないらしく。
当たり前だ。貧民街では勿論のこと、マフィアでも、任務や訓練等で其れ処ではない為、仕方の無いことである。
嗚呼、然し。────知らないとは云え、龍に告白紛いのことを云わせちまッた……。カッコ悪ィな、俺。
「…芥川。俺も同じなんだ」
「俺も、芥川が誰かに笑い掛けてると不安になる。…ホントは、ほぼ毎日太宰の処に行ってると思うと、嫉妬で腸が煮えくり返りそうだったんだ」
「だって、俺は、芥川のことが好きだから」
「愛してる、芥川」
「カッコ悪ィよな、もっと早く伝えれば善かったの、にッ!?」
ぎゅ、と芥川が俺の懐に飛び込んで来る。倒れそうになったが、寸での処で踏みとどまった。
「あ、芥川……?」
「……此れが、愛している、ということなのですね」
「僕も愛しております、中也さん」
斯くして、俺の2度目の初恋は叶った。夢のような心地である。
────嗚呼、紅葉の姐さんが云っていたのはそういうことだったのか。
手が触れると目も合わせずに、そそくさと部屋を出ていってしまったのも。
「何だか、遠回りしちまッたなァ」
「ふふ、そうですね」
そう云って微笑んだ芥川の顔は迚も綺麗だった。
想いが通じ合い、喜んでいたのも束の間。突然、視界がぐにゃりと歪む。立っていられない。また、芥川を失ってしまうのか?
頭の中でがんがんと音が鳴り響く。ずきずきと痛む頭。段々と意識が薄れてゆく。
急に崩れ落ちた俺を心配する芥川の声。心配掛けてすまねェな、もう大丈夫だ、と。安心させてやりたいのに、体は動かない。
「ぐ、ぁ゛、……ごめん、ごめんな、……芥川……」
其の一言を最後に、視界が黒く染まった。