注意
前に投稿した「黒桃」のノベル版です。
少し内容を変えています。
桃さん「黒、好きだよ。」
黒さん「…桃、?先に逝くなよ。約束、したやんか!」
満月の夜。綺麗に輝き、人々を照らしてくれるこの明るさとは対照的な出来事。
そう。最愛の人がこの世からいなくなってしまったのだ。 俺は不思議で仕方なかったんだ。なぜ桃がタヒななければいけなかったのか。 なぜ俺は生き残ってしまったのか。本当に不思議だった。 あいつは俺を照らしてくれる、太陽みたいな存在だった。あいつがいなければ俺は輝けない。 あいつがいなくなった今、俺は現在進行形で輝きを失い続けている。 あいつは最期の瞬間まで笑っていた。苦しいはずなのに。本当は逝きたくなかったはずなのに。 優しくて、心強かった。
“みんなのアニキ”と言われていた俺も人間だ。心を病むことはある。 そんな時にいつもそばにいてくれた、かけがいのない存在。それが桃だ。 そんな桃を失ってしまった俺には希望なんて一欠片もなく、代わりに瞳には雫が溜まっていた。
あの日から2年経った今。俺は未だにあの出来事が忘れられていない。 桃を殺した犯人を探そうとするくらいには引きずっている。こんな未練がましい男はもう一度新しい人生を歩むことができなそうだが。
黒さん「……」
2年経った今でも俺の心は輝きを失っていて、全身が真っ黒に染まってきている。 友人の青には何度も背中を押されたし、弟の赤には沢山励まされた。 弟も、もう大人になったんだと切なさが込み上げてくる。
黒さん「ん?」
何か光っていると思ったら、それはスマホだった。
黒さん「…!」
ロック画面には笑顔の桃。
この笑顔も二度と見られないなんて思うと涙が出てくる。
桃さん「黒〜!!」
黒さん「桃…」
記憶が鮮明になると同時に胸が痛くなってくる。 もう一度、桃の声が聞きたい。 笑っている顔が見たい。 楽しそうに話している姿を見たい。 あっちに行けばまた会えるだろうか。
もう、いっそのこと……。
??「だめ」
:
:
ここは何処だ。俺は本当にこの世から消えたのか。 何も聞こえない。何も感じない。 目も開けずに聴覚を頼りに考える。 恐る恐る目を開けてみると、そこはあの時と同じ夕焼け空の花畑だった。 相変わらず綺麗な所。
??「…だめ」
若い男の声。 何処か聞き馴染みのある声。 フードをかぶっている為顔は見えないが、フードの隙間からちらつく毛の色で誰かは予想できる。が、フードの中。少し見える口角の上がり方が俺の知っている人物と異なった。
黒さん「お前、なんでそんな容姿してるん?」
?さん「は?会って3秒でそれかよ。」
つまらなそうに、不満げに。そしてイラついたように毒を吐く青年。言うならば、出会って3秒で本性を表してきやがった。俺はこいつの地雷を踏んだらしい。ほら、やはりこの青年はあいつじゃない。桃は表でそんな顔をしないし、毒を吐くと言うより弱音を吐くタイプだ。そこでふと名案が思いついた。早速実行してみることにする。
黒さん「こいつ知っとる?」
?さん「は?」
スボンのポケットからスマホを取り出し、目の前の青年に突きつける。すると分かりやすく目の前で呻き出すフードの少年。地雷とは別の何かがあるのだろうか。
?さん「…やめて。」
黒さん「何故?」
呻くのを辞め、いかにも苦しそうで、もう少ししたら逝ってしまいそうな顔つきになってきた為、スマホを引っ込める。ここの世界にも俺の想像する世界へ逝くと言う概念があるのかは別の話だが。
?さん「ありがとう。もう、単刀直入に言うね。俺はお前の想像する桃とは別の…まぁ、簡単に言えば 黒い感情なの。今は特別にお前の世界に入ってるだけ。本当はここにいちゃいけないの。」
黒さん「はぁ。」
よくわからないが予想通り、こいつは本当の桃じゃないらしい。俺の想像する桃が本当の桃だっだのかは分からないが。いや、余計なことを考えてしまった。
桃?さん「で、俺は明るい方(黒さんの想像する桃さん)を見たらこの世界から追い出される。さっきはその忠告的な感じ。」
桃?さん「あれ、もしかしてピンときてない感じ?頭の切れる人だって聞いたんだけど。」
桃の黒い感情だけあって、言葉巧く毒を吐いてくる。悪気がないのも桃らしい。
桃?さん「何故〜?って顔してる。それは俺にも分からないよ。だって全部あいつが決めたことだから。俺だってこんな面倒くさいことしたくなかったよ。本当は一生あいつの中のどくとして生きてくつもりだったんだから。」
黒さん「こんな善意を働いたのは気まぐれだ、と?」
だとしたら俺は運がいいのかもしれない。人の気まぐれとは恐ろしい物だ。
桃?さん「それ、は…違うよ。俺だって好きで人の死に際行ってるわけじゃないけどさ、大切な人が瀕死だよ?いくら感情が黒くても行くでしょ。」
黒さん「後、」
桃?さん「何、まだ質問する気?俺だって自分の住む世界以外のとこ来たらそれだけで重労働なんだから勘弁してよ。…一回だけだよ。」
それだったらこんな茶番する間に答えろよ、なんて。そんなことを思っても言わないとは、俺の中の黒い感情はまだまだ未熟なようだ。
黒さん「はいはい、一回だけにするから。なんでこの場所にしたん?」
桃?さん「んなこと知るかい。全部あいつが決めたことだって言ったでしょ。」
黒さん「お前、何言われてもそう答えようとしてたろ。」
桃?さん「いやいや、俺もそんな黒くないって。答えられる質問なら答えてたし。」
慌てて応答する桃。怪しい。何か隠しているように感じられる。いくら黒い感情でも、顔と態度に出やすいところは同じなようだ。
黒さん「例えば?」
桃?さん「えっと…あ、質問は一回までってさっき言ったじゃん。お前、嵌めようとしただろ。」
やっぱり頭の切れる人は性格が…なんでぶつくさ文句を言っている偽物の桃が一瞬、生前の桃と重なった。それは、今いる場所に心当たりがあるからだろう。
桃?さん「ていうか、どうしてこの場所が気になるの?もしかしてなんか知ってるの?」
黒さん「別に。」
桃?さん「なんだよ、気になるじゃん。…あ、そうだ。渡さなきゃいけないものがあったんだ。」
そう言って何処からともなくある花を取り出す黒い桃。それを当たり前のように俺のポケットの中に入れる。少しトゲトゲしていて不思議な感覚。そんな一連と流れを済ませると、桃はにっこりと笑ってダブルピースをかます。黒い感情とは思えないほどに愛らしい。まして愛おしく感じられた。
桃?さん「それ、クロユリっていうの。この色、好きでしょ?黒は存在感が引き立つ色だって。」
黒さん「覚えてたんやね。」
桃?さん「ちなみにちなむと、花言葉は“愛”。いいでしょ。生前、好きとか大好きとかは言えたけど愛してるとは言えなかったからさ。あの日があってこその今って思うしかないんだよね。俺の愛は形で残したよっていう今。 まぁ本当は、俺が生きてたら今よりもっと前に言えてた言葉なんだけどね。ポジティブに捉えようね精神。以上があいつからの伝言。」
黒さん「色々ありがとな。」
桃?さん「本当の“愛してる”は本人から受け取ってね。俺が言うわけにはいかない。」
黒さん「それは、あいつに絶対に会えるって受け取っていいん?」
桃?さん「きっと会えるさ。じゃ、俺はここで。そろそろ限界かも、戻んないと死んじゃう。俺が死んだら元も子もないんだから。
じゃあね、愛する人。」
黒さん「また会おうな。」
桃?さん「次会う時には、俺じゃないといいね。」
次はホンモノ様がご来光ということか。そうだといいが。
目が覚めると、先程の出来事がフラッシュバックする。それは、まるで嘘かのように感じられた。しかしポケットの中の違和感と袖まで染みる手の汗から、現実に起こったことなのだと気づいた。
黒さん「ってか、結局言うてるやん。馬鹿やな、あいつは。」
そんな言葉で濁せるはずもないこの感情と共に、一雫の希望が薄暗い部屋に堕ちていった。
余談ですがベルーナドームに行った方、当日のお話をお聞かせください。
特に、1日目の口説きshowの内容というか青桃さんについて教えてほしいです。
(🍜達の名前は、伏せ字にしてください。例:桃さん、青さんなど。また、🍣さんの優勝話などはお控えいただけると助かります。)
コメント
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前に投稿していた黒桃のノベル版リメイク?も最高でした😭 このお話は世界観に惹き込まれちゃいますね︎!!ひば様の世界観というかストーリー面白くて楽しく読めるので大好きです︎!! それと今回もそうですけどライブ一回も行ったことがない民なので何も役に立てないです...すみません💦 X(旧:Twitter)ってやってますか??やってないのなら私がなんぼでも拾って来ますよ!余計なお世話だったらごめんなさいです😭