『放送室のリクエスト』
ある学校で起こる不思議な放送
そんな放送は毎週金曜日の放課後に
流れるという。
『リクエスト受け付けてます』
とつとつとした機械的な声。
でも、その声のあとに流れるのは、いつも違う一曲の古いピアノ曲だった。
誰が流してるのか、先生たちも知らない。
音源もなく、放送室も鍵がかかってる。なのに、流れる。
それは“放送室の幽霊”の仕業だと、噂されていた。
『お願いをすると叶う』
『でも、叶う代わりに大切なものを失う』
そんな噂も流れた。
そんなただの噂だろう放送室の謎を
私は信じてしまった。
いや信じたかった
大好きな人が居た。
でもそんな彼は突然の交通事故によって
今も意識不明の重体
私は彼を助けたかった
だから私はその噂を信じ
金曜日の放課後に放送室に行くことにした
放送室の前で立ち止まった。
いつもなら鍵がかかっているはずなのに
どうしてか扉が少し開いていたのだ
キィ🚪
私は意を決して中に入った
すると誰も居ないはずの放送室に
白い制服を着た女の子が立っていた
顔は見えない。だけど確かにこっちを見て
彼女はこう言った
『リクエスト、どうぞ。』
私は震える声で願った
「……彼を助けて下さい」
その時、いつもこの日、この時間帯に流れる
ピアノの音が聞こえた
ただその音は悲しげで
どこか懐かしい音色をしていた
翌日、まるで私の願いが叶ったかのように
彼は奇跡的に目を覚ましたそう
でも、その代わりに
彼の記憶から私の存在だけが消え去った
何かを叶う度に。何かをお願いする度に
大切な何かを代償に置き去りにしなければ
いけない
それでも、金曜日には
必ずピアノの音がなり
今も誰かがリクエストしに来るのだ
貴方は願いを叶える代わりに
大切な何かを手放す事は出来ますか?
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