デイビスは冷ややかな笑みを浮かべながら、二匹を見据えた。
「お前ら、いいからその袋をよこせ」
「ワ、ワトリー、ど、どうしよう!」
ワトリーは冷静に言った。
「ポテト、警察官だろ!なんとかするのだ!」
「ああ、そうだ。ボクは警察官だった!」
ポテトは震える手で、警棒を構えた。
デイビスはその様子を見て、嘲笑うように言った。
「お前、使い方すらわからないんじゃないのか?」
「そ、そ、そんなこと…」
デイビスは軽蔑の表情を浮かべ、「このガキが!」
ポテトに襲い掛かろうとしたその瞬間、ワトリーが声を張り上げた。
「デイビス!シオンが本当に盗んだものを教えるのだ!」
その一言で、デイビスの動きがぴたりと止まった。
ワトリーは真っ直ぐデイビスを見つめて言った。
「シオンが持ち去ったのはドラッグなんかじゃない。リックとの思い出だよ!」
デイビスの顔が一瞬揺れた。「思い出だと…?」
ワトリーは続ける。「だからシオンを脅したって無駄だったんだ。
彼女は何も知らなかったんだよ。彼女を殺す必要なんて、なかったのだ!」
デイビスの目が険しくなり、感情が爆発した。
「嘘だ!あいつが口を割らないから、殺してやったんだ!!」
ポテトが驚きの声を上げた。「ワトリー!自供したぞ!」
デイビスは自分の失言に気づき、顔を真っ赤にして怒鳴った。「この野郎、だましたな!」
ワトリー「ポテト逮捕するのだ!」
ポテトは慌てて手錠を出し「たたたた・・タイホし・・しますぞ!!」
ついに追い詰められたデイビスは、逃げるために警備室のドアへと駆け出した。
「くそっ」
ワトリーが慌てて叫んだ。「ポテト、逃げちゃうよ!」
その時、ドアが勢いよく開き、ジョセフが立ちはだかる。「デイビス、シオン殺害容疑で逮捕する!」
ポテトは安堵の笑顔でジョセフに叫んだ。「先輩!」
そこに立っていたのはジョセフだった。彼の背後にはずらりと大勢の警官が並んでいる。
「デイビス、もう逃げられないぞ!」ジョセフが鋭く言い放った。
デイビスは歯を食いしばり、「ち、ちくしょう!!」と悔しそうに膝をついた。
その場で警官たちに手錠をかけられ、ついに逮捕された。こうしてシオン殺害事件は解決を迎えた。
会場の外ではマスコミが大勢集まり、フラッシュが次々とたかれていた。
ポテトはびっくりして「も、もうマスコミがいる?!」
ジョセフ「ああ、嗅ぎつけてきたんだろうな、俺の優秀な行動に!」
「先輩が呼んだんじゃないですか・・・?」
「はは、まさか」
「さ、デイビス行くぞ」
ジョセフは自信満々の笑みを浮かべながら、デイビスをパトカーまで連れて行く。
その様子を見ていた記者たちが一斉に質問を浴びせかけたが、
ジョセフは手を軽く振りながら、「まぁまぁ、後で会見しますので」とだけ言い、その場を離れた。
「でも、先輩……どうして僕たちがここにいるってわかったんですか?」ポテトが聞いた。
ジョセフは得意げに鼻を鳴らし、
「カオリに花瓶とGPSを持たせたんだ。カオリは電話ができないからな、
安全のために仕込んでおいたのさ」と答えた。
ポテトは目を輝かせながら、感動した様子で大きな声を上げた。
「先輩、本当に天才ですね!そんな作戦、誰にも思いつきませんよ!
これだから先輩は伝説の警察官なんです!僕、一生ついていきます!」
ジョセフは満足げにニヤリと笑い、胸を張った。
「当然だろう?俺に任せておけば、どんな事件だって解決してやるさ。
これからも俺の背中をしっかり見て学ぶんだぞ、ポテト!」
ポテト「はい!!」
「ジョセフ!」ワトリーが走って勢いよくジョセフに飛びつき
「ジョセフ!!ありがとうなのだ!!」と涙ながらに叫んだ。
ジョセフはしっかりと彼を受け止め、「ワトリー、喜ぶのはまだ早いぞ」といいながら、
一台のパトカーを指さした。
ワトリーがその車のドアに目を向けると、ゆっくりとドアが開いた。
そこから現れたのは――エイミーだった。
「エイミー!!無事だったのだ!!」ワトリーの目が見開き、歓喜の声を上げながら彼女に駆け寄る。
エイミーは申し訳なさそうに微笑みながら、優しく語りかけた。
「心配かけてごめんなさい。誰とも連絡をとれない状況だったの。
でも、ワトリーくんがきっと真実を突き止めてくれるって信じてたよ。」
ワトリーはエイミーの目を見つめながら、静かにけれど力強く答えた。
「ボクもエイミーを信じてたのだ。」
エイミーの瞳に涙が浮かび、心からの感謝の気持ちがその声ににじみ出る。
「私のために本当にありがとう。」
ワトリーは大きく頷き、笑顔を浮かべながら言った。
「いいのだ、エイミーはボクの大切な友達なのだ。」
二匹の間には言葉では言い尽くせない絆が芽生え、再会の喜びが静かに広がっていった。
その光景を見守っていたジョセフとポテトも思わず目頭を押さえた。
「よかったね、ワトリー……」ポテトがぽつりとつぶやき、ジョセフも静かに頷く。
空には夕日が輝き、事件が終わりを迎えた安堵の光景を優しく包み込んでいた。
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