コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
今日はLIVEで演奏する曲を練習してるんだけど…
あ、やっぱ…これ無理だ…
「ちょ、涼ちゃんめっちゃ泣いてるじゃん!大丈夫?!」
「うわ〜ん…やっぱ僕のこの曲ダメだぁ。」
昔からこの曲、苦手なのよ…。
元貴が失恋した時の曲なんだけど、この曲はどうしても僕の心を締め付ける。
「わ!ほんとだ!めっちゃ泣いてるじゃん!」
若井が騒いでるのを聞きつけて、元貴も近づいてくる。
「そういえば、昔、レコーディングの時も泣いてたよね。」
若井がそう言うと、二人してケラケラ笑う。
「てか、ぼくの失恋ソングなのに、なんで涼ちゃんが泣くのよ。変なのー!」
「もぉ〜!元貴、からかわないでよ〜。」
二人が笑いながらからかってくるから、僕も泣きながらも笑顔で答える。
ああ、もう何年も経ってるのに、今もあの頃と同じように“恋”してる。
初めてこの曲を聞いた時、僕ならこんな想いさせないのにって…
僕もこんな風に想ってもらえたらって…
僕なら『独りで寂しい』なんて思いはさせないし、ずっと側にいるのにって考えていた事を思い出す。
全然涙が止まらない僕に、元貴がティッシュを持ってきてくれた。
若井はもう飽きたのか離れた所で一人で練習している。
「涼ちゃん大丈夫?」
「う、ぐすっ…うん、大丈夫っ。」
元貴からティッシュを貰って涙を拭う。
「ふふっ。」
「も〜笑わないでよぉ。」
「ねぇ、涼ちゃん。」
「ん?」
ちゅっ。
「僕にはもう、涼ちゃんが居てくれるから大丈夫だよ。」
そう言って、元貴はニコッと笑うと、センターの位置に戻っていった。
僕は元貴にキスされた頬をさすり、今度は元貴がくれた“愛”を感じて涙した。
-fin-