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注:皆さんが期待しているような小説ではありません
この人達人間じゃないです
ゆっくり読むといいかも
登場人物紹介
女
リン 髪色:白
男
ソラ 髪色:水色
シューリ 髪色:緑
_世界に、最高のバットエンドを。
リ「ソラ」
ソ「んだよ」
リ「シューリ、元気かな」
ソ「元気だろ」
困るけど、とこぼした。
リ「暇だね」
ソ「な」
話しかけていっても、会話はすぐ途切れる。
ソラは相変わらずそっけないな、と思いながら意図があるわけでもなく外を見る。
一点の穢もない赤と紫の空はとても綺麗だった。
何十分ぐらいそうしていたろうか、気づいたら空は暗くなっていた。
ソ「行くか」
リ「うん」
そう言って、中を出て車に乗る。
運転はソラの方が上手い。
家を出、街を出、林を抜け、森の奥深くに入っていく。
私達はいつも『任務』というものを与えられ掃除から殺人までやっている。ずっと、ずっと前から。
やがて、その任務をもらう『施設』についた。
車を出、二人でその『任務』を貰いに行く。
しばらくして、いつものどこからか聞こえる声が
「s、L、今回ノ任務ハ『救助』デス」
と話した。
ソ「珍しいな」
リ「普段は『殺人』なのにね」
こんな任務は年に一度あるかないかだ。
ソ「行くぞ」
リ「そだね」
そう言って車に乗る。
今日はとても早く終わりそうだ。帰って何をしよう。
しばらくして、
ソ「着いたぞ」
リ「森、か」
ソ「さっさと済ませて帰ろう」
リ「うん」
それから助けを求めている人を見つけ、案外早く終わってしまった。
リ「早すぎたね」
ソ「散歩でもするか」
その言葉に従い周りを歩く。
やがて
「「「あ」」」
シ「奇遇だな。」
なんと、そこにはシューリがいた。
ソ「んでお前がここにいんだよ…」
世界滅亡させんじゃないのか、と続けて言う。
シ「ここで爆弾の原料が集まりやすいのでな。」
リ「そうなんだ。元気そうで何より」
シ「本当だったらとっくに命を自ら絶ってるがな」
ソ「相変わらずその思考なんだな」
シ「逆にどう変わっていると思った?」
ソ「生きる意味を見つけるかと」
シ「見つけているぞ。人類をすべての苦悩の元、つまり考えることをなくす事だ」
リ「それが人類の滅亡、つまり世界滅亡に繋がったって言ってたよね」
ソ「おっそろしい思考してやがる」
シ「…そろそろ拠点に帰らなければ」
リ「じゃ、また逢う日まで」
ソ「じゃな」
シ「おう」
そう言いシューリは背を向けて歩いていった。
ソ「帰るぞ」
リ「うん」
そして私達も帰った。
_翌日_
朝か、と思い体を起こしたらもうすぐ日が明けるところだった。
時間は5時近く。早く起き過ぎた。
なんと言っても任務が長引いた時には起きたら昼だった、なんてこともあるからだ。
だがソラはいつも私より30分早く起きる。起きなかった日は大抵二度寝か体調を崩している。
昨日はシューリに会いソラは一時間ぐらい前に起きていると思ったが、向こうで横になっているのはソラだ。
不安なので体調を観察してみる。
リ「…熱出したな、これは」
どことなく子供らしいソラに少し笑ってしまう。
やっぱりソラはシューリの事をまだ忘れてないんだな、と思った。
_しばらくして_
そっと水に濡らしたタオルを額に乗せたソラの隣に座る。
さっきから一回も起き上がっていない。
これは勘だがソラは起きていて体がだるいが為に起きようとしないのだろう。
暇なのであの時の事を思い出してみる。
_回想_
シューリは普通の中学生だった。いや、普通でもない。私達と同じ、任務を与えられる『組織』に入っていた。
組織から見れば同じような3人だったのでいつも3人組で任務に『派遣』されていた。
ある日、任務の帰りにシューリが言い出した。
「誰かいる」
と。
その直後、建物の影から人が現れた。
私達はいつもの流れで武器を取り出した。
私は長いナイフ、ソラは銃、シューリは毒が塗ってある針。
任務中に見た者は殺せ。そう言われてたから。
そしてあっけなくそいつを倒したのだが、問題はそこからだった。
本当だったらそのあたりも組織が考慮しているのだが、このときは忙しかったらしい。
後ろにその仲間がいたのだ。
そいつは私達めがけて3振り、手裏剣のようなものを打った。
そして運の悪いことに、それがシューリに当たってしまった。
そいつは私とソラに打つそぶりを見せたが、あとから2人ほど組織の者が来てそいつを殺った。
1人の組織の者はシューリに駆け寄り、あとの1人は私達を見守っていた。
やがてシューリに駆け寄ったほうが急いでシューリを担ぎながら戻ってきた。
シューリはなんだか辛そうで、意識があるのかさえわからなかった。
聞いた所によると、どうやらシューリは毒塗りの刃物を打たれており、かなり危ない状況だと言う。
当時私達はまだ未熟だったのでものすごいショックを受けた。
そりゃあもう、世界の終わりだってくらいに。
特にソラはシューリと仲が特別良かったので、足の支えをなくして、呆然としていた。
それから組織の車に乗り、施設に向かった。
施設についたあと、すぐにシューリの意識が戻り、そこまでヤバい薬ではないことが判明し、処方箋をもらった。
そして3人の家へ帰る途中、急にシューリの目が紅く光った。
それは一瞬で収まったので、見間違いだろうと思った。
その時はまだ、知らなかった。
それが見間違いじゃないと気づいたのはあれが起こってからだ。
ある日の帰り途中に、突然シューリが浮かび上がったのだ。
シューリは何かに支配されているかのように抵抗がなかった。
シューリが空中で静止したあと、急に別世界へ転送された。
そこはひどく暗く、静かだった。ただ、シューリを包んでいる赤い光以外は。
数秒後、後ろで何かが写った。いや、何かではない。私達の知らない幼い子ども。
それが映画のように映像として流れていた。
その子は、ひどく哀れだった。その子には人体実験が行われており、培養ポッドの中に入れられていた。
やがてその子はそこから出され、牢屋みたいな所に入れられた。いや、収容された。
そしてどんどん時が流れ、一つのシーンがあった。
シューリだ。もしかしたらとさっきまで思っていたが、今度は少し幼いだけで完全にシューリだ。
画面のシューリは、毒針で人を殺そうとしていた。
だが、できなかった。
囲まれて、もうだめみたいだった。
その時だ。画面のシューリはどこからか爆弾を取り出し、火をつけ、投げた。
数秒後、そこは爆破した。とても、凄まじく。
焦げた破片が飛び交う中、シューリはあちらこちらから血を流していた。
だが、まるで気にしなかった。そして、銃を取り出し、どこかへ撃とうとした。
シューリが撃ったのと、後ろから襲われるのとが同時だった。
二人は戦い、襲ったやつが倒れた。
そして目から血を流しながら、シューリも倒れた。
その後シューリは目を付け替えられ、
どんどん時が流れ私達が初めて会った所から、今に至った。
そして私達は元の世界に転送された。
シューリはゆっくりと目を開いた。
はっきりと目が、紅く光った。
_回想終了_
リ「はぁ…。」
なんで思い出したのだろう、と後悔が襲う。
さっきから本当に震えが止まらない。
グロいのは平気なのに、これだけは無理だ。
これに耐えているソラは本当にすごい。
座っていても落ち着かないのでとりあえず寝っ転がる。
_シューリ_
ザッザッザッザッ(木の葉を踏む音)
シ(今日は本当に、偶然だったな)
ガチャリ(建物のドアを開ける)
上着などを整理する。
シ「夕飯の支度をしなければな…。」
シ「………っ!」
シ(まただ…何故、何故だ!?何故目が痛い!?何故こうもずっと前から続くのだ!?それもただの目の痛みではない…何故張り裂けるように痛い!?)
シ「くっ…ぅ…っ!!!!!」
シ(何も、何もこうなるようなことはしていないはずだ!それなのに、何故…!)
痛みが引いた。
シ「はぁ…。」
シ(これが始まったのはいつからだったのだろう…。)
シ「………………………………」
シ「無い」
シ(小学生、中学生の始めあたりの記憶が、無い…。)
シ(それにどれも『まただ』という記憶だ…。何故だ…?)
_リンたち_
リ「ZZZ…」
リ「はぅっ!」
しまった…すっかり寝てしまった…
リ「…え、ソラ本当に寝てるの?」
…もう今日は良いかな。寝よう。明日任務だし。
_翌日_
ソ「朝だぞ」
リ「…おはよ」
ソ「緊急任務の連絡だ。支度してすぐ行くぞ」
リ「珍しいこと続きだなー…。」
_支度後、施設についた_
リ「本当だ…久しぶりにこれ使うんだね」
ソ「ああ…」
心なしかソラがわくわくしているように見える。
と、突如
「来マシタカ、S、L。今回ハ緊急任務デス。Sハ『雷』、Lハ『風』ヲ持チ、『嵐』デ移動シナサイ。」
ソ「は、『惨銃』使わないのか?」
リ「ね、『惨小刀』使わないんだ?」
「『惨』系ハ今回、弱イノデ、サッキ言ッタ物ヲ使イナサイ。」
言葉の意味は後で考えるとして、言われた『嵐』を使って移動することにした。
ソ「なんだこれ…」
リ「と、とりあえず乗ろう!」
ソ「あ、ああ」
『嵐』は凄い見た目をしており、もう行き先が設定してあった。それに、とても頑丈そうだった。
ソ「う、動かすぞ…」
リ「う、うん…」
ヴァッ
『『え』』
_数秒後_
ソ「嘘だろ…!」
リ「もう狂ってるね…」
なんと、『嵐』は数秒で600km以上も走ったのだった。
すると、リーダらしき組織の人が、
「よし、全員集まっているな。今回の任務は『異世界滅亡』だ。騒音に耐えられるようにヘッドホンは用意されている。各自存分に暴れるように!」
と、ツッコむ暇もなく言い、行動を開始した。
リ、ソ『は?』
リ「もう何がなんだか…」
ソ「まあ、仕方ないか…」
_異世界_
ソ「殺るぞ、リン」
リ「世界を殺るなんて初めてだよ」
《無音(リンたちには)》
(眩しい…!)
そう思いながら、リンも思う存分暴れる。もちろんソラも。
竜巻を起こし、他の人の行動をより強力にする。
凄まじい雷を起こし、周りを焦がし、灰にする。なお、炎と違い遠距離も可。
風の暴走を起こし、地面を割る。そこに雷を加え、より強力にする。
そんなことがずっと続いたあと、元の世界へ転送された。
そして、さっきの人が
「これであの世界は滅亡した。じゃ、解散!」
リ「あー、楽しかった!」
ソ「だな!」
そして帰り途中、聞きたいどうでもいいことを聞いてのんびり帰る。
ちなみに、こんな任務はなかなか無いらしい。『嵐』は他に『狂嵐』というものがあり、それは国などを移動するのに使うらしい。『雷』や『風』などのものは自由にそれを操れるらしい。『惨』系はこんな任務には全く役に立たないが、大きな建物を滅ぼすのに最適らしい。あのヘッドホンは性能が完璧で、声や音などをそのまま伝えてくれるらしい…などなど。
_家_
リ「もうこんな時間か…」
嫌な予感がするのは気にしないでおく。
ソ「……………。」
リ「…おやすみ。」
ソ「ああ。」
_ソラ_
ソ「ふー…」
ソ(ああ、楽しかった…。)
ソ(シューリが居れば最高だったんだろうな…。)
ソ(なんで、辞めてしまったんだっけ…。)
_回想_
シューリの目が紅く光ったあと、彼はいつも通りに振る舞っていたので、リンと俺は夢だったのだろう、と思い直し、なかったことにした。
異変が起こったのは、中学生の終わりあたりだった。
シューリが部屋にこもることがいつもより多くなり、今まで一度も買うことのなかった薬を買ったのだった。
病院などにも一回も行ったことがないはずなので、あのときは何かがおかしい…と思ったのだった。
何の薬?と聞いたら「目薬」と答えたのも訳が分からなかった。
どうしてか分かったのはいつだっけ。
シューリがごく普通に
『最近目が痛いのだが、目薬が全く役に立たなくてな。理由も解らないし、何なのだろうか…』
と呟いたのだった。
予期せぬ打ち明けにリンと同時にバッて振り向いたんだったか?
その後もそうだった。シューリが突然いなくなって置き手紙に
『目的ができた。組織も辞めた。突然ですまない。シューリ』
と書いてあって驚愕したな…。
辛うじてメールや電話などはできて良かったけどさ…。
あのあと偶然にも会ったのはいつだ?
変わってなくて安心したっけ。
幸いにもそこまでヒステリックにならなくて良かった…。電話やメールができると安心なんだな。
で、目的を聞いて(問い詰めて)、出てきた答えが
『世界滅亡』
だった時、頭にいくつ?が浮かんだ?
その後も偶然が続いたりして、こないだも会ったな。
ああ、会いたいな…。
_回想終了_
チュンチュン…
ソ「え、もう朝か」
リ「おはよー…」
ソラはもう起きていたのか。
リ「今日何しようかなー」
「本当にな。」
朝はすることがなさすぎて困る、と続ける。
リ「…そうだ」
ソ「?」
リ「猫カフェ行きたい」
ソ「…なんでそんな突発的?」
ま、いいけど、と言ってくれた。
_猫カフェ_
リ「…近寄ってもらえない」
ソ「だって人殺しだぞ?懐く訳が」
リ「癒やしが欲しくて来たのに…。」
ソ「…ま、確かにそうだよな。」
何か買ったら帰るぞ、と言われてしまった。
_シューリ_
シ(何故記憶が無いのだ…?)
シ(忘れた?いやそれにしてはそれ以降の記憶がある…)
シ「っ!」
シ(『目的』の理由がもう一つ、在った)
シ(誰かは解らないし、顔も解らないが…友人だったか?いやもう少し親しいな…)
もうひとりの親友_そんなものが昔、シューリにはいた。
(ここでのあと一人の親友はソラです)
シ(彼が、世界に絶望した…?いや、違う…。世界を滅亡したいとは言っていなかった…。)
シ「…そうだ」
シ(彼は…自殺したのだ…)
シ(しかし、何故?)
シ「あ、もうこんな時間か…」
_翌日_(シューリ)
シ「…」
シ(自殺の理由、そんな物を考えていた)
シ(世界で生きにくかった、それがまず第一だろうな)
シ(いや、そもそも何故世界に絶望したのだっけ)
シ(そして、どの機会で親しくなった?)
シ(…やはりこの先が思い出せない)
シ(…外が何か騒がしくないか?)
シ「っ!」
シ(後ろから煙が!)
《睡眠薬の入った爆弾が爆破》
誰か「…ようやく見つけた」
_その後_
シ(…どこだ、ここ)
シ(あー…手足の自由が効かないな…口、目ともに縛られている感じか…)
シ(…何故、誘拐する必要があったのだろう)
シ(周りに数人、居る感じか)
シ(この程度だったら余裕で殺れるが…援護が来たらまずいな…)
誰か「久しぶりだな、実験体3312」
シ(…は?)
誰か「ああそうか、記憶が無いんだったな」
シ(…はぁ?)
誰か「時間がないな…あとは頼んだ」
シ(…意味が、通らない)
シ(っ…何をする気だ?拷問か?いや、それをされる覚えは無い…。殺害?では何故あの時に殺らなかった?実験?それは何故俺でなければいけないのか?…生贄?…流石にそれは無いか。)
シ(あ、一応気配消して睡眠薬打とうとしてるな…。)
シ(…面倒事に巻き込まれると厄介だな。)
バキッ(睡眠薬入った注射が折れた音)
モブ1「!?」
シ(…気絶させるだけでいいか。)
_しばらく_
シ(何だったのだ今日は…)
シ(あ。)
シ(…もう、爆弾ができるな)
シ(帰ろう。)
_リン、ソラ_
リ「猫ちゃん…」
ソ「リン、物凄い殺気的な何かが出てる。」
ソ「さ、帰るぞ。」
リ「ええ〜」
テレビ「緊急速報です!〇〇森で強烈なエネルギーを放った爆弾が…」
もうその後は聞こえていなかった。
二人同時に飛び出して、全速力で森に向かう。
火事場の馬鹿力っていうやつなんだろう、車より速い。
_シューリ(森)_
獣のような足音がする。
とても速く、着実に近づいてくる。
_リン、ソラ_
目の前はもうあのときの森だ。
_シューリ_
突風のような人影が見える。
_リン、ソラ_
そこには、あのときと何ら変わりない世界の死神がいた。
_シューリ_
肩で息をしているあのときの暗殺者がいた。
_森の中_
シ「…また会ったな。」
リ「…もう、爆弾が」
ソ「…お前、一体いつから」
シ「これで、世界は」
ソ「お前…!」
リ「待って、ソラ…」
ソ「んだよ」
リ「最期に、3人揃った事…喜ぼうよ」
シ「確かにそうだな…なかなか会えなかったが」
ソ「これも、運命ってことか」
シ「着火するぞ。」
リ、シ「うん。」
思えば随分短いストーリだった。
もっと悲しい思いをすると思ってた。
でも、なぜか悲しくない。
スローモーションで爆発した玉が、みるみる世界を煙で包んでいく。
その時に初めて微笑みを浮かべたシューリを、奇麗だと思ってしまった。
こんなバットエンドも、たまにはいいのかもね。
xxxx年x月x日、長く生きて発達した「奇跡の星」はたった1人の『世界の死神』によって滅亡したのだった。
_世界に、最高のバットエンドを。