2学期も半ばを過ぎた
俺は猛勉強に追われている
何故なら最初志望した大学はここから少し遠く、尚且つ今の俺の考えとは合わない大学だと思ったからだ
それならばと、ここに近くて少し学力が高い大学を狙おうと志望先を変えた
親も喜び、塾に行くなら言って良いと言われたが断って行っていない
絶対行った方が良いのは分かっていたが、なんだかゲームの攻略の様で面白くなっていた
授業の他に休み時間や放課後を使い、自分の分からないとこは教科の先生に聞く
家でも勿論不得意をなくす様に勉強を続けた
「‥‥疲れた」
「お疲れ様」
「先生に会える時間も減ってるから余計に疲れた」
「久しぶりだもんな、顔見るの」
「俺、頑張ってるよ」
俺の言葉に手を止めて振り向いてくれる
「分かってる。ちゃんと見てるよ」
「そうだよね?俺頑張ってるよね?先生は浮気してない?」
「ハハっ、してねーよ。まだ付き合ってないのに浮気はないだろ」
「それって付き合ってないから浮気には入らないとか考えてる?」
「そうじゃない。ちょっとからかっただけだよ、悪かった」
「もう‥‥俺一応ナイーブな受験生なんだから取り扱い注意ね?」
「あ、俺良いものあるぞ」
机の引き出しをゴソゴソと漁ると紙のようなものを目の前に出された
「ほら、『取り扱い注意』のシール」
それは宅配などに貼り付けるシールだった
「俺、荷物って事?酷いよ‥‥ガラスのハートなのに‥‥」
「フフッ‥‥それなら」
また机を探り、目の前に似たようなものを出される
「ンフフっ‥‥これもあるけど」
次に出されたのは同じく宅配で使う『壊れ物注意』のシールだ
「随分楽しそうじゃん。いいよ、俺の事荷物扱いしたって俺は負けない」
「そうだな、これ2枚も貼ってあればみんな丁重に扱ってくれるかもな」
「まだ荷物だって言うつもり?」
「悪かったって‥‥フフッ」
「笑いすぎね」
でもそんな先生を見てるとこちらも笑ってしまう
先生と話してると良い息抜きが出来る
「さてと、先生とも会えたし俺帰るね。先生は?」
俺はカバンを持って立ち上がり、先生に視線を向ける
先生は机の上の書類をまとめてカバンを取り出していた
「俺も職員室寄って帰るよ。じゃあ行くか」
保健室を出て先生が部屋に鍵をかける
玄関と職員室は反対側にあるからここでお別れだ
「気をつけて帰れよ」
「先生もね」
「寒くなるから体も気をつけろよ」
「先生もね」
笑い合いながら背中合わせに別れる
俺は頑張れる
絶対乗り切ってみせるんだから
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